芸人・間寛平さんと深夜のレギュラー番組をやっていた事がある。
「寛平の屋台が行く」(1984〜1985年頃・読売テレビ 関西ローカル)。
僕はプロデューサー。吉本興業の谷良一さんと共に。
寛平さんと島田珠代さんが色んな街に行き、屋台を引く。その街で知り合った一般の人々と止めた屋台で「おでん」などを突きながら、トークをする番組である。
別撮りの「花紀京さんのコント」がトークの間に入って来る。
「間寛平さんのトーク」は実はそんなに面白く無い。理由は二年近く番組をやっていて、分かった。
寛平さんが「優しい」からだ。
寛平さんは屋台に座った人に平等に話を振る。話を振る人が「面白いキャラ」かどうかで区別をしない。
それが「踊る!さんま御殿」(日本テレビ)の「明石家さんまさん」と対照的な点。さんまさんは「ゲストとトークしながら、頭の中でトークの編集」をしている。
つまり、さんまさんは「ゲストの面白いコメント」「個性的なキャラクター」を瞬時に感じ取り、見分けて、その人を「深掘り」する。
だから、「面白い所だけ集めたトーク」は当然、「視聴者が笑える面白エピソード」でいっぱいになるのである。
そういう意味では、さんまさんは「冷たい」。「トークが面白く無いゲスト」には二度と話を振らないからである。
「寛平の屋台が行く」の間寛平さんの場合は「トーク」を長めに録り、ディレクターが「編集」で「面白いトーク」の部分だけを切り取り、番組を完成させていた。
引退した島田紳助さん。2時間の特番で9時間話していた事があった。全盛期の紳助さんのトークを止められる人はどこにもいなかった。
あまりの収録の長さに、ゲストたちはかなりお怒りの様子だった事は忘れられない。
明石家さんまさんは「面白いトーク」を引き出す能力に長け、島田紳助さんは「彼自身のトーク」が面白かった。
だから、まだ売れる前の「ダウンタウン」は「島田紳助・松本竜介」の漫才が録音されたテープを繰り返し聞き、独自の漫才を編み出していったのだろう。
「明石家さんまさん」「島田紳助さん」、それぞれ違う「類い稀なきトーク」の才能を持っている。
しかし、僕は「温かい間寛平さんのトーク」が好きである。「一般の人と同じ目線の高さに立ったトーク」が。
間寛平さんとは「寛平の屋台が行く」で長期間、番組作りを御一緒したが、「怒ったり」「キレたり」する事は一度も無かった。
そんな寛平さんを芸人の先輩・後輩も愛している。
「寛平さんの不器用さ・温かさ」が周りの人達を惹きつけて離さないのかも知れない。
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