妹尾河童さんの本を読んで、インドへ行きたい衝動に駆られた。インド国内を移動して効率よく周るには「ツアー」の方が良かろうと、二名から催行のツアーに申し込む。催行されるかどうかの期限が来て、旅行代理店から連絡。参加はまだ僕一人だと言う。慌てて会社の先輩を誘った。
僕と先輩は成田空港からエア・インディアに乗り込む。機内はスパイスの匂いがした。ニューデリー国際空港到着が深夜1時半。入国ゲートには日本語が喋れるインド人の添乗員ラジプットさんが待っていた。着いてみれば、僕たちとラジプットさん、運転手の四人のツアー。
翌日、デリーを観光。猛烈なスピードで車を飛ばして、ピンクシティーと呼ばれるジャイプールへ。たくさんのツアー客がいると、添乗員さんの説明を聞かず、他のものを見ていてもイイが、ツアーに参加しているのは僕と先輩の二人。否応無しにラジプットさんの説明を聞く羽目に。
ラジプットさんは既婚者である。インドにはカースト制度があるので、親同士が決めた同じ階層の男女が結婚当日初めて顔を合わせて夫婦になる。しかし、街で知り合った若者に聞くと婚前の性交渉は当たり前。インドのヒンズー教の寺院の御神体が「男根」だったり、「女陰」だったりする。寺院の壁には「セックスの四十八手」が描かれていたりもする。「性」に関してはとてもおおらかな国。
タージマハールで有名な街。ここは観光客がたくさん訪れるので、治安が悪い。白い巨大な宮殿の形をした墓所にはあまり感動しなかった。
そしてそして、この旅でいちばん楽しみにしていたのが、ウダイプールという街の湖上に浮かんでいる「レイクパレスホテル」。予約を取るのが途轍もなく難しい。幸い前日、宿泊OKになった。このホテルはその昔、インドの王様にあたる「マハラジャ」が建築したもの。「007/オクトパシー」のロケでも使用された。客室の窓のすぐ下まで水が来ている。もちろん、ホテルへは船で渡る。
下痢が止まらず、先輩がベッドから動けない。フロントに頼んで医者を呼んでもらう。診察が終わると、医者の書いたメモを持って船に乗り、薬を買いに行く。薬はポカリスエットの様な脱水症状を防ぐもの。
ツアーの最終目的地はムンバイ。イギリス植民地時代の面影を強く残している大都市。
日本への帰りの便のチェックインの為、空港に行くと、予定されていた飛行機が成田空港を24時間遅れで飛び立ったそうだ。
エア・インディアがその夜のホテルを取ってくれた。夕食はホテルのレストランでお酒を飲みながら。ボーイさんにチップを渡して、生バンドに「misty」をリクエスト。酔った体に名曲が沁み渡る。
交換手を通じて会社に連絡を入れようとするが通じず。大阪弁で怒鳴ったら、一発で通じた。言語関係無く、「怒り」という感情は伝わるようだ。
後日談。ラジプットさんがその後、初来日。自分が案内した日本人観光客が「日本に来たら、是非うちに泊まって下さい!」という彼らの言葉を真に受けて、何人もの人の家を訪ねるが断られ続けたそうだ。日本人の社交辞令の生み出した悲劇。彼は僕の先輩の家に長く滞在し、お土産のサリーを置いて帰国の途についた。
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