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塩見孝也と全共闘

2023年05月09日 | テレビ番組
僕は構成作家のKさんと東京・高田馬場にある塩見孝也(1941〜2017)の事務所に向かっていた。(以下、全て敬称略)

塩見孝也、元・共産同赤軍派議長。テロリスト。「日本のレーニン」と呼ばれる。

1970年3月逮捕、その半月後に起こった「よど号事件」他で起訴される。

1989年、約20年の刑期を終え、府中刑務所から満期出所。つまり、あの「赤軍派」を作った人と言えば分かりやすいかも知れない。

「EXテレビosaka」で「全共闘」をテーマにするにあたり、ゲストの1人として、出演交渉に行ったのだ。

塩見は僕と構成作家のKさんに「アジ(アジテーション)口調」で延々と話し続けた。「アジ」とは「自分の唱える『主義主張』を大勢の人々を巻き込む形の喋り方」。

僕は20年間刑務所に入っていて、懲りもせず、「アジ口調」で僕らに「赤軍派の主義主張」について話し続ける塩見に大きな違和感を感じていた。

他のキャスティングは作家で「ベトナムに平和を!市民連合」(べ平連)を結成した小田実(おだまこと)(1932〜2007)。

作家の野坂昭如(1930〜2015)。

「自衛隊に入ろう」を歌ったシンガーソングライターの高田渡(1949〜2005)。

脚本家の佐々木守(1936〜2006)。

この番組の放送日は10月21日、「国際反戦デー」。

今は全く見られなくなった学生たちの政治へ向けたパワー。「平和ボケ」していると言われる日本人。

ベトナム戦争後も地球上では悲惨な戦争はあとを絶たない。

1960年代後半から1970年にかけての日本人の政治に対するパワーは何だったのか?

そして、今の日本はこれからどの方向に向かって進んで行くのか?

ゲスト5人と上岡龍太郎でのトークが展開される。

こうして、25年以上前の番組の主旨を書いていると、今の日本にも置き換えられる事が多々あって、ある意味ゾッとする。

番組本編で話された内容の大半は忘れてしまったが、未だに忘れられないエピソードがある。

一つ目は、小田実に出演交渉の電話をした時の事。

僕が自分の事を紹介して、番組内容を説明しようとしたところ、小田実が大声で怒った。

「番組出演なら、まずギャラの額を提示するのが常識だろう!」

小田が長く生活をしていたアメリカではそれが常識だと言う。

小田実が書いた旅行記「何でも見てやろう」に感銘を受けていた僕にはショックな出来事だった。

もう一つは、本番中、塩見孝也が「アジ口調」で「赤軍派を肯定する事」を言い始めた時、野坂昭如が遮った。

「アナタは赤軍派が何をしたか認識していますか?それを総括して世の中に提示しないうちは、塩見さんアナタに発言する権利は無い!」と。

痛快だった。野坂の言っている事が正しい。塩見は返す言葉も無く黙ってしまった。

塩見孝也は66歳になり、「老齢」を感じるまで、自らの組織からのカンパを生活費に充てていた。

しかし、東京都清瀬市シルバー人材センターの紹介により、時給950円で清瀬市所有の駐車場の管理人になる。

「66歳にして労働の意義を知る」と公に発言。体制側に付いたとの批判を浴びた。

そして76歳で、その生涯を閉じる。

こんな番組が作れた環境は今考えても有難い。

「今の日本を考える」

そんなテーマで番組を作れないものか?

日本から見たウクライナや北朝鮮では無く、ウクライナや北朝鮮から見た「日本」という地球上の特殊な国を。


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