ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

「へえー、知らなかった!」その4

2018-01-25 13:28:00 | 日記
甲斐バンドが「NY3部作」をリリースした際に
甲斐さんが「この日本っていう国は
何でも3回やらないと判らない」とおっしゃってましたが

国民性を表した数々のジョーク…例えば「男性が夢みる生活は
イギリス風の家に住み、日本人女性を妻にして
ドイツ人のメイドと中国人のコック、アメリカ人の秘書を雇い
フランス人女性を愛人に持つこと」とか

「アメリカの自動車会社が、ロシアと日本の工場に部品を発注する際
『不良品は、1千個につき1個にすること』と要求したら
ロシアの工場は『大変困難な条件です
期日までに間に合いません』と泣きついた

しかし、日本の工場は『納期に向けて作業は順調です
ただ、不良品用の設計図が届いておりません
早急に送付して下さい』と答えた」…といったものがあるように

日本人は「貞淑な女性が多い」「勤勉実直な仕事ぶりである」
…というイメージを持たれている一方で

沈み始めた豪華客船から、乗客を脱出させるため
「イギリス人には『飛び込めば、あなたは紳士です』と言い
ドイツ人には『飛び込むのが規則になっています』と訴える
そして、日本人には『みんな飛び込んでますよ』と囁けばいい(笑)」

…って、痛いトコ突くなあ(苦笑)という指摘もあるんだけど
この痛いトコを実際に経験されたのが作家の本谷有希子さんで…

「電車に乗っていた時に異臭を感じたことがある
鼻を突く、微かな刺激臭だ
私は、ハッとして辺りを見渡した
車内に人はまばらだったが、誰もが何くわぬ顔で電車に揺られていた

思わず、目の前に座っている女の子を見た
すると、彼女もこの異臭に気づいているらしい
だが、どうも騒ぐと恥をかくかも知れないと
しれっと座り続けている様子なのである

あるいは『みんな気にしてないから大丈夫』と判断したのかも知れなかった
私も『そうだ、誰も騒いでいないじゃないか』とホッとしかけた
しかし、よく見渡すと、そこにいる全員が
同じような表情をしていることに気づいて、慌てて車両を移った

結局、電車は何事もなく走り続けた
彼らの反応は正しかったのだ
けれど、あれは異様な光景だったなあと思わずにいられない
強くなる刺激臭の中、他人の目を気にして
みんながしれっと座り続ける光景に
確かに私はぞーっとするものを覚えた」と記されてますが

これが、関西の電車だったら(笑)
おそらく?誰かが「変なニオイするなあ」と口にすると
別の誰かが「私もさっきからそう思ってた!」とか言い始め(笑)
見知らぬ同士でも、車掌室に連絡するなり
協力して対応したんじゃないかと…?

まあ、それはさておき…「他人の目を気にして」というか
率先して行動することが苦手というか
日本人には、そういう気質があることは確かで
逆に言えば、誰かが「異臭だ!」と叫んだら
こぞって大騒ぎしたかも?…とも考えられますよね(汗)

ただ、事故や災害が起きた時に
「きっと大したことじゃない」と自らに都合よく解釈して
事の深刻さを見誤ることを「正常性バイアス」というらしく

この心理は日本人に限らず、アメリカでの同時多発テロの際
旅客機に突っ込まれた、その高層ビルの中に
「ここは大丈夫」「すぐに収まる」と思って
避難しなかった方々がおられたんだとか…(汗)

ナンでそんな判断を…と思われるかも知れませんが
ボクも阪神大震災の時に、いったんは飛び起きたものの
「デカかったなー!」と言って二度寝をしようとして
奥さんから「オイオイ!」とツッコまれました(汗)

まあ、言い訳させて頂くと
子供の頃から、三陸沖の大きな地震を経験していたし
確かに関西では珍しいなあとは思ったけど
多少、物が壊れたり、家具が倒れたりした程度だったこともあり
「大したことじゃない」と思ってしまったんですよねぇ…(苦笑)

実際には、窓枠もドアも歪んでしまって
外側から壊して貰わないと部屋から出られなかったくらいで
そこそこ大したことだったんですが…(汗)

ともあれ、社会心理学つながりで言うと…
衆人環視の中で、誰からも止められないまま…時に通報すらなされずに
犯罪が行われるような事態が起きることを説明する概念として
「責任感の拡散」という言葉があるそうです

人間は「自分がしなくても誰かが手を貸すだろう」と考えがちな生き物みたいで
「人が大勢いるのに、誰も何もしない」のではなく
「人が大勢いるから、何もしない」という考え方らしい

野球に例えると…「ポテンヒット」が生まれるのは
「マイボール!」と声を出す選手が誰もおらず
「お見合い」をしてしまうからだ…というようなものなんだとか…(汗)

この「責任感の拡散」を目の当たりにしたのが、奥さんの母上で(汗)
当時、母上が勤めていた会社のあるビルの向かい側のビルの屋上から
若い女性が飛び降りるのを目撃(汗)
母上のいたオフィスは、悲鳴や救急車を呼ぶ声で大騒ぎに…

でも、母上が窓から恐る恐る下を見ると
その女性は、地面にうつ伏せに倒れたまま動かなくなっていたのに
そのすぐそばを何人、何十人という人が
声をかけるでもなく、ただ通り過ぎているのを見て驚き
「ナンで…?」と空恐ろしくなったそうです(汗)

他人のケンカに関わり合いになるのがイヤだとか
酔っ払いが倒れてるとかなら、まだ判る気がするけど
白昼、若い女性の異状を見ても、誰もが無関心って
人間って、コワイ生き物なんだなあと…(汗)
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「へえー、知らなかった!」その3

2018-01-24 19:50:00 | 日記
昔、甲斐さんのサンストで…「地球が平面だと思われていた時代に
もし、自分が『地球は丸い』ということを発見したら
誰に一番最初に教えるか?」という深イイ問題がありましたけど

武田康男さんの著書「地球は本当に丸いのか?
〜身近に見つかる9つの証拠〜」のレビューに…

「学校には丸い地球儀があり
図鑑を開けば宇宙から捉えた丸い地球の写真が載っている
私たちは肉眼で地球を外側から確認したこともないのに
自然に、そして無意識に地球は丸いものだと信じ込んでいる
そういった『信念』に囲まれて生きている

生まれた時に自分のそばにいる大人を親だと思い
食事は1日3食、人は恋愛をするものと思っている
これらも本当に正しいのかどうか、確認する前に信じていることだ」
…と書かれていたのを読んで、急に足元が頼りなくなる感覚を覚えました(汗)

以前にご紹介したかも知れませんが
目覚めた時に、自分では「夢を見た」と思ったことが
本当に「夢」だったかどうかは、自分では証明できない…
もしかしたら、今、見ている光景の方が「夢」かも知れない…
なんて思ったら、怖くて「眠れなくなっちゃう(笑)」んだけど

とにかく、人間の脳というものは
吊り橋を渡るドキドキを、異性を見てときめいた…と勘違いしたり
勝手に情報をねじ曲げたりと、結構な「嘘つき」らしく(汗)
しかも、最近読んだ「記憶の研究者」ジュリア・ショウの
「脳はなぜ都合よく記憶するのか」によれば…

「人間誰しも、自分の記憶力に自信を持っているものだ
メモなんて不要だと思いがちだし
自分の意見は、ずっと一貫しているとつい考える
でも、ここで、どうしてそう信じられるのか?と問われると
意外に返答に困ったりする

だって、そう覚えているから覚えている
あるいは、間違いではないと知っているから間違いない
いや、鮮明に記憶しているからには、真実であるに違いない
これほどの細部に至るまで詳細に思い出せる以上
この記憶は本物であるに違いないのだ」

…と、ご自分の記憶に絶対の信頼を置いておられるアナタ!
「記憶が正確であるとする判断に
その鮮明さは利用できない」そうです(汗)
「人は偽りの記憶を鮮明に作り出すことが出来る上に
それが嘘の記憶であると理解してもなお
鮮明に思い出すことが出来ることが判って来ている」みたいで

「自分が関係したことのない犯罪行為や
実際には経験したことのない、強い印象を伴う出来事も
慎重に設計された実験によって
被験者の70%に自分の記憶として持たせることが出来る
細部まで繰り返し想像させることで、偽りの記憶は鮮明になり
ついには疑いなく信じ込むまでになる」んだとか…(汗)

「マインド・コントロール」とか「トータル・リコール」といった
ちょっと不気味な言葉を持ち出すまでもなく

例えば、同窓会で懐かしい話に花が咲いている時に
自分以外の全員から、自分の記憶が「間違ってるよ」と言われたら
「えっ!?そんなはずはない!」と思いつつも
「あれ?勘違いだったかなあ…」という気になったりしますよね?(汗)
ほら、よく「嘘も100回つけば本当になる」って言いますし…(苦笑)

甲斐さんのお好きなジャプリソの小説にも
自分の主張が、証言者たちによって、ことごとく否定される…っていう
「それでも俺はやってない!」状態が登場するんだけど

「もしかしたら、俺が…?」と自分を疑い始めるのと
自分の認識だけが正常で、自分以外の人間の認識が壊れている…
自分だけが世界から取り残されていると考えるのと
一体どちらが怖いんでしょうね?(汗)

ちなみに…「地球が平らだったら、こうはならない」という証拠は
前述の本の中に紹介されているようです、ご安心ください(笑)

怖いと言えば…「シュレディンガーの猫」でお馴染み
量子力学の基礎となる不確定性原理を
現実と仮想の区別がつき難くなっている現代に照らし合わせ
作品を書かれる作家の方は数多いみたいですが

京極夏彦さんの作品の中で…「観察するという行為そのものが
結果を左右する因子の一つになるということは
誰も見ていない状態でしか、正しい結果は得られない」…といった記述があり

例えば…と、骨壺にも見える(苦笑) 蓋のついた小さな陶器の蓋を開けると
落雁(だったっけ?)みたいな干菓子が入っているんだけど
でも、それは蓋を開ける直前まで…つまり蓋をした状態では
ホントに落雁だったかどうか?
もしかしたら、骨が入っていたのかも?…それは、誰にも判らない(汗)

…という説明が続いていて
実際に、自分が目の当たりにしていることでさえ
事実かどうか確認できないなんて相当コワくね?(苦笑)
開かずの間の扉を開いて、何もいなかったとしても
扉を閉めた途端に、何かが現れているかも知れないってことでしょ?(汗)
開けるのも、開けないのも、開けて閉めるのも全て怖かったら
扉の存在を記憶から消すしかないんじゃないかと…(苦笑)

余談ですが、いなかったと言えば…「少女フリーダ」
そう、メキシコ大地震が発生した翌日
「倒壊した校舎内で1人の少女が生存している」との情報が世界中を駆け巡り
「水を飲ませた」「指が動いた」といった証言が流れ

軍主導で大規模な救出作業が続けられたにも関わらず
瓦礫の下に少女はいなかった…ばかりか
そもそも、学校に「フリーダ・ソフィア」なんて名前の生徒は存在しなかったことが判明した…という話です

大きな災害が起こると、様々な流言飛語が飛び交うとはいえ
人々を不安に陥れる…というか、不安だからこそ
ネガティブなデマが流れるんでしょうけど

当時、現場にいらした日本人の方によれば
この「少女生存」の噂は、救助隊や市民ボランティアを始め
街全体が不思議な高揚感に包まれた中で生まれたらしく
やっぱりラテン系の人々は、デマもポジティブなデマなのかなあと…?
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「へえー、知らなかった!」その2

2018-01-23 14:09:00 | 日記
かつて、甲斐さんがイチローさんの甲斐バンド正式加入について話された際に
「田中一郎って名前、ある意味でスゴイよね
日本の男の『見本』っていう名前だからさ
電話帳、めくってごらんよ
俺は商業高校だったんだけど、簿記の本の例題1にも出てたもんね
『田中一郎』可哀想だよ(笑)」とおっしゃってましたが

「『同姓同名』の人が同時に何人集まれるのか」というギネス記録に挑戦しようと
昨年10月、全国の「田中宏和」さんが、東京都内に集結なさったそうです(笑)
2014年に「田中宏和の会」という一般社団法人を立ち上げられた
東京の会社員・田中宏和さんによると…

この会の始まりは、1994年のドラフト会議で
当時の近鉄バファローズが1位指名した投手が
「田中宏和」さんだったことに驚かれ
同じ名前の方を探し始められたのがきっかけらしく
現在、137人の田中宏和さんが参加

「自分で選んだ訳じゃない〜」「気づいた時には呼ばれてた〜」という
オリジナルソング「田中宏和のうた」を作られたり(笑)
本を出版なさったりしているんだとか…

その集会では…「初めまして、田中宏和と申します」
「どうも、田中宏和です」と挨拶が飛び交い(笑)
「弁護士の田中宏和です」「美容師をやってる田中です」「大阪の田中宏和です」と
職業や住所を添えた名前で呼びあっておられるみたいで(笑)

これは、甲斐さんが公式サイトを開設された当時
全国のファンの方々が、甲斐バンドや甲斐さんの曲に因んだ
ハンドルネームをお考えになる際に
例えば「安奈」の後に「@埼玉」と付けられたり
「広島の安奈」と名乗られたりしたのと似てますね(笑)

ともあれ…このギネス記録挑戦の折には、87人の田中宏和さんが参加され
その中には「ドラフト1位」の田中さんも…!
ただ、インタビュー記事には「1軍で結果を残せなかったのに
このギネス記録についての取材を受けることになって複雑な気分です(笑)」
…とコメントされたと書かれてました(苦笑)

もっとも、ギネス記録自体は、12年前にアメリカで
「マーサ・スチュワート」さん達が樹立なさった164人には及ばず
3年後は、漢字にこだわるのをやめて
「タナカ・ヒロカズ」という同じ読みの方を集め、再挑戦なさる予定らしい

まあ、同姓同名のおかげで、誤って住民票を交付されたり
別人の税金を取られたり…といったトラブルもあるみたいですが
やはり「他人とは思えない」「遠縁の親戚のよう」と
皆さん、口を揃えておられるんだけど
「田中一郎」さんだと、人数が多過ぎて、そうはならないのかなあ…?

でも、1969年にアメリカで設立された「ジム・スミス協会」…
日本で言うところの「田中一郎協会」…には、1826人が所属なさっていて
会長のジム・スミスさん亡き後、会報の発行を続けておられるスミス夫人は「今では家族のような存在、長く続けたい」と話されてます

甲斐さんも、朝ドラ「べっぴんさん」で
市村正親さん演じる「靴職人」の監修をなさっている方が
甲斐さんと同じ「しめすへん」の「よしひろ」さんだったことに
親近感を覚えていらっしゃいましたよね?(笑)

それでも…「しかし、田中っていう名字に
一郎っていう名前をつける親も簡単だよねぇ」と甲斐さん(苦笑)
「田中宏和の会」の定款には…
「親から与えられた名前を大切に生きる心の涵養
偶有的な人間の絆の尊さの啓発等を図る」…と記されているらしく

発起人の田中さんは「くだらないと思う人がいるかも知れないけど
くだらないことを一生懸命やれるって
健全な社会の証だと思いませんか?」とおっしゃってました

同姓同名に関する「公式なデータはない」そうですが
86年の明治生命による調査では「佐藤和子」さんがトップで
90年代後半に姓氏研究家の森岡浩さんがお調べになった時には
推計3千人以上で「田中実」さんが最多だったんだとか…

ただ、森岡さんいわく…最近は変わった名前が増えたので
同姓同名は減っているのではないか?
確かに、近年の人気の名前は「ナンて読むんだろう?」というような
「キラキラネーム」が主流だし

名字が選べない分、個性的な名前をおつけになる方や
姓に合う名前の候補が出て来たり
画数で姓名判断が出来るサイトなどを利用される方が増えて
名前が多様化しているようです

ただ、最近の傾向としては
「生まれたら〇〇くんと呼びたい」などの理由で
名前の音や読みを先に決め、後から漢字を選ぶ方が多いらしく
その名前に使う漢字を選ぶ際に、漢字の意味や成り立ちとは関係なく
見た目やイメージだけで選ばれる方が増えているみたいで

早大の笹原宏之教授が、2004年に国が定める人名用漢字を増やす改訂に携わられた際
命名者の方から役所に「使いたい」と要望があった漢字をお調べになると
「尿をためる『膀胱』の『胱』という字があった」んだとか…(苦笑)

「月」は「にくづき」という部首であり、本来は「肉」の象形で
「肺」や「肝臓」などの「偏」と同じもののはずが
「月」と「光」という「ロマンチックなイメージを持った人がいたのでは?」と…(苦笑)

同様に「生臭い」という意味を持つ「腥」という字も
何件か問い合わせがあったらしいんだけど(苦笑)
今のところ、戸籍法で認められていないようで
そのお子さんのために、心からホッとしました(笑)

甲斐さんは「子供の頃に『バカガイ』『アホガイ』などとハヤされた」から
「『甲斐』って名字はキライだった」と話されてましたが
高校時代の彼女に「カッコいい名前ね」と言われて
ご自身のお名前を好きになられたんですよね?(笑)

でも、お子さんの名前を付けられる際に
中島みゆきさんから「『カイ・バシラ』とか
『カイ・バシリ』が良いんじゃない?(笑)」と言われたり
イチローさんからも「『モノカゴ』ってどうかな?(笑)」と勧められたりした時には
「やっぱり…」って気分になられたんじゃないかと…?(笑)
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「へえー、知らなかった!」その1

2018-01-22 22:16:00 | 日記
一昨日は、このブログ開設から2000日目だったらしいんだけど
約5年半!?…ウソでしょ!?ってカンジです(笑)
でも、甲斐バンドの薬師寺ライブの少し前から始めたんだから…「ホンマや!」(笑)

歩く3日坊主(笑)飽き性でならしたこのボクが
甲斐さん検索エンジンをフル稼働させている内にもうそんなに…としみじみ(笑)
門前の小僧、又聞き甲斐を書く…のかなあと…(笑)
読んで下さった皆さま、ありがとうございました!m(__)m

ともあれ…5年半前よりは「言葉」に興味を持ったり
新聞や雑誌を丹念に読むようになったのは確かです
という訳で…今回は、最近「へえー!」と思ったこと特集を…

まずは「朗読と読書は別のもの」という話から…
軽井沢朗読館の青木裕子さんによると…「人間の声を通すことによって
物語の世界が立体的に浮かび上がって来る
芝居が一つの空間を作るのと同じ」だそうで

前回まで「シェイクスピアは言葉が大事」…といった記事を書いていた身には
横田栄司さんが、最初に「アテネのタイモン」をお読みになった時より
「今回、改めて読んでみると
以前に感じた何倍も面白かったのは
吉田鋼太郎さんの声で読めたせいもあると思うんです」と話されていたり

翻訳家の松岡和子さんが、キャスト未定の時と同じホンでも
「役が決まって、誰(が演じる)か判ると、その俳優の声が聞こえるようになる」
…と、おっしゃっていたりしたもので、とても興味深かったです

また、明治大学の斎藤教授が…
「音読は、ある種の『解凍作業』のようなもの
特に、音読に慣れた世代の作家が書いた文章には
音読にふさわしい味わいがある
温め直して、美味しく戴くことが出来る」
…と朗読を推奨なさっているんだけど

1960年代に発表された「文豪たちによる自作の朗読」の中から
江國香織さんが、遠藤周作さんの「おバカさん」の朗読をお聴きになって

「驚くほどの早口で、奇妙な息の長さで、かなり聞き取りにくい棒読み
けれど、小説と見比べながら聞くと
あちこちで作者が文章を瞬時に微調整しながら読んでいることが判る

『改札口』という言葉が二度続けて出て来るところでは、二度目を省いているし
『痛いほど胸をしめつけた』の前には
『ふいに』が差し挟まれている
芝居のト書きっぽい部分(靴の音、下駄の音)は、思いきりよく割愛され

極めつけは『ほんとに好きでした』で
『ほんっとうに好きでした』と
わずかにだが、確かに力を込めて発音されている
聞き手には不親切だが、作品には愛のある朗読なのだった」と記されていて
外ではムリだけど、家の中で音読してみたくなりました(笑)

続いては、真偽のほどは判らない、もしかしたら都市伝説かも知れない
「エレベーターの『開』ボタンを押すと本当に延長するが
『閉』ボタンは、ただのヒマつぶしの飾り」説…(笑)

作家の本谷有希子さんは…「本当だとしたら騙されて悔しいと思いつつ
同時にナンとまあ見事なやり口であろうかと脱帽してしまった
私のようなせっかちな人間には、ボタンの一つでも与えて
何かした気にさせておけばよろしいと、誰かが判断したのだろうか

まんまと思惑通りに連打し続けて来たムダに気が遠くなり
もう二度と押すものかと心に決めたものの
1秒かそこらのヒマに耐えられず、指を伸ばさずにいられないのである

微妙な間を置いて閉まるドアを眺めながら
同じように全世界で押されている『閉』ボタンについて想像した
どこにも繋がっていないボタンの亡霊
結婚詐欺師に怒りもせず
『いい夢を見させて貰いました』という女の気持ちは、こんななのかも知れない

ただの飾りと疑いながら、死ぬまで私は
どこにも繋がらないボタンを押し続けるに違いない」…と記されているんだけど

じゃあ、サスペンスドラマやホラー映画などで
誰かに追われている主人公が、エレベーターに飛び乗り
「閉」ボタンを連打するシーンを観たら
違う意味でハラハラ、ドキドキしちゃいますねぇ…(汗)

ちなみに、奥さんの職場のエレベーターは
「開」ボタンを押し続けていても
一定の時間が経つと勝手に閉まってしまうらしい(苦笑)

そして、もうひとつ…「ファインディング・ニモ」
甲斐さん流には「ファインディング・イモ焼酎(笑)」
…で、お馴染みの「クマノミ」の話

生物学者の福岡伸一さんによると…
「もし、自然界におけるクマノミ達のふるまいをそのまま映画化したら
R指定はおろか、公開できなくなる可能性が高い」そうです(笑)

「クマノミの家族では、母が不在になると
息子のうち一番身体が大きな一匹が、すぐさまメスに性転換して
父と交わるようになってしまう」んだとか…(汗)

「ナンで『長女』じゃなくて『長男』が…!?」やら
「網にかかったニモを探すのが、ママでなくて良かった!」やら(笑)
ワケわかめな気分になりましたが(笑)

「そもそも生物にとっての性は
遺伝子を混ぜ合わせ、変化を作り出すための仕組み
その目的さえ達せられれば、手段は何でも良い」ということみたいです

ただ…昆虫の交尾を観察する際には
交尾している状態のまま、液体窒素に入れて固定するらしいんだけど

東大の野矢教授いわく…あなた、我が身に引きつけて考えてごらんなさい
交尾の最中に瞬間冷凍されて結合部を観察されるなんて
死んだ方がマシである…(いや、死んでいるのだが)

やはり、人間としての目線で考えてしまうのは仕方ないんじゃないかと…(苦笑)
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アテネのタイモン3

2018-01-21 21:36:00 | ライブ
タイモン(吉田鋼太郎さん)とアペマンタス(藤原竜也さん)の他にも
タイモンの執事フレヴィアス(横田栄司さん)と
アテネの闘将アルシバイアディーズ(柿澤勇人さん)が
主要登場人物として挙げられてますが

我が家で「横田さん」といえば「逃げ恥」の「ひらまささん」が勤める会社の社長役か
もしくは、某CMに登場する「ビッグベン(笑)」なんだけど
「真田丸」や「下町ロケット」などの
大ヒットドラマでご存知の方が多いかも知れません

藤原さんが「戯曲の読みが的確で芝居も素晴らしい方で
横にいて下さると本当に安心できる」と話され
吉田さんは「蜷川さん演出で主役をやって欲しかった
それは、蜷川さんも考えていたはずだから
本当は、横田にタイモンをやって欲しいんだよね」と厚く信頼なさっているご様子

ご本人は「(吉田さんの)代役の方へのサジェッションが苛烈で
実際に演ってみせる鋼太郎さんを見ちゃうと
『俺にタイモンやらせろ』とは口が裂けても言えません(笑)」とお答えになってました

吉田さんが「芝居そのものが好きで、あまり野心がない」とおっしゃると
「蜷川さんにも『欲望を強く持て』『鏡を見て自惚れろ』
『正しく目立って、野心を持て』と言われました」と横田さん

でも、そういう少し引いた視点で全体を見渡せる方がいらっしゃったら
吉田さんの意図を汲まれたり、若手の方のフォローなども含め
現場の潤滑剤的な役目を果たして下さるんじゃないかと…?

ちなみに…奥さんは、藤原さん主演の「ハムレット」で
ハムレットの友人ホレイシオ役を務めていらした横田さんが
「舞台役者」として初めて拝見した横田さんだったんだけど
その時も、今回も、横田さんの演技に号泣したみたいです

そして…柿澤さんは、ナンと言っても「刑事・吉永誠一」ですねぇ(笑)
このドラマで俳優デビューを飾られた
甲斐さんとのカラミはありませんでしたが
オンエア前のキャンペーンで、テレ東のスピリチュアル番組に
船越さんとご一緒に出演された際

船越さんが、サスペンスドラマの断崖ロケなどで
いつも「いっぱい連れて帰って来てた(汗)」のが
松居さんと結婚なさった途端に「ピタッとなくなった」と話され
「君も勇気があるなら結婚した方が良い」と勧められた方です(苦笑)

そういえば、甲斐さんのライブとブッキングして
奥さんが泣く泣く諦めたミュージカル「デスノート」で
吉田さんと柿澤さんは共演なさっていたようだし
今回の舞台には「夜神月」が、お二人いらっしゃったんだなあと…(笑)

ただ、柿澤さんは「シェイクスピア劇は初めて」だそうで
「長ゼリフを言った翌日の疲労感が半端ないです
吉田さんも横田さんも藤原さんも
これをずっとやって来られたのかと思うと自分はまだまだ…」
…と思っておられるらしいんだけど

吉田さんは「すぐ答えを出そうとしてくれていてスゴイ
そのエネルギーが他の俳優にも波及して、みんなの気持ちがワーッと上がる」と話され
藤原さんも「カッキーは、鋼太郎さんの演出に思いきり応えてるから
鋼太郎さんも楽しいだろうし、すごく頼もしい」とおっしゃってます

奥さんによれば、柿澤さんは声の張りがとてつもなく素晴らしく
客席の通路に立ってセリフを口にされる場面では
自分がセンターの席にいるにも関わらず
柿澤さんが、すぐそばにおられるかのごとく
「明瞭で滑舌の良い声が降って来た」んだとか…

ただ「長ゼリフを言い続けている内に、気持ちのギアが上がって
スイッチが入る瞬間があって、ちょっと気持ち良いんですよ」と柿澤さん
「もしかすると、こういう感覚の面白さも
鋼太郎さんがシェイクスピアを続けてらっしゃる理由なのかも知れません」

…と話されてますが、吉田さんも「シェイクスピアの本質は
自分を追い込み、持てる技術を最大限に使って、初めて見えるもの
だからこそ、蜷川さんも面白いと思ってライフワークにされていた訳です
やっている僕自身『Mだなあ』と思うんだけど…(笑)」とおっしゃってました(笑)

横田さんが「セリフが全部覚えられた時に
自転車の補助輪が外れるような気持ちになる
それを『シェイクスピア・ハイ』と呼んでます(笑)」と言われるのも
同じような感覚なのかも知れませんね?

ともあれ…第2部では、世捨て人のごとく森に暮らすタイモンのもとに
偶然に、あるいは噂を聞きつけて様々な人が訪れるんですが
白眉はやはり、吉田さんと藤原さんが激論を闘わせるシーンらしく

まずは、藤原さんが差し出したパンを吉田さんが客席に投げられ
最前列のお客さんがナイスキャッチ(笑)
ちなみに…ソワレでは、客席中央まで投げられたそうで
奥さんは大層悔しがっておりました(笑)

続いて、藤原さんが、そこそこ本気で投げられた
花梨の実が吉田さんを直撃(汗)
ガチで頭に当たっても演技を続ける吉田さん
しかも、ソワレでは2連発だったみたいです(汗)

その間、お二人は長ゼリフを発しながら
客席からでもハッキリ見えるくらい大量のツバを顔に掛け合われ(苦笑)
最後の方では、セリフを言い終えられた後
不自然なほどの間を開けて、ツバを溜められての応酬…(笑)

埼玉での初日から何本かご覧になった方によると
この応酬はどんどん長くなっていたんだとか…(笑)

それにしても、第1部は75分、20分の休憩を挟んで、第2部が65分
大声でセリフを語り、怒って、泣いて、わめいて、暴れて…
それを1日に2回繰り返されるって
気力も体力も充実していないと、とても出来ませんよねぇ…(汗)

でも、前述のバトルもそうだけど
タイモンの召使たちが、幾人かの「友人たち」の家を訪ねて
「主人にお金を貸して欲しい」と頼みに行くシーンでは
小銭を投げつけられて追い返されたり

「他の人間に断られたから私の所に来るなんて…
一番最初に頼りにしてくれないことに腹が立つ」などと
言い訳にもならない断り方をされたり
忠実な召使たちが、哀しみと屈辱感に震える場面にも関わらず

バスタブに浸かったまま応対していた「友人」が、ガバッと立ち上がるたびに
「友人」の召使が、クリスマスリースみたいな花輪で
「友人」の股間を慌てて隠す(笑)という「2人アキラ100%」ネタが登場し(笑)

奥さんは大笑いしながらも、
タイモンの召使役の方が、全く表情を緩められることなく
シリアスな演技を続けておられることに感動したらしい

吉田さん演出のサービス精神はもちろんですが
舞台の上に立たれた皆さんが、楽しんでいらっしゃることが伝わって来て
観劇経験の少ない奥さんでも
この舞台は良い舞台だと確信できたようです
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