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親のコンプレックスの怖さ

2023年02月04日 | Weblog
ドキュメンタリー「29歳の同窓会」を見た。

東京・品川にある女子高校が「卒業の10年後」に開く同窓会。カメラは彼女たちの高校時代から29歳の今までを追っている。

「地下アイドルになりたいと言った子」
「必ず社長になると宣言していた子」
「高校を卒業する時、笑顔が全く無く不登校になっていた子」

彼女たちの今。

「必ず、東大に行くと言っていた子」
彼女、実は隠された事情があった。

彼女の父親は東大を目指していたが、東大には入れず、早稲田大学へ。

その事が父親の「大きなコンプレックス」になった。
そこから、「自分の娘を東大に必ず行かせるという押し付け」が始まったのだ。

父親は娘に、「今日は参考書の◯◯ページから◯◯ページまで勉強しなさい。それまでは寝てはいけない」と連日、東大に合格する為の勉強を強制した。

娘は父親の「コンプレックス」を晴らす為に懸命に勉強したが、東大には合格出来ず、慶應大学へ。

20歳の時、父親と離れて、彼女は一人暮らしを始める。

「人生で自分は一体何がやりたいのか?」
を模索する日々が始まった。

舞台役者、勉強が嫌いな受験生の為の教材作り、ラジオのパーソナリティ、等々・・・

彼女には最近、彼氏が出来た。
ただ「自分の家族」を持つのには不安がある。

「自分のコンプレックス」を子どもに押しつけるのではないか、正直今は怖い。

この彼女が生きた10年間を見て、僕は思った。僕の人生と共通する部分が多い。

小学4年生の時、母が一冊の算数の参考書を持って来て、
「今日から、中学受験の為にこれで勉強するのよ」と一方的に言った日。

あの日から、自分の意思で選んだのでは無い「中学受験への道」がスタートしたのである。

そして、小5・小6と二年間通わされた中学受験の為のハードな学習塾。心底、死にたいと思っていた。

僕の意思は全く通らず、友だちと遊ぶ事も出来なかった。

母には「親から愛情をちゃんと受けて来ていないコンプレックス」があったのだろう。

それゆえ、生まれて来た「自分の子供」に、「彼女なりの有り余る程の愛情」を降り注いだのかも知れない。一方的に。

「子供の人格」の否定。
「子供の意思」を無視。

今、僕は自分が持っている「コンプレックス」を3人の子供たちに押し付けなくて良かったと思っている。

子供には「子供の人生」がある。

生きて行く「方向性」を探して、自分で考えられる選択肢の中から決めるのは子供自身。それが「自己責任」というものだ。

もちろん、迷った時には親や友人に相談すれば良い。

自分で決めた事に関しては、「反省」はするが、「後悔」はしない。

各々の人生、それは素晴らしいもの。地球上、同じ人間はいない。
みんな個性的な、そして魅力的な「人格」を持っているのだ。

それゆえ、親の「コンプレックス」を子供に強制してはならない。

最近つくづくそう思う。人間は「操り人形」じゃ無いのだから。

もう、「コンプレックス」の連鎖だけは止めて欲しい。



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