
すみれの花束をつけたベルト・モリゾ 1872年 パリ、オルセー美術館
4月6日に開館した三菱一号館美術館
マネとモダン・パリ展 に行ってきました。
知人に内覧会の招待券をいただいたのですが、あまりの内容の素晴らしさに圧倒され 数日間呆けてしまいました。
赤レンガ造りの建物は 明治時代に建築家ジョサイア・コンドルが設計した三菱一号館を忠実に復元したもの。
丸の内に美術館を建設するという19世紀末の岩崎弥之助氏の夢が、現代に実現したものです。

エドゥアール・マネ(1832-1883)は 三菱の創業者、岩崎弥太郎(1835-1885)氏とほぼ同時代に生きた画家で 龍馬とも4歳違い。
その点でも最近 幕末にはまっている私にはとても興味深い展覧会でした。

「マネの回顧展をフランス国外で作る際、もっとも困難な要素のひとつは、決してパリを離れることがない「草上の昼食」と、近年ではわずかに1度ニューヨークに旅立っただけの「オランピア」という、代表作2点を加えることができない、という現実にある。
それにもかかわらず本展を企画したのは、わが国においてマネという画家の存在が、誤解を恐れずにいえば、「陽の当たらない(マージナルな)」場所に置かれてきたという事実があるからである。
日本においてマネの名を冠した展覧会は、これだけ西欧近代絵画の展覧会が多く開かれている昨今でもたかだか2度しかない。」
(正式カタログより 本展覧会の意味とカタログの構成・高橋明也氏)

発表当時は 現代性がまったく理解されず非難され続けたマネ。
変革に挑み続けた画家のエネルギーが 美術館からほとばしるようです。
エミール・ゾラ 1868年 オルセー美術館

自分を擁護してくれたエミール・ゾラの肖像画。
日本の屏風絵と3つの複製画、力士絵、マネが敬愛したベラスケスの「バッカスたち」、「オランピア」が描きこまれています。
借り出すのが困難といわれるマネの作品が80点あまり、同時代の作品がほぼ同数、
初めて目にするマネの原画の絶対的な黒に圧倒され、畏怖を感じたくらい。。
三菱第一号美術館の高橋館長をはじめ、オルセー美術館館長やコミッショナーの方々の 画家への愛情を感じる素晴らしい展覧会でした。
会期も長いので ぜひもう一度 足を運びたいと思います。
マネとモダン・パリ
4月6日(火)~ 7月25日(日)
三菱一号館美術館(東京丸の内)