ブラック企業は公害と同じ…使い捨て体質正せ NPO今野代表、さいたまで講演
埼玉新聞 11月6日(水)14時35分配信
正社員として就職しても会社の恣意(しい)的な労務管理によって「自己都合」として辞めさせられる―。そんな若者の労働・生活相談に取り組むNPO法人POSSE代表の今野晴貴さんがさいたま市内で開かれた講演会(主催・連合埼玉、県労働者福祉協議会)で、一部の大企業に「ブラック企業」が増えている実態を語った。
正社員として採用され、早期に会社を辞める若者が後を絶たない。今野さんは、ブラック企業が社会問題と認識されない背景に「若い人たちが勝手に辞めているという印象操作が行われている」と指摘する。
「正社員として就職しても離職する人がたくさんいるというのがブラック企業の問題。会社が自己都合を偽装し、若者を辞めさせている。理由は訴訟になったときのために書面を残したいから」と問題の核心に触れる。
2000年代、一部のIT産業で働く若者が「私の会社はブラック」と呼ぶようになった。長時間労働に耐えられず「35歳定年」がささやかれた業界。今野さんは「ブラック企業は1990年代以降に増えてきた新興産業に多い。大企業、成長産業でも労働組合がなく労使関係不在の業界。労務管理、人材管理がなく、社員を使い捨てる」と苦言を呈する。
今野さんによれば、ブラック企業には、採用した若者を恣意的に自己都合に見せ掛け退社に追い込むシステムがあるという。「ブラック企業は、若者を長期的に教育しようと考えていない。3年、5年で辞めても構わない。景気が良くても利益は社員に還元しない。労使関係を変えないのは、ブラック企業にとって一番利益が出るからだ」
NPOで受け付けてきた労働相談には悪質な例が多い。仕事を干された若者に50代の幹部が容赦なく罵声を浴びせる。「やることがないなら先輩の靴を磨け」「あなたは無能な人間。生まれ変わらなければならない」などと、カウンセリング形式で精神的に追い込む手法もあるという。
一方で一定時間以上の残業が降格理由になるため、実質的にサービス残業をせざるを得なかったり、初任給に80時間分の残業が含まれていたりするなどの不当な労使関係も目立つとされる。
ブラック企業が増えることが社会にどのような悪影響を及ぼすか。今野さんは「社会全体の信頼が失われ、生産性が落ちる。正社員が普通に真面目に働けば何とか生きていけるという信念を、徹底的に破壊しようとしている。ブラック企業は公害と同じ。社会がブラック企業の体質を改善させなければならない」と訴えた。
【ブラック企業】暴言やパワーハラスメントを繰り返したり、恒常的に長時間労働を強いることで若者を使い捨てにしたりするような会社。2008年に書籍「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」が出版され、09年には映画化されたことで、この言葉が広がった。若者の離職率が高い一因との指摘もあり、社会問題化している。厚生労働省は残業代の不払いなど違法行為がないか、全国の労働基準監督署を動員し9月に約4000社について集中的に監督指導を行った。重大で悪質な事案は今後、送検した上で会社名を公表する.
埼玉新聞 11月6日(水)14時35分配信
正社員として就職しても会社の恣意(しい)的な労務管理によって「自己都合」として辞めさせられる―。そんな若者の労働・生活相談に取り組むNPO法人POSSE代表の今野晴貴さんがさいたま市内で開かれた講演会(主催・連合埼玉、県労働者福祉協議会)で、一部の大企業に「ブラック企業」が増えている実態を語った。
正社員として採用され、早期に会社を辞める若者が後を絶たない。今野さんは、ブラック企業が社会問題と認識されない背景に「若い人たちが勝手に辞めているという印象操作が行われている」と指摘する。
「正社員として就職しても離職する人がたくさんいるというのがブラック企業の問題。会社が自己都合を偽装し、若者を辞めさせている。理由は訴訟になったときのために書面を残したいから」と問題の核心に触れる。
2000年代、一部のIT産業で働く若者が「私の会社はブラック」と呼ぶようになった。長時間労働に耐えられず「35歳定年」がささやかれた業界。今野さんは「ブラック企業は1990年代以降に増えてきた新興産業に多い。大企業、成長産業でも労働組合がなく労使関係不在の業界。労務管理、人材管理がなく、社員を使い捨てる」と苦言を呈する。
今野さんによれば、ブラック企業には、採用した若者を恣意的に自己都合に見せ掛け退社に追い込むシステムがあるという。「ブラック企業は、若者を長期的に教育しようと考えていない。3年、5年で辞めても構わない。景気が良くても利益は社員に還元しない。労使関係を変えないのは、ブラック企業にとって一番利益が出るからだ」
NPOで受け付けてきた労働相談には悪質な例が多い。仕事を干された若者に50代の幹部が容赦なく罵声を浴びせる。「やることがないなら先輩の靴を磨け」「あなたは無能な人間。生まれ変わらなければならない」などと、カウンセリング形式で精神的に追い込む手法もあるという。
一方で一定時間以上の残業が降格理由になるため、実質的にサービス残業をせざるを得なかったり、初任給に80時間分の残業が含まれていたりするなどの不当な労使関係も目立つとされる。
ブラック企業が増えることが社会にどのような悪影響を及ぼすか。今野さんは「社会全体の信頼が失われ、生産性が落ちる。正社員が普通に真面目に働けば何とか生きていけるという信念を、徹底的に破壊しようとしている。ブラック企業は公害と同じ。社会がブラック企業の体質を改善させなければならない」と訴えた。
【ブラック企業】暴言やパワーハラスメントを繰り返したり、恒常的に長時間労働を強いることで若者を使い捨てにしたりするような会社。2008年に書籍「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」が出版され、09年には映画化されたことで、この言葉が広がった。若者の離職率が高い一因との指摘もあり、社会問題化している。厚生労働省は残業代の不払いなど違法行為がないか、全国の労働基準監督署を動員し9月に約4000社について集中的に監督指導を行った。重大で悪質な事案は今後、送検した上で会社名を公表する.
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