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スタジオが使えない連続ドラマの現状

2023年05月25日 | テレビドラマ
オールロケのドラマが増え続けている。

いちばんの理由は「予算」。ゴールデン・プライム帯に放送されるドラマに比べて、深夜のドラマの「予算」は1/4位だろうか?

1日借りて、機材費も含めれば、100万円を超えるスタジオを借りられる訳は無い。

そんな時、どうするかというと、都心から離れた千葉・茨城・神奈川などに、今は使っていない倉庫やホールを借りるのである。

そこに1クール常に出て来る全てのセットを建てっぱなしにする。そうすれば、「セットの建て替え費」が要らなくなるから。

倉庫やホール。夏は暑く、冬は寒い。

夏。そうした倉庫の中は灼熱地獄になる。冷房機器をレンタルし、倉庫を冷そうとするが、巨大な倉庫はなかなか冷えない。

本番の時は「冷房機器の音」がマイクに入ってしまうので、いちいち止めないといけないのだ。だから、余計に冷房が効かない。

さらに倉庫とスタジオの違うところは、倉庫の中まで飛行機や車のクラクションの音が響いて来て、それでNGとなる事も多い。

そんなドラマの「宣伝」の仕事をやっていて困るのは、使われていない倉庫やホールの場所がとても行きにくいところにあるという事。

例えば、つくばエクスプレスに乗って、「流山」まで行き、関東鉄道に乗り換え、最後は最寄り駅からタクシーに乗らないとたどり着けない場所に撮影用の「倉庫」があった事もあった。

そんな真夏の撮影、連日脂っこいロケ弁当だったが、一度だけ「製作部」の計らいで、ケイタリングのカレーライスが出た事があった。

お代わり自由。暑い最中だったが、このカレーライスは美味かった。現場に来ていた「制作デスク」の女性と二人でカレーライスを作っていき、僕は並んでいるキャストやスタッフに手渡した。

ここのロケではもう一つ問題が起こった。レギュラーで出ている犬が猛暑の為、かなりバテてしまったのである。スタジオ収録ととんでもなく「暑さ」が違う。

動物プロダクションの担当者と密に連絡を取り、本番直前まで「冷房の効いた動物プロダクションの車」に乗せておいて、「本番」の時のみ、犬を撮影現場に呼び込んだ。

そう言えば、ここの灼熱ロケに野際陽子さんが参加していた。何年前の事だろう。

「映像ソフト」がますます重要になっているこの時代、出来上がった「映像ソフト」で儲かる金額を予測して、現場の「製作費」に還元されるシステムがちゃんと確立したら、どれだけ良い事だろう。

今は「予算節約」の為に、台本を早めに先まで作って、なるべく短期間で撮影していく。その負担はキャスト・スタッフに重くのしかかっている。

「撮影条件」が少しでも良くなれば、「映像ソフト」の出来上がりも良くなると思うのだが・・・

いろんなドラマを観ている今の視聴者を侮ってはいけない。彼等は「映像ソフト」の隅々まで観ている。

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