ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

気になる言葉 AGAIN6

2022-02-23 15:24:00 | 日記
甲斐さんは「音楽は音楽で語られなければならない」という
大瀧詠一さんの言葉をよく口にされますが、美術家のアルベルト・ジャコメッティも
「絵画で語りうることは、全て絵画で語る方がいい
同じように、彫刻でしか語れないものが、真の彫刻だ

問題は、それぞれの流儀でしか語れないものを知ること
制作から余分なものを削ぎ落とすこと
世界には、聴き取られるべき無数の音色がある
人はそれを聴き、語る仕方を違えもするので
精髄だけを取り出すにも、無数の努力が要る」…と話していて
「語る」側は「聴く」側には計り知れない苦心の末の作品を
いわば無造作にも思えるくらい、あっさりと受け手の前にさらけ出しているんだなあと…(汗)

歌人の高野公彦さんが「本当のわれに会ひたく歌を詠み、詠みて本当のわれ見失ふ」…
歌の形を整えようとアレコレいじっている内に詠おうとした、その最初の心境を忘れてしまう
あるいは、何か新しい視点を得ると、これまで前景にあったものが急に色褪せてしまい
むしろ何かを失ったような気になる…といった心境を詠まれたり

若き日の中村メイコさんが「結婚することが決まった」とお伝えになったら
ご友人のお一人と思っていらした永六輔さんに泣かれてしまわれ
困ったメイコさんは、作家のお父様(中村正常さん)に電話をおかけになり
「『上を向いて帰りたまえ』と伝えたまえ『涙がこぼれないように』とね」という助言を受けられ
そのまま永さんにお伝えしたことが、あの大ヒット曲に繋がったとしたら
ある意味、メイコさんのお父様の作品とも言えそうですけど(笑)

永さんが、失恋の衝撃と、その相手のお父様の言葉を全身で受けとめられたあと
例えば、日記などに、その悲しさや苦痛をストレートに吐き出すのではなく
メイコさんのお父様の言葉をそっくり引用されたとはいえ
あくまでも「歌詞」として綴られることで、昇華なさった時点で、もう永さんの作品ですよね?

一方で、漫画家の本田さんは「ほしとんで」という作品に…
ある中学生が、ノートに架空の物語を綴っていたところ
クラスメートたちも参加し始めて「リレー小説」のような作品となり
それを知った学校側から「皆に勇気と感動を与えた」と表彰されたものの

本人は「何それ?」という違和感の中で「自分が楽しければいいだけ
先生の感謝のスピーチにも歯が浮いた
第三者に話して『気持ちわかる~!』って言われたら、絶対嘘だってこと
妙な理解は要らない、そっとしておいて欲しい」…といった書き手の心情を描かれていて

これが、プロとアマチュアの境い目というか
高校生の時に「照和」に出られた甲斐さんは
「気の合う仲間たちと音楽を楽しむこと」に重きを置かれていたのに対し
脱サラ後、1年半くらいの間にアルバム3枚分の曲を書きためてデビューするとお決めになったり
デビュー後、以前からずっとお付き合いされていた女性と別れたあとに
どれだけプライベートをさらけ出すか、それで普遍的な曲を書けるかと悩まれたり
…といった部分は、当然「楽しい」だけじゃ済まないんじゃないかと…?(汗)

ともあれ…世界3大音楽コンクールの1つ、ピアノのショパン国際コンクールで
第2位になられた反田恭平さんは…「将来、日本でソリストを育てる音楽学校を創りたい
その夢を実現させるために、オーケストラを率いたり、コンクールに出たりして有名になり
将来の先生候補の音楽家と世界で知り合う…という風に、全て逆算して人生を歩んでいるんです」
…とおっしゃっていて、この第2位という快挙ですら通過点に過ぎないのがスゴくね?(笑)

もちろん、プロの方だけでなく、アマチュアの方々も
その根底に「好きなこと」や「夢」に対する情熱を秘めておられるのは同じでしょうし
例えば、画家の阿部知暁さんは、小学6年生の時に行かれた動物園で
檻を叩くゴリラに驚かれ、思わず腰を抜かしたご自分を見たゴリラに笑われたことから
「人の気持ちが判るんだ!?」とお気づきになって以来
「ゴリラ見たさ」に、22ヵ国を訪問され、動物園ではゴリラ舎の前で、閉園までひたすらスケッチ

「1頭1頭、性格や表情がそれぞれ違う
同じボスでも、徳のある者と徳のない者がいる
その個性を描きたいんです」との思いで36年…
今や、全国各地での個展開催に繋がっておられるらしく
「これを知る者はこれを好む者にしかず
これを好む者はこれを楽しむ者にしかず」という論語の言葉そのままに
「何か1つ、好きなものを楽しみ、究める」阿部さんは
「真に打ち込めるものを持てば、人生はどこまでも輝く」を体現なさっているみたいです

ただ、ある画家志望の男性が「絵を描くのが辛いが、他に何もないから、やり続けるしかない」
…と悩まれているのをご覧になったお母様が
「自分を追い込んでいるとしか思えない」と、うろたえておられるのへ
ノンフィクション作家の最相葉月さんは…
「『これより他に道はない』と覚悟した瞬間から始まる道があります
逆に、追い込むことをしない作品に、誰が心を動かされますか?
その絶望こそが、今の彼には必要なので、静観してあげて下さい」…と助言なさったそうで

「何か1つ、好きなものを究める」過程では
「楽しむ」余裕がなくなってしまうのもまた事実みたいだけど
「日本の社会で働く男の70~80%がサラリーマン」の頃に
「4ヶ月しか出来なくて、完全に『サラリーマン挫折派』」となられ
「ミュージシャンを選んだ」甲斐さんも「もうここを外したら、俺はナンなんだ!?」という
「人生の崖っぷち」に追い込まれていらしたようです

でも、編集者の干場弓子さんの言葉
「欲しいものに一直線に辿り着ける人など、めったにいない
一見、無駄に見える途中が大事で、そこでの思わぬ巡り合わせから道は開ける
道はむろん楽しい方がいいが、それは『楽』ということではない
あれも無駄、これも無駄…とやって行ったら
最後には、一番無駄な存在は自分だ…ってことにならないか?
まずは、何かを無駄と決めつける、その視線を揺さぶらなければならない」…の通り

「『サラリーマン挫折派』ではあるけど
わずか4ヶ月だけでも、やって良かったと思うのは
『満員電車に乗ったか、乗らなかったか』というようなことではなくて
『ある決められた9時から5時まで働く…ということが、いかにハードか』を知るだけでも
かなり違ったと思うからなんだ」と甲斐さん
今も、長いキャリアの秘訣を訊ねられるたびに
「自分が飽きてしまわないように、無駄なこともいっぱいやる」とお答えになってますが

かつて「サンスト」の「家出のススメ(笑)」の回でも…
「色んなことを経て、大きくなって行って欲しい
だけど、言っとくけど、成功するには失敗が必要だからね
てめえの中から良いものを導き出してくれるのは、失敗以外にない
失敗を恐れるようなやり方は、基本的にデッカく太くなりにくい…という風に思う
てめえの人生だから、てめえで責任を取りゃあいいんだよ
問題ない、ハッキリ言って、あとは法律さえ守りゃあ、何やったっていいんだから

徹底して何かをやった人っていうのは、第一線に戻って来た時、みんなチャーミングよね
男も女も、ものすごくイイよ
徹底してやると、そんなてめえに自信が出て来るからね
(徹底してやらないと)面白くないよ、アナタ
その内、死んじゃうんだから(笑)」…と話されていて
その「徹底」の中には、勉強や仕事だけじゃなく
遊びや恋愛、もちろん「無駄なこと」も含まれていたでしょうし
そもそも、生きて行く上で「無駄なこと」など1つもないと思っておられるんでしょうね?(笑)
コメント
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