■□■カムイミンタラ■□■

旅の話、仕事の話、色々と書いてます。。。

ボーダーライン

2005-12-29 22:58:36 | 病院のシゴト
病床が二つのエリアに別れていて、一つはナースステーションがあるエリア。

重症患者を中心に目の離せない人達がいる。もうひとつはステーションから離れている

ので、割と軽症な人達がいる。その日の私は病棟のヘルパーリーダーをしていた。

一人、気になる患者がいて、入院後の検査で肺がんだとわかり余命は2年。告知なし。

熟年と呼ばれる年齢層で入院時は胸が痛いだけで自分で何でも出来るクリアな人だった。

数日後に喀血して、進行の速さに驚いた。

酸素マスクをするようになっても自分で自分の事はしていて、でも随分と苦しそうだった。

その日の担当ナースは患者を観ていない事で悪評の人だったのでさらに注意をしていた

ハズだった。

仕事が結構、押してしまって、特に何を焦っていたつもりもないのだが、ナースの夜勤者への

送りももう終わっちゃったよなぁ、さっさと終わらせようぐらいにしか思っていなかったはず。

その患者の妹がトランスに手こずっているのを見て、そのぐらい手伝おうと手を貸した時に

随分と状態が悪くなっているなぁと感じた。それが17時30分。

そして自宅に帰って一息ついてから思った。

あの患者は重症エリアに移した方がよかったんじゃないかなぁと。

翌日、出勤して愕然とした。初めて見るデカイ機械。規則正しく動く音。

人工呼吸器を装着していた。急変して挿管したとのこと。それが18時。

そして、その日、18時6分に他の人が亡くなっている。

大変だったであろう事は想像に容易い。18時の夕食は定時に配膳出来なかったと聞いた。

なんで私はあのとき、一言、夜勤ナースに部屋を変えなくていいのか言えなかったのだろうかと

悔いた。それがきっかけで部屋を変えるならば手伝う事は出来たし、また部屋を変える必要が

ないとの判断の上での急変だったらこんなに悔やむ事はなかったと思う。

もちろん私にそこまで責任がある事でもなく、本来なら担当ナースがもっと早くに

気が付いて対応するべき事だった事もわかる。

でも、なぜ、たった一言が言えなかったんだろうと悔やんで悔やんで仕方がない。

もちろん周りは誰も私を責めない。私は何かミスをしたわけでもない。

でも、すごく、重苦しいモノが自分の中に残ってしまった。