ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

「あなたなら、どうする?」その3

2018-01-29 12:36:00 | 日記
本谷有希子さんのコラムに…
「募金箱にどんな気持ちで募金していいか、未だに判らない
外国の貧しい方々に向けて…だとか
皆あの瞬間どんなことを考えているのだろう

どんなに本人が邪な気持ちで働いたとしても、善行は善行である
それでも、私はどこか後ろめたいのである
同じ人間に同情とか憐れみを感じる自分が
とても不遜で恥ずかしいと思ってしまう

それに『ありがとうございまーす』と感謝なんかされると非常に気まずい
私はまるで悪事を働いたような気分になる
自分が気持ち良くなりたいがために、そうしているだけなことが
よく判っているからだ
いっそ『親切する気持ち良さを売ります』と募金箱に書いてくれれば
後ろめたさも薄れるのに…

もしくは、あの瞬間の疚しさは
同じ人間として自分の方が憐れな存在なのではないか
…という心の声なのかも知れない
だとしたら、私は一生堂々と募金など出来ない
こそこそと逃げるように去るのが
私の正しい募金の仕方のような気がする」と記されていて

決して悪いことをしている訳じゃないけど
「恵まれない」とか「気の毒」とか「可哀想」という言葉には
上から目線の差別的ニュアンスが含まれているし
「あ、それ判るなあ…」と思ってしまいました(汗)

以前に甲斐さんは「街頭でやってる募金活動って
ホントにそのために使われてるのか?という部分も含めて
あまり気分いいもんじゃない」とおっしゃっていたそうで

甲斐バンド解散後に「これまでバンドに執着して来たということがあるから
外部との交流とか、やり取りを通じて得た、その部分の刺激を
自分に生かして行くという風に決意していた」とはいえ

ジャパンエイド参加を決められたのも
「例えば、食べ物を送ったけど届かない、武器に変わっちゃった
倉庫で腐って眠ってる…っていう風に
『ライブエイド』に限界を感じた部分がみんなあったと思うのね
だから、結局届かないんだったら
そこの土地に根付く何かを作らなイカン…と思うわけ

アフリカのアーティストのトゥレ・クンダは
『奴らに物をやるから、奴らは働かなくなっちゃったんだ』って言って
エイド関係、いわゆるチャリティ関係には参加してない
こんな限界がボロボロ出て来てる

やっぱり『エッジよりボトム』これなんだな
リズムセクションだってそうでしょ?
低域のドラム、ベースがチャンと出来てないと
流麗なメロディだって輝いて来ない
この基本を根付かせんと
うわべだけチャラチャラ問題意識かかげてみたってダメなんだよ」と話され

「『パン』を送るんじゃなくて
『パンを作る工場』を建てるための資金を集める」
…との主旨に賛同なさったためみたいです

もちろん「ピーター・ガブリエルから直接コンタクトがあって
要請されたっていうことも、すごい光栄だったし
それまで、国際的イベントが東京で開かれたことがなかったと…
それを東京でやることにも意味がある

実はピーターと出演順を決めることから始まってるんだけど
そういうミュージシャン意識優先のイベントだったから」
といった様々な理由もおありだったようだけど
その募金本来の目的通りに、間違いなく使用されるチャリティでないと
納得なさらなかったでしょうね?

かつてのインタビューで、甲斐さんがご自身で触れておられるように
「子供の頃、家が貧しかったから
『ハングリー精神があるんですね』って言われるけど、それは違う

よくさ…『貧しさを乗り越えて明るく生きる』なんて言うだろ?
あれは嘘だね。きれいごとだよ
何も知らない子供にとってもは、経済的な貧しさは
必ず精神的な貧しさになるんだ

まして、周りのみんなが貧乏なら、まだ救われるんだろうけど
ちょうど高度成長時代の真っ盛りで
みんなの暮らしが、どんどん良くなって行って、俺んちだけが貧乏だからさ」

…と、当時のご家庭の事情を察して
「担任の先生が、1枚の紙をくれるわけ
鉛筆とかノートとか品物の名前が書いてあって
欲しいものに丸をつけろって言うの
その時は、家が生活保護を受けてるって知らなかったんだけど

その鉛筆やノートを貰いながらも
子供心にナンか割り切れないものを感じた
あれは気持ちいいもんじゃないよ、絶対」とおっしゃっているのは
たぶん「施しを受けている」という風に感じられたからじゃないかと…?

だからこそ「何もしないで」寄付だけが貰えるシステムは
「気持ち良くない」と思っておられるのかも知れません
おそらく、本谷さんやボクが募金に感じる後ろめたさみたいなものも
同質の感覚なのかなあと…

でも「本当に恥ずかしかったから、あまり話したくない」という時期も含め
「俺はここに生まれて育った」という
ご自身の「原点を忘れたくない」との姿勢が素晴らしいと思います
コメント
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