日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 越後守國儔 Kunitomo Wakizashi

2018-03-10 | 脇差
脇差 越後守國儔

 
脇差 越後守國儔

 これも江戸初期の特徴的造り込み。寸法に比較して身幅が広くがっしりとしている。この造り込みはこの時代にのみあることから、昔から数奇者の垂涎の的となってきた。本作は特に小板目鍛えが詰んでおり、國廣伝の特徴でもあるザングリとした肌から一歩進んで肌がきりっと引き締まっている出来。刃文は湾れに浅い互の目乱が交じり、帽子も浅く湾れて返る。刃中には肌目に沿ったほつれから砂流しに変化した穏やかな沸の流れが広がっており、沸の深さも後の國貞、真改と続く下地となっているようだ。







脇差 越後守國儔 Kunitomo Wakizashi

2018-03-09 | 脇差
脇差 越後守國儔


脇差 越後守國儔

 江戸初期の大坂で活躍した國貞や國助を育てたのが、この國儔。國廣の門人で、その晩年を支えた一人。門人では國貞が國儔の特徴を受け継いでいる。この脇差の造り込みは、一尺三寸ほどの短めだが、身幅広く重ねの厚い、江戸最初期の特徴が顕著。地鉄は小板目肌に板目肌が交じり、地景が肌目を強調して躍動感がある。刃文が綺麗だ。湾れに互の目が交じり、刃境には肌目に伴うほつれが掛かり、それが刃中に及んでいる。砂流しも穏やかに足に絡んで流れる。帽子も小模様に乱れ、ほぼ焼き詰めとなる。



脇差 肥後守國康 Kuniyasu Wakizashi

2018-03-08 | 脇差
脇差 肥後守國康


脇差 肥後守國康

 これが凄い。平造の一尺八寸強。このような作は、まずない。南北朝時代の備前物、相伝備前鍛冶の作を念頭に置いたものであろうか。平造に大振りの彫刻を施しており、造り込みは相州物。互の目の刃文は所々拳状に構成され、また、腰開き互の目が大模様になり、互の目に小丁子が交じって焼頭の出入りが複雑になるなど、覇気に富んだ出来。茎を隠したら作者は判らないだろう。





刀 肥後守國康

2018-03-07 | 
刀 肥後守國康


刀 肥後守國康

 國康は初代國助の子で、一門として同様に大坂で活躍した工。造り込みや作風は似たところがある。しかも上手。この刀も、茎尻に穴をあけているので、実用を強く意識したものであろう。地鉄は良く詰んだ小板目肌。刃文は拳丁子のような揃い方はせず、むしろ自然に高低抑揚が付けられている。足が長く入り、小沸に匂が複合して明るい。刃中には匂の砂流しが掛かって明るく、透明感がある。





脇差 河内守國助

2018-03-06 | 脇差
脇差 河内守國助


脇差 河内守國助

 これも常とは風合いの異なる、小互の目の変化が綺麗な作。即ち、顕著な拳形になっておらず、穏やかな小互の目に始まり、刀身中ほどの焼が鎬筋に掛かるほどに深くなり、物打から再び穏やかになってゆく構成で、帽子は浅く乱れて掃き掛けを伴い、焼き詰め風にごくわずかに返っている。小沸の足が盛んに入っているが、刀寸中程の焼の深いところは足が少なく、刃中は匂で満ちて明るく、この点は國助らしい爽やかな出来。刃文の面白さが際立つ作と言えよう。







刀 河内守國助 Kunisuke Katana

2018-03-05 | 
刀 河内守國助


刀 河内守國助

この刀は、おそらくこの刀工の最高傑作。大振りでしっかりとした造り込みはもちろんだが、多くみられる互の目の連続に比して工夫が感じられ、刃中に強い沸を意識しているところに本作の違いがある。刀身を抜いた瞬間に、常にない一段と激しい乱れが眼に飛び込んで来る。互の目の焼頭は高さがほぼ揃っており、拳状に連続する途中に丸い焼刃が組み込まれている。地鉄が綺麗で匂が澄んで明るいことから、この丸い焼刃が水晶玉のように感じられる。また、互の目の一部に地中の鍛え肌から連続している細かなほつれが加わって景色に変化が生じている。





刀 河内守國助 Kunisuke Katana

2018-03-03 | 
刀 河内守國助


刀 河内守國助

 拳形の互の目を躍動感のある刃文構成に表現したのが二代目國助。大坂の刀工であることから小板目鍛えの地鉄を特徴とし、小沸に匂の複合した明るい焼刃を施して人気が高い。この刀は、元来の寸法が頗る長かったために磨り上げられたものであろう、現状で二尺三寸強。地鉄は小板目肌。刃文は典型的拳丁子。互の目が三つ四つと寄り合って一つの単位となり、これが高低変化しながら連続している。とても綺麗な刃文であり、人気のほども想像ができる。








太刀 来國俊 Kunitoshi Tachi

2018-03-02 | 太刀
上杉家伝来の名刀から

太刀 来國俊元亨元年十二月日

 鎌倉時代後期の山城を代表する名工、来國俊の太刀。来派は、大陸から優れた鍛造技術を携えて渡来した技術集団であった。それまでの我が国の作刀技術に来派の地鉄鍛えが加わり、格段に急速に進歩した、と考えている。良く詰んだ小板目鍛えの地鉄が綺麗で、刀身下半に乱れ映りが現れているのが良く判る。刃文は、備前の互の目丁子の影響を受けているのであろう、湾れ調子の構成に華やかな互の目丁子出来。互の目は大小変化に富み、大振りの互の目は袋状に丸みが大きく、これに小丁子、足が加わって華やか。文保四年に七十五歳作があることから元亨元年は八十一歳。もちろん弟子の相槌があってのことだが、この年齢で、これだけの作品を生み出すのだから、凄い。

脇差 井上和泉守國貞 Shinkai-Kunisada Wakizashi

2018-03-02 | 脇差
脇差 井上和泉守國貞


脇差 井上和泉守國貞

 真改國貞の一尺七寸強のしっかりとした造り込みの脇差。小板目鍛えの地鉄は良く詰んで地沸が厚く付き、所々に湯走りが現われて力強い。刃文は形状のはっきりとしない互の目乱。このような互の目が真改の特徴。焼刃は沸が深く、刃先近くまで沸が広がり、流れるような淡い金線を伴って砂流しが掛かる。とても綺麗な出来。







太刀 助宗

2018-03-01 | 太刀
上杉家伝来の名刀から

太刀 助宗

 鎌倉初期の美しい太刀姿がまず目にとまる。腰反り高く、先幅はしっかりと遺っており、区も深いところから研ぎ減りが少ないのだろう、このような健全な姿は記憶にとどめておきたい。板目肌が良く詰んでいる地鉄は、無垢鍛えからであろう、刀身下半に映りが立っており、思いもよらぬ美しさ。地中に穏やかな景色が窺え、古人もこのような鋼の美観に気付いていたのであろうか、思いは鎌倉時代へと広がる。これに古調な直刃調子の小乱の刃文が焼かれている。刃中は小模様な乱れに小互の目、小丁子がまじり、時代の上がる一文字派の特徴が窺える。

刀 和泉守國貞 Kunisada Katana

2018-03-01 | 
刀 和泉守國貞


刀 和泉守國貞

 國貞は堀川國廣の門流で、國助と共に大坂に出て大成した刀工。國廣のザングリとした肌よりも、小杢の肌目に沿った網目のような地景によって地鉄が躍動感に満ち、本作のように綺麗に起って見える特徴がある。刃文は互の目湾れと、このような直刃がある。本作は、特に直刃の綺麗な出来。単調な直刃ではなく、過ぎることのない小足が上品に入っており、この刃境から刃中向かって、地中から連続する肌目に沿った金線、稲妻を伴うほつれが入る。特に下半が顕著で濃密。地鉄と焼刃の美しさが際立つ作である。