ひとりの女性が子どもを産んだ…というニュースでこれだけマスコミが大騒ぎするのも珍しい。フィギュアスケートのミキティ~安藤美姫~のことである。
昨日も一日中、そして今日も朝からTVワイドショーはこのネタづくしである。「安藤美姫、娘を出産していたことを告白」…はまあ、おめでたいことでもあるし、いいのだけれど、「父親は誰か?」をばかり話題にして、かつて「恋仲」と言われた元コーチのロシア人モロゾフ氏に電話をかけたり、写真週刊誌で「同棲相手」と伝えられた日本の若手プロスケーターの実家へレポーターが押しかけて行ったり…と、相変わらずの加熱取材ぶりである。
今朝のあるワイドショー番組で一人の女性が「父親は誰だとか…そんなことをテレビでとやかく取り上げるのは、ご本人や生まれてきた赤ちゃんの人権を侵害することにもなりかねない」と述べていたが、意見としては全くそのとおりだと思うけれど、言っている人もワイドショーのコメンテーターの常連さんだから、う~む、なんだかなぁ…という感じはする。それなら番組が始まる前に、この話題には軽く触れるだけにとどめておくよう進言しておけばよかったのではないか。
ところで、ミキティの赤ちゃんの名前はひまわりちゃん、と決まったそうである。すると、あるキャスターは、「ひまわりはロシアの国の花ですので、父親はロシア人のモロゾフ氏ではないか?…と連想しますよね」な~んてことを言っていたが、ナンだかんだと言われるミキティが気の毒になってくる。まあ、僕もそのテレビを見ているミーハーの一人ではあるんですけど…。
ここから話が飛ぶが、その話から、ソフィア・ローレンが主演したイタリア映画の名作「ひまわり」を思い浮かべた。僕がこれまでに見た中でも、5本の指に入る大好きな作品だ。
舞台はイタリア。愛し合う2人の仲を、第二次世界大戦が引き裂く。男はマルチェロ・マストロヤンニ。女はソフィア・ローレン。男はソ連戦線へ送られ、そこで豪雪の中で死にかけたところを地元の女性に助けられて、一緒に生活を始める。一方、イタリアで男の帰りを待つソフィア・ローレンは、帰国した彼の戦友から彼が現地で生きていることを聞き、ついにソ連まで探しに行くのである。そして、訪ね歩いた末に彼と再会するのだが、地元の若い女性と暮らしていることを知り、悲しみに打ちひしがれて帰国する。列車の中で彼女が号泣するシーンが忘れられない。
ところが…。イタリアへ帰り、結婚し、子供も生まれた彼女のところへ、彼が「もう一度2人でやり直したい」とソ連から戻ってくるのである。しかし時間を巻き戻すことはできない。いくら深く愛し合っていても、互いに家庭を持つ身である。あのミラノ駅でのラストシーンは、いつ思い出しても涙が出るシーンだ。
動き始めた列車でソ連に戻るマルチェロ・マストロヤンニの悲しそうな表情。ホームでその列車を見送りながらあふれる涙を止められないソフィア・ローレン。バックに流れる音楽も実に素晴らしい。(今もCDでこの曲を聴いただけで泣いてしまう僕です)。そしてその映画が終わるとき、最後にロシアの大地に咲き誇るひまわりの花の大群が、スクリーンいっぱいに広がるのだ。戦争で命を失った兵士たちの無数の亡骸が地中に埋もれる土地に、何千、何万というひまわりが咲いている…という最後のシーンだった。それが戦争の悲劇を描いた映画「ひまわり」のタイトルの由縁でもある。
きょうの午前、スポーツジムで泳いだり自転車を漕いだりしながらも、「ロシア」と「ひまわりちゃん」という2つの言葉が頭から離れず、おまけに「♪タタタ~ンタ~ンタタン」と「ひまわり」の映画音楽も頭の中で鳴りっぱなしだったので、帰宅してから、めったにないことですが、お昼からこんなブログを書いた次第です。まとまりのない話で、どうもすみませ~んでした。
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http://www.youtube.com/watch?v=GmT1q8RhSUc