「誰もこないレストラン…!」
夢のハワイに着いて2日目。着いた日はともかくしんどかったためホテルでゆっくり過ごし、2日目からは英語の勉強をすべく街に出ることに。観光にはあまり興味がないため(特に一人じゃね~)、ともかく、あちこちぶらつくことにしました。街は当然ながらアルファベットで溢れ、にぎやかで、英語の音があちこちで聞かれますが、英語を話すとなると、友達がいるわけでもなく、機会は全く無し。不思議なものです。アメリカに来ても英語でしゃべれない。間違いなくしゃべることが出来るのは、ホテルのフロント、お店、レストラン。つまり、客商売のところばかりです。これが観光で来て英語(コミュニケーション)を勉強する限界だな、とつくづく感じました。
お昼になりお腹が空いたので、アメリカで始めてのレストランへ。「さて、英語大丈夫かな~、ちゃんと注文出来るかな~」と思いつつ探していると、とあるレストランが目に留まり、「あ、ここでいっか」と決定。でも入ろうとすると、表にはショーウインドウが無い。アメリカには基本的にそんなものはないですね。あるとすれば、Today's Specialについて書いたものとか、メニューをそのまま何かに乗せて置いているとか、かな?「あ、何があるのかわからないじゃん」と思った僕は、もう一度表の看板を見ましたが、名前だけでやっぱりわからない。「どんな料理?ま、何か食べれる物はあるわな。」とドアを引いて中に入りました。何かストップサインみたいなサインボード越しに店内を見渡し、適当な席をみつけ、席につきました。テーブルには前にいた人の残したコップがまだ残っていて、片付けが済んでいない様子。「ま、しょうがないか。そのうち誰か来るだろう。」と思い、Waitressさんが来るのを待つ事に。
店内は結構にぎやかで、お客さんの出入りが激しい、明るいレストラン。「はあ、これがアメリカンレストランね」と、店の様子、客の様子を眺めること10分。誰も来ない…。「ん、あれ?アメリカではお水持って来ないの?メニューもないしな~?」とあたりを見回すと、ウェイトレスの姿。じっと見ていると、こっちに気づいたみたいで、ニコッと笑ったので、こちらもニコッ。「こっち、まだですよ~」と、眉毛をあげて、いかにも何か言いたそうな表情を作ってみたものの、すぐに目を外され、失敗…。「あれ、なんで?」と思いつつも、「ま、次は気づいてくれるだろう」と、待ちモードへ。
しばらくすると店はだんだん混んできました。でも僕のところにはまだ誰も来ない…。そのうち、僕の目の前をウェイトレスに付き添われたカップルが通り過ぎたかと思うと、すぐそばの席へ。「ん?」と思っていると、そのウェイトレスはすぐに戻ってきて、なんと彼らから注文を取り始めたじゃないですか。「おい、おい!こっちが先でしょ!」とは思っていても、残念ながら言葉が出ない。「え、何て言えばいいのかな~こんな時?Me, first? Come here, please??」などと考えても、心臓バクバクの状態で、しかも、これだけたくさんのネィティブの前で大きな声を出すだけの勇気など、そりゃあ、あるわけありません!じっとそのウェイトレスの目を見つめ、「気づけ!気づけ!」と願うばかりでした。あ、そのうち、「気づけ!」は「お願い!気づいてください!」と心の悲鳴になりましたが…(涙)。でも、そんな表情を見せるのは日本人の恥。ひたすら平静を装い、知らん顔をしながらもあたりを見回し、救助隊(?)、いや、一人のウェイトレスさんの到着を待ち続けました。
さてさて、店内に入って早40分が過ぎ、最初の頃は「大丈夫。そのうち誰かが来る。だって、ここレストランでしょ」と思っていたものの、一向に誰も来ない現状にいらだちを覚えるとともに、怒りの感情が…。でも、英語に自信のない、気の弱い日本人(あ、僕のことです)、何も言えません。客が入っては出ていき、あちこちでウェイトレスが歩いているのに、こちらへは来ない。しかも、です。だんだんとそのウェイトレスの目つきが冷たくなるではないですか?「え、何で?僕は被害者なのに、なんでそんな目で見られるの?」と、思うと、じわっと冷や汗が額を濡らし始め、お腹が、グウ~。「いかん、もう限界だ。出るぞ、このレストラン!」と思ってはみたものの、ここで出るとまわりの目、そして、あのウェイトレス達の目が…怖い。」しかし、僕は勇気を振り絞り(おおげさ…)決めたのです。謙譲の美徳、忍耐の美徳を持った日本人でも、もう限界。ここはもう自分から積極的に行かねば餓死してしまう(これも…)、しかも、なぜかわからないが、あのあざけり(?)の中で…。そこで、
Nao: (手を大きく挙げて)Excuse me, ma'am.(また、敬語?)
Waitress: Yes, sir. Can I help you?
Nao: Yes, I don't have a menu here.
Waitress: What? Aren't you finished?
Nao: No! I didn't eat anything.
Waitress: No, kidding. Oh, I'm very sorry. I thought you have already finished eating and you are just waiting for someone.
Nao: (ん、なんて?誰かを待ってた?この僕が、なんで?)No, I came here alone and I have been waiting for a long time.(あ、言えたじゃん。)
Waitress: Then, this is not your glass, is it?
Nao: Glass? Oh, no! It's not mine.
Waitress: All right. Sorry, again. I will bring you a menu right now. Don't go anywhere!
Nao: Sure.(いくわけないっしょ!お腹減ってんのよ、こっちは。でも、何でこんなことになったんだ?わからん。)
さて、その後は無事に注文。そしてやっとの思いで食べたのは、なんとハンバーガー。え、なんでそんなもの食べたのかって?だって、他のメニューはややこしくて、また誤解でもあったらあと何時間待つかわからないでしょ。とりあえず、安全パイというやつです。さて、食事をすませた僕は、check(勘定書/伝票)を持ってレジ(cashier/キャッシアー)へ。無事にお金を払った僕は、外に出ようとして後ろを向くと、何かにぶつかりました。「痛っ!なんじゃこれは?あ、入り口のストップサインみたいなサインボードね」そう思ってそれを何気なく見ると、「なになに、Please Wait to Be Seated?」(愕然!!!)
そう、みなさん、もうわかりましたよね。その意味は、「座るためにお待ちください」、つまり、「座るのはちょっと待ってください」、わかりやすく言うと、「誰かが来て案内して席に座ってもらいますから、それまで少しお待ちください」という意味ですね。僕はその文化を知らなかった(読まなかった)から、勝手に席についてしまった。しかも、そのテーブルには前に座っていた人のコップが…。ウェイトレスさん達は、みんな僕がもう食事を終わって誰かを待っていたか、あるいは、ただ、時間を漫然とつぶしていた変な日本人としか見ていなかったわけです。あ、それであの視線…。すべてがはっきりした瞬間でした。教訓!皆さん、何か書いてあったら、自分の思い込みで動く前に、必ずその何かを読んでくださいね。これは僕が文化の違い、その理解の大切さを始めて「身をもって」実感した、過酷な(?)体験の記録でした(^^)。では、今回はこの辺で。See you in the next episode!
(End of Story)
夢のハワイに着いて2日目。着いた日はともかくしんどかったためホテルでゆっくり過ごし、2日目からは英語の勉強をすべく街に出ることに。観光にはあまり興味がないため(特に一人じゃね~)、ともかく、あちこちぶらつくことにしました。街は当然ながらアルファベットで溢れ、にぎやかで、英語の音があちこちで聞かれますが、英語を話すとなると、友達がいるわけでもなく、機会は全く無し。不思議なものです。アメリカに来ても英語でしゃべれない。間違いなくしゃべることが出来るのは、ホテルのフロント、お店、レストラン。つまり、客商売のところばかりです。これが観光で来て英語(コミュニケーション)を勉強する限界だな、とつくづく感じました。
お昼になりお腹が空いたので、アメリカで始めてのレストランへ。「さて、英語大丈夫かな~、ちゃんと注文出来るかな~」と思いつつ探していると、とあるレストランが目に留まり、「あ、ここでいっか」と決定。でも入ろうとすると、表にはショーウインドウが無い。アメリカには基本的にそんなものはないですね。あるとすれば、Today's Specialについて書いたものとか、メニューをそのまま何かに乗せて置いているとか、かな?「あ、何があるのかわからないじゃん」と思った僕は、もう一度表の看板を見ましたが、名前だけでやっぱりわからない。「どんな料理?ま、何か食べれる物はあるわな。」とドアを引いて中に入りました。何かストップサインみたいなサインボード越しに店内を見渡し、適当な席をみつけ、席につきました。テーブルには前にいた人の残したコップがまだ残っていて、片付けが済んでいない様子。「ま、しょうがないか。そのうち誰か来るだろう。」と思い、Waitressさんが来るのを待つ事に。
店内は結構にぎやかで、お客さんの出入りが激しい、明るいレストラン。「はあ、これがアメリカンレストランね」と、店の様子、客の様子を眺めること10分。誰も来ない…。「ん、あれ?アメリカではお水持って来ないの?メニューもないしな~?」とあたりを見回すと、ウェイトレスの姿。じっと見ていると、こっちに気づいたみたいで、ニコッと笑ったので、こちらもニコッ。「こっち、まだですよ~」と、眉毛をあげて、いかにも何か言いたそうな表情を作ってみたものの、すぐに目を外され、失敗…。「あれ、なんで?」と思いつつも、「ま、次は気づいてくれるだろう」と、待ちモードへ。
しばらくすると店はだんだん混んできました。でも僕のところにはまだ誰も来ない…。そのうち、僕の目の前をウェイトレスに付き添われたカップルが通り過ぎたかと思うと、すぐそばの席へ。「ん?」と思っていると、そのウェイトレスはすぐに戻ってきて、なんと彼らから注文を取り始めたじゃないですか。「おい、おい!こっちが先でしょ!」とは思っていても、残念ながら言葉が出ない。「え、何て言えばいいのかな~こんな時?Me, first? Come here, please??」などと考えても、心臓バクバクの状態で、しかも、これだけたくさんのネィティブの前で大きな声を出すだけの勇気など、そりゃあ、あるわけありません!じっとそのウェイトレスの目を見つめ、「気づけ!気づけ!」と願うばかりでした。あ、そのうち、「気づけ!」は「お願い!気づいてください!」と心の悲鳴になりましたが…(涙)。でも、そんな表情を見せるのは日本人の恥。ひたすら平静を装い、知らん顔をしながらもあたりを見回し、救助隊(?)、いや、一人のウェイトレスさんの到着を待ち続けました。
さてさて、店内に入って早40分が過ぎ、最初の頃は「大丈夫。そのうち誰かが来る。だって、ここレストランでしょ」と思っていたものの、一向に誰も来ない現状にいらだちを覚えるとともに、怒りの感情が…。でも、英語に自信のない、気の弱い日本人(あ、僕のことです)、何も言えません。客が入っては出ていき、あちこちでウェイトレスが歩いているのに、こちらへは来ない。しかも、です。だんだんとそのウェイトレスの目つきが冷たくなるではないですか?「え、何で?僕は被害者なのに、なんでそんな目で見られるの?」と、思うと、じわっと冷や汗が額を濡らし始め、お腹が、グウ~。「いかん、もう限界だ。出るぞ、このレストラン!」と思ってはみたものの、ここで出るとまわりの目、そして、あのウェイトレス達の目が…怖い。」しかし、僕は勇気を振り絞り(おおげさ…)決めたのです。謙譲の美徳、忍耐の美徳を持った日本人でも、もう限界。ここはもう自分から積極的に行かねば餓死してしまう(これも…)、しかも、なぜかわからないが、あのあざけり(?)の中で…。そこで、
Nao: (手を大きく挙げて)Excuse me, ma'am.(また、敬語?)
Waitress: Yes, sir. Can I help you?
Nao: Yes, I don't have a menu here.
Waitress: What? Aren't you finished?
Nao: No! I didn't eat anything.
Waitress: No, kidding. Oh, I'm very sorry. I thought you have already finished eating and you are just waiting for someone.
Nao: (ん、なんて?誰かを待ってた?この僕が、なんで?)No, I came here alone and I have been waiting for a long time.(あ、言えたじゃん。)
Waitress: Then, this is not your glass, is it?
Nao: Glass? Oh, no! It's not mine.
Waitress: All right. Sorry, again. I will bring you a menu right now. Don't go anywhere!
Nao: Sure.(いくわけないっしょ!お腹減ってんのよ、こっちは。でも、何でこんなことになったんだ?わからん。)
さて、その後は無事に注文。そしてやっとの思いで食べたのは、なんとハンバーガー。え、なんでそんなもの食べたのかって?だって、他のメニューはややこしくて、また誤解でもあったらあと何時間待つかわからないでしょ。とりあえず、安全パイというやつです。さて、食事をすませた僕は、check(勘定書/伝票)を持ってレジ(cashier/キャッシアー)へ。無事にお金を払った僕は、外に出ようとして後ろを向くと、何かにぶつかりました。「痛っ!なんじゃこれは?あ、入り口のストップサインみたいなサインボードね」そう思ってそれを何気なく見ると、「なになに、Please Wait to Be Seated?」(愕然!!!)
そう、みなさん、もうわかりましたよね。その意味は、「座るためにお待ちください」、つまり、「座るのはちょっと待ってください」、わかりやすく言うと、「誰かが来て案内して席に座ってもらいますから、それまで少しお待ちください」という意味ですね。僕はその文化を知らなかった(読まなかった)から、勝手に席についてしまった。しかも、そのテーブルには前に座っていた人のコップが…。ウェイトレスさん達は、みんな僕がもう食事を終わって誰かを待っていたか、あるいは、ただ、時間を漫然とつぶしていた変な日本人としか見ていなかったわけです。あ、それであの視線…。すべてがはっきりした瞬間でした。教訓!皆さん、何か書いてあったら、自分の思い込みで動く前に、必ずその何かを読んでくださいね。これは僕が文化の違い、その理解の大切さを始めて「身をもって」実感した、過酷な(?)体験の記録でした(^^)。では、今回はこの辺で。See you in the next episode!
(End of Story)