虹の向こうに

4人の子どもの父親をしています。
リバ剣、段位は三段。
なぜか少年野球の監督してます。

カルガモは舞う

2006年12月19日 | ひとりごと
宿直明けの昼下がり。

美術館に寄ってみた。

「2006ピクチャートレイン美術館」

山手線1編成の全広告スペースに、盲・ろう・養護学校、特殊学級の児童・生徒の作品が飾られている、期間限定の美術館。


ここにお目当ての絵があった。

タイトル「カルガモ」

描いたのはルイだ。

ルイはボクの職場である肢体不自由養護学校の高等部2年生の女の子。

手足が不自由で、言葉を発するのも大変だが、いつも明るくて笑顔がとってもチャーミングなルイ。

それでいてとっても頑張り屋さんでもあるルイは、彼女が一番動かせる左手で、使う色にこだわりながらカルガモを描きあげたそうだ。



ルイは中3のときに寄宿舎生活を送った。

そのとき、寄宿舎指導員になって2年目、まだまだいっぱいいっぱいだったボクは、ルイの人懐っこい笑顔に何度となく癒された

それからは、学校で逢っては声をかけた

ルイは決まって、笑いながら左手を振り上げて
「あっちいけ」
みたいなジェスチャーで応えた。

まさか本気で嫌がってはいないだろうと、いつも面白がって逢うたびに声をかけてた。

とにかく、ルイがかわいくてしかたなかった。

そんなルイの力作を見ずにはいられなかったのだ。



ピクチャートレインの真ん中あたりにその絵はあった。

先生と一緒に作り出した色で力強く描かれたカルガモ。

ルイの筆遣いが見えるような気さえした。

ちょっとあったかい気分になった。


明日になって、ルイに
「昨日ルイの絵見に行ったよ~」
と報告できたらどんなによかったんだろうな

きっと
「あっちいけ」
って言われたんだろうな


それができなくて、やっぱり寂しい

でも、急に遠くに行っちゃったルイに久しぶりに逢えた気もした。

ルイ、向こうから
「あっちいけ」
って言ってた?

ルイのカルガモに
「じゃあね」
と心の中で声をかけて美術館をあとにした。

外はすっかり夕暮れだった。



※もしかしたら名前は伏せるべきだったかもしれません。
でも、気持ちを込めたくてあえてそうしませんでした。



ピクチャートレイン美術館は、12月30日まで。

ピクチャートレイン美術館のHPはこちら