表現71)Eat your heart out!(うらやましがってね!)
この表現は、ちょっとややこしいのです。なぜって?その意味が状況によって微妙に、かなり(どっち?)変わってくるからです。ではまず、この表現をそのまま訳してみましょう。eat your heart ですから、誰でもわかりますよね。つまり、「あなた(おまえ)のハート(心臓?)を食べ尽くす」(outがあるので強調されます)ですね。ということは、それが命令形になっているので、「あなた(おまえ)のハート(心臓?)を食べ尽くせ!」になる…?
では、その表現が出来た背景について。語源をみると、どうも古代ローマ時代にさかのぼるようです(古!)。そしてそれを始めて使ったであろう人は、なんと、あの叙情詩「オデッセイ」を書いた、詩人ホーマーとのこと(え?誰?)。わからない皆さんはどこかの百科事典で引いてみてくださいね(僕も偉そうには言えませんが…)。
heart (心臓/ハート)は、そもそも人の感情と密接に繋がっており、感情の中心であると考えられてきました。あ、今は脳(brain)だとみんな知ってますけどね。でも、今でも「気持ち」のことを指す時は、日本語でも英語でも、「心」(ハート)って言いますよね。
人がつらい目にあったり、苦しむ時は、その感情(ハート)が段々小さくなる、あるいは、薄くなっていくって感じません?だってその反対だと、「心が大きくなる」とか「心が豊かになる」とか言うでしょう(納得!)。そこで、その感じを表現する言葉として使われ出したのが、eat one's heart out(今回の場合はeat your heart out)です。つまり、そんなつらい、心が痛むようなひどい状況は、あたかも自分のハート(heart)を食べている(eat out)も同様だというわけです。ですから、eat one's heart out は、「(どうしようもない状況に)ひどく不幸を感じる」「(悲しみや心配事で)つらい思いをする」といった意味になります。
え?でも、どうしてそれが冒頭の「うらやましがってね!」になるか、ですか?そう、そこが、ちょっとややこしいと言った点です。確かにeat your heart out は「あなたはつらい思い(不幸)を感じる」という意味に違いありません。もっと原義に近い言い方をすると、「自分のハートを食べて少なくするほどにつらい思い(不幸)を感じる」といったところです。でも、それが命令形の文になったらどうなるか…。
「自分のハートを食べて少なくするほどにつらい思い(不幸)を感じなさい」、あるいは、「つらい思い(不幸)を感じなさい」になりますよね。でも、何(誰)に対して?…それは、その言葉を言ってる人に、ということになります。だって、命令形を使う以上、言ってる人は、それを自分との関係で言うのが自然ですからね。
そこで、「不幸せを感じなさい」→「いやな感じ(もやもや感)を感じなさい」→「ジェラシーを感じなさい」→「うらやましがりなさい」、そして最後に、「うらやましがってね!」という語感になるわけです。これはあくまで一つの訳ですから、その意図する意味は使う人によって千差万別ということになります。その感覚さえわかってもらえれば大成功です。
ですから、eat your heart outそのものの意味は、けっこう暗いわけですが、それを誰かに命令形で言うと、冗談っぽい言い方になるというわけです。あ、もちろん、冗談じゃなく言うと、「苦しめ!」「ざまあみろ」「どうだ、うらやましいだろ」みたいな、品の悪い、性格の悪さを示す言葉になりますので、使う時は、ちょっと茶目っ気を持って、冗談っぽく言うようにしてくださいね。間違うと、人間関係が破壊され、それこそ、言ったあなたが、eat your hear out(すっごくつらい目にあう)ことになりますよ。お気を付けを…。では、簡単な会話で今回の表現を確認してみましょう。Here you go!
(at a theater/劇場で)
Anne: Eat your heart out, everyone. I got the lead in the next play.
(うらやましがってね!みんな。今度の舞台の主役は私よ)
Mary(talking to Jane): Why is she? I thought Janet got the lead.
(ジェーンに向かって)なんで彼女なの?ジャネットが主役だと思ってたわ)
Jane: There was a rumor that Anne was dating with the producer.
(アンがプロデューサーとデートしてたって噂があったじゃない)
Mary: That's right. And Janet doesn't like him, so she said no to his asking her out.
(そうだったわね。そして、ジャネットは彼のこと好きじゃなかったから、彼からのデートの誘い、断ったしね)
Jane: Yes, I remember that.
(そうだったわね。覚えてるわ)
Mary: Look at Janet. She is eating her heart out. Let's talk to her later.
(ジャネットを見てよ。すごく落ち込んでるわ。後で話しに行きましょう)
Jane: Sounds like a good idea.
(いい考えね)
芸の世界は大変ですね。しかし、競争は芸の腕で競ってほしいものですよね。別のところではなく…。今回は日本語の発想にはない、きわめて英語的な表現を取り上げました。ただ一つ気になっていることがあります。それは…この表現が現在どの程度頻繁に使われているかということ。ま、こんな状況、あんまりないですしね。たまたま使える状況があった時にでも(もちろん、英語を話す環境でね)皆さん、使ってみてくださいね。例えば…アメリカ留学中に宝くじが当たった時とか…Eat your heart out! I got a winning lottery ticket. …て、そんなことないですよね。では、また。See you in the next story, guys. Good-bye! Have a good one! Nao
この表現は、ちょっとややこしいのです。なぜって?その意味が状況によって微妙に、かなり(どっち?)変わってくるからです。ではまず、この表現をそのまま訳してみましょう。eat your heart ですから、誰でもわかりますよね。つまり、「あなた(おまえ)のハート(心臓?)を食べ尽くす」(outがあるので強調されます)ですね。ということは、それが命令形になっているので、「あなた(おまえ)のハート(心臓?)を食べ尽くせ!」になる…?
では、その表現が出来た背景について。語源をみると、どうも古代ローマ時代にさかのぼるようです(古!)。そしてそれを始めて使ったであろう人は、なんと、あの叙情詩「オデッセイ」を書いた、詩人ホーマーとのこと(え?誰?)。わからない皆さんはどこかの百科事典で引いてみてくださいね(僕も偉そうには言えませんが…)。
heart (心臓/ハート)は、そもそも人の感情と密接に繋がっており、感情の中心であると考えられてきました。あ、今は脳(brain)だとみんな知ってますけどね。でも、今でも「気持ち」のことを指す時は、日本語でも英語でも、「心」(ハート)って言いますよね。
人がつらい目にあったり、苦しむ時は、その感情(ハート)が段々小さくなる、あるいは、薄くなっていくって感じません?だってその反対だと、「心が大きくなる」とか「心が豊かになる」とか言うでしょう(納得!)。そこで、その感じを表現する言葉として使われ出したのが、eat one's heart out(今回の場合はeat your heart out)です。つまり、そんなつらい、心が痛むようなひどい状況は、あたかも自分のハート(heart)を食べている(eat out)も同様だというわけです。ですから、eat one's heart out は、「(どうしようもない状況に)ひどく不幸を感じる」「(悲しみや心配事で)つらい思いをする」といった意味になります。
え?でも、どうしてそれが冒頭の「うらやましがってね!」になるか、ですか?そう、そこが、ちょっとややこしいと言った点です。確かにeat your heart out は「あなたはつらい思い(不幸)を感じる」という意味に違いありません。もっと原義に近い言い方をすると、「自分のハートを食べて少なくするほどにつらい思い(不幸)を感じる」といったところです。でも、それが命令形の文になったらどうなるか…。
「自分のハートを食べて少なくするほどにつらい思い(不幸)を感じなさい」、あるいは、「つらい思い(不幸)を感じなさい」になりますよね。でも、何(誰)に対して?…それは、その言葉を言ってる人に、ということになります。だって、命令形を使う以上、言ってる人は、それを自分との関係で言うのが自然ですからね。
そこで、「不幸せを感じなさい」→「いやな感じ(もやもや感)を感じなさい」→「ジェラシーを感じなさい」→「うらやましがりなさい」、そして最後に、「うらやましがってね!」という語感になるわけです。これはあくまで一つの訳ですから、その意図する意味は使う人によって千差万別ということになります。その感覚さえわかってもらえれば大成功です。
ですから、eat your heart outそのものの意味は、けっこう暗いわけですが、それを誰かに命令形で言うと、冗談っぽい言い方になるというわけです。あ、もちろん、冗談じゃなく言うと、「苦しめ!」「ざまあみろ」「どうだ、うらやましいだろ」みたいな、品の悪い、性格の悪さを示す言葉になりますので、使う時は、ちょっと茶目っ気を持って、冗談っぽく言うようにしてくださいね。間違うと、人間関係が破壊され、それこそ、言ったあなたが、eat your hear out(すっごくつらい目にあう)ことになりますよ。お気を付けを…。では、簡単な会話で今回の表現を確認してみましょう。Here you go!
(at a theater/劇場で)
Anne: Eat your heart out, everyone. I got the lead in the next play.
(うらやましがってね!みんな。今度の舞台の主役は私よ)
Mary(talking to Jane): Why is she? I thought Janet got the lead.
(ジェーンに向かって)なんで彼女なの?ジャネットが主役だと思ってたわ)
Jane: There was a rumor that Anne was dating with the producer.
(アンがプロデューサーとデートしてたって噂があったじゃない)
Mary: That's right. And Janet doesn't like him, so she said no to his asking her out.
(そうだったわね。そして、ジャネットは彼のこと好きじゃなかったから、彼からのデートの誘い、断ったしね)
Jane: Yes, I remember that.
(そうだったわね。覚えてるわ)
Mary: Look at Janet. She is eating her heart out. Let's talk to her later.
(ジャネットを見てよ。すごく落ち込んでるわ。後で話しに行きましょう)
Jane: Sounds like a good idea.
(いい考えね)
芸の世界は大変ですね。しかし、競争は芸の腕で競ってほしいものですよね。別のところではなく…。今回は日本語の発想にはない、きわめて英語的な表現を取り上げました。ただ一つ気になっていることがあります。それは…この表現が現在どの程度頻繁に使われているかということ。ま、こんな状況、あんまりないですしね。たまたま使える状況があった時にでも(もちろん、英語を話す環境でね)皆さん、使ってみてくださいね。例えば…アメリカ留学中に宝くじが当たった時とか…Eat your heart out! I got a winning lottery ticket. …て、そんなことないですよね。では、また。See you in the next story, guys. Good-bye! Have a good one! Nao