15年前、「秘密のケンミンSHOW」の番組スタートの時、「宣伝」の仕事をやっていた。
この番組の制作会社は、「ハウフルス」。
「どっちの料理ショー」(日本テレビ)、「チューボーですよ!」(TBS)など料理を取り扱った番組作りでは定評がある。
「秘密のケンミンSHOW」でも、「試食コーナー」で数々の料理が出て来た。
出演者全員に出す料理。基本的には「フード・コーディネーター」が作るのだが、料理をスタンバイするタイミングが素晴らしい。
そして、「ハウフルス」の社員スタッフが総出で出演者の前に並べるのにかかる時間もものすごく速い。
「熱い鍋」「おでん」などは湯気がちゃんと立っているし、冷たい料理は、「試食コーナー」ギリギリまで冷やして、出演者の前に並べていく。
だから、出演者のコメントも正直に「美味しい!」と言えるのである。
僕が見た中で、いちばん凄いなぁーと思った食べ物がある。
「コーン」を熱い油でカラッと揚げ、その揚げたての「熱々コーン」の上に「何重にも巻いた冷え冷えのクリーム」を載せた「ソフトクリーム」。
上が「冷え冷え」で、下が「熱々」。その境目から「冷え冷えのクリーム」が溶けて、「ソフトクリーム」自体が崩れるのではないかと、僕はヒヤヒヤする。
それが出演者全員分、十数個スタンバイテーブルに並べられているのである。
MCから「試食コーナー」へのフリが終わった瞬間、スタッフ総出で「ソフトクリーム」を並べ出す。
瞬時で出演者の前に「冷え冷え熱々」の「ソフトクリーム」は並び、直ぐに秒読み。本番が再開。「ソフトクリーム」は崩れる事無く、「試食コーナー」も無事終わった。
「ハウフルス」という会社は「テレビ番組」を作るプロ集団だと思う。
創業者の方針で、「子供に見せられないテレビ番組は作らない」「遊び心を常に持ってテレビ番組を作る」という話を聞いた事がある。
この間、最終回を迎えた「タモリ倶楽部」(テレビ朝日)も「ハウフルス」の制作。
だから、「秘密のケンミンSHOW」、番組のバックにかかっている「音楽」が「映像」と「ダジャレ」になっていたりもする。エンドロールでは「スタッフの出身都道府県」も表記されている。
そんな「秘密のケンミンSHOW」、15年間放送して来て、「局のプロデューサー」はどんどん代わっていった。しかし、「ハウフルス」の制作スタッフの中には15年間、番組に関わり続けている人も多い。
ある時、「代わったばかりの局のチーフ・プロデューサー」が「ハウフルス」の番組スタッフ全員が参加する会議でこう言った。
「これからは局が『番組制作』の方針を決めていくからそのつもりでいる様に」
この「チーフ・プロデューサー」はバカである。
「強い誇り」を持って、「秘密のケンミンSHOW」の制作に長年携わっている「スタッフの気持ち」を完全に踏み躙っている。「人の気持ちが分からない者」に番組など作れる訳が無い。
「局のチーフ・プロデューサーは偉い」という大きな勘違いをしているのだ。
「制作会社」と「局」。地上波のテレビがインターネットからの強い攻撃を受けているこの時代、両者が知恵を絞って、「新しいソフト作り」を模索していかなければならないと思う。
いろんな「局」と仕事をしている制作会社「ハウフルス」。その積み上げられて来た「番組作りのノウハウ」はとても貴重。
これからも「ハウフルス」と共に「秘密のケンミンSHOW」の放送が続き、長寿番組の1つとなって欲しい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます