ブラジル・リオに行った時、街中を走る路面電車に乗りたくて、衝動的に行動に移した。電車の終点はリオでも治安のとても悪い所。僕はかなりドキドキしていた。終点近くの美術館に行きたくて探していると、ジョギングしているおじさんが通りかかった。彼に訊くと美術館まで連れて行ってくれるという。美術館を観覧し出て来ると、おじさんが待っていて、「ちょっと飲みに行かないか?」と誘ってくれた。石畳の路上にテーブルの出た居酒屋で乾杯!英語で話をした。ブラジルでは人種差別がある。白人・白人とインディアンの混血・インディアン、色の濃いさで差別されるそうだ。そこで小学校の先生は考えた。生徒全員を「緑色」に塗れば差別が無くなると。しかし、差別は無くならなかった。「緑色」の濃い方から差別される様になったのだ。こんな話をおじさんから聞いていると、「今日は息子の誕生日なんだ。家に遊びに来ないか?」と言われた。好奇心旺盛な僕は尻尾を振っておじさんに付いて行く。出会って、2時間くらいで、「Happy Birthday」を息子さんの前で歌っている自分がいた。「おばあちゃんの家に行きたい!」と息子さん。一緒に来るかとおじさん。「行く行く!」と僕。おばあちゃんの家に移動。その家の窓から遠くに「娼館」が見えた。おばあちゃんはそれを指差して、「今、あそこは死の館と呼ばれている」と教えてくれた。ブラジルはアメリカに次いで「エイズ」が流行っている国だったのである。夜も更けてきた。おじさんは僕を車で、コパカバーナ海岸いちばん端にある一泊5000円の安宿まで送ってくれた。翌朝、ホテルの食堂で飲んだカフェ・コン・レーチェ(カフェ・オ・レ)は今まで生きてきた中でいちばん美味しかった。2023年は日本や世界を旅して来て感じたお話を綴っていこうと思っています。
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