日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 長舩兼光

2010-06-03 | 脇差
脇差 長舩兼光
Wakizashi Kanemitsu

 脇差 銘 備州長舩兼光貞和五年二月日



 兼光(かねみつ)は、光忠―長光―景光―兼光と続く備前長舩鍛冶の正系。鎌倉時代末期から南北朝時代にかけた活躍した、最上大業物作者の一人。青江の短刀とはほぼ同時代だが、地鉄を比較してほしい。武器としての怖さが感じられるであろう。一尺二寸弱の寸法から脇差とは言うものの、この時代は腰刀であり、鎧の前に差して実戦の場で重宝された武器である。
 地鉄は杢目交じりの板目肌が詰み、地景を伴う肌目が綺麗に起ってはいるが、青江の地鉄とはずいぶん違うことに気付くであろう。実は備前物、殊に兼光に特徴的な映りが顕著に現われている。棟寄りが白っぽく、刃寄りが一段黒く沈んでいるように見えるのがそれ。光忠や長光の映りは刃文を写したような丁子映りが主であるが、景光や兼光の映りはこのような刃文とは無関係に乱れる態があり、地鉄の肌起つ風と働き合って凄みが感じられる。地鉄の質も歪んだ杢目よりも流れる板目が主体で、地沸が付いて冴える点は同じ。映りを切り裂くように地景が網目状に働く部分もある。
 刃文は浅い互の目乱で、刃中は匂が充満し、匂のほつれが掛かり、刃中の匂をきるように細かな金線が走る。




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