日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 河内大掾正廣 Masahiro Wakizashi

2018-04-11 | 脇差
脇差 河内大掾正廣


脇差 河内大掾正廣

 一尺一寸強の平造の脇差。身幅広く反りが深く、先反りも加わって姿に迫力がある。大ぶりの彫り物があり、古作相州刀の再現。良く詰んだ小板目肌に地景が交じって躍動感がある、極上の肥前肌。刃文は相州古作に倣った湾れに互の目交じり。刃中には砂流し、沸筋、金線が組み合わさって流れる。正廣は江戸初期の肥前を代表する一人。すでに世は安定期に向かってはいたであろうが、戦国期を生き抜いた武士の脳裏には、戦のその時がよみがえるのであろう、室内での闘争をも考慮するなど、備えは常に戦いを想定していた。このような平造の小脇差こそ抜刀に適して重宝された武器である。この手の武器を「首切り刀」だと説明している方もおられるようだが、首切りのために腰に、さらにもう一振りの武器を備えるわけがない。