ランニングを続けていると、あちらこちらが痛んできたりする。膝、太もも、足首、足の裏、ふくらはぎ…という具合だ。しかしまあ、これは昔からのことで、僕などは元々ゆっくりランなので、痛みも出たり消えたりを繰り返すだけで、さほど深刻な事態には至らなかった。
今回も、10年以上走らなかったフルマラソンへ向けてトロトロと練習を続けるうち、またいろんなところに痛みが出たり消えたりしている。どれも一過性で大した症状ではないけれど、ただ最大の敵は腰痛であることが、この1、2ヵ月の練習過程でわかってきた。
腰が痛み出してからもう何年経つだろう。勤めている頃からだから、5年以上はなると思う。原因が特定されない慢性の腰痛なので、検査してもらっても「重いものではありません」と医師から言われるだけで、できるのは腰痛体操ぐらい。あとは耳鳴り同様これといった対処法もない。僕の場合は椅子から立ち上がったときや、寝床から起き上がったときに特に痛む。体を動かしていくうちに、少しずつほぐれる…という状態だ。耐えられないというものでは全然ないけれど、やはり椅子でも座り方で痛むときがあり、日常生活に全く支障はないとは言えず、少しだけつらい…という程度である。
スポーツジムでは腰を痛めるような器具はむろん使わないし、プールでは腰に影響のないクロールしか泳がない(泳げない?)。そんなふうに、それなりの注意は払っているのだが、何年経っても良くもならないし悪くもならない。しかし最近は、ランニングの量が増えたことで、走っている時は痛まないのだが、走り終えた後、日によっては日常の痛み以上につらく感じる時がある。これをどう抑えていくかが、マラソンチャレンジへの大きな関門だろう。
そんなときに、先週だったか、NHKテレビの「クローズアップ現代」という番組で「腰痛2800万人時代。変わる常識」というのがあったので興味深く見た。
番組を見て、酷い腰痛を抱えている人が沢山おられることを改めて知ったけれど、一部のヘルニアなど、腰痛の原因が特定されているのは全体の15パーセントで、残りの85パーセントは原因が特定できないそうだ。そして、これまでの常識をくつがえす腰痛のメカニズムについて、医師が解説をしていた。
それによると、痛みというのは、たとえば腰に刺激を感じると、痛みの信号が背中の神経を通って脳に伝わって「痛い!」…と本来は感じるのだけれど、脳の中の側坐核という部分が、痛みを抑える物質を出しているので、そのおかげで痛みは感じない…という仕組みなのだそうだ。ところが、その側坐核は、ストレスを受けると機能が変化し、痛みを抑える物質が少なくなり、わずかな刺激も痛みとして感じるようになってしまうそうなのである。つまり、ストレス、不安、うつなどが、腰痛と密接に関係している…ということのようである。
そういえば3年前に作家の夏樹静子さんの「椅子がこわい・私の腰痛放浪記」という本を読んで、こんな恐ろしい腰痛があるのか…と驚いたことがあり、それは当時のブログにも書いた。原因不明だとされていた夏樹さんの重い腰痛が、実は心身症からきていたことが最後に明かされるのである。そして「心の治療」によってすっかり腰痛が治ったという夏樹さんの話と、この「クローズアップ現代」の話とは、まったく一致している。(夏樹さんの腰痛は1990年代のものだったので、腰痛の心理的要因説は、別に新しいものでもないのだが)
当時のブログです ↓
http://blog.goo.ne.jp/non-ap/e/08290da3f4142952a72416bc90e8fc0d
僕の腰痛がストレスから来ているものかどうかは知らないけれど、耳鳴りと同じように、ストレスや不安などをなるべく抱えないように…といつも自分に言い聞かせている。それが叶って2つとも無くなってしまえばどれほど嬉しいことか、と願うのはちょっと欲深いかな~。
そこでマラソンと腰痛との関係を考えてみると、腰痛の悪化を心配して練習を控えたり、大会に出ることを諦めたりしたら、腰痛が良くなるどころか、そのストレスのために余計痛みが増すのではないか…ということも考えられるわけで、むろん注意するに越したことはないが、「こんな腰痛みたいなん、どーっちゅうことないわ」という気持ちで臨むことも大切ではないかと思っている。
なんだかんだと書いているうちに、真夏がやってきた。(このごろはホント、毎日がめちゃくちゃ暑いですね)。夏が終わると秋、秋になると、11月はマラソン大会本番である。
ところで、先日、奈良マラソンは抽選に外れて参加できないことを書いたけれど、もうひとつ申し込んでいた神戸マラソンも、先ごろ「落選です」とのそっけない通知がメールで届いた。大きな大会に当選するのはむずかしいですね~
これで参加予定レースは11月3日の大阪・淀川市民マラソン1本となった。
(よく考えれば、目標はひとつのレースだけでいいのですよね)
脳の「側坐核」にストレスを与えないように、楽しんで練習しなくっちゃ。