ねぇ、すばる。
君の言葉を読んで。
その昔、いつだったかに見たTVドラマの、
お市の方のセリフを思い出しました。
落城寸前の城から、茶々ら娘を逃がす際に。
娘にむけて言い聞かせたセリフ。
「生きるのです、生きてみなければ分かりません」
この言葉がずっと。
私は好きでした。
誰が演じたお市の方だったか。
どなたの脚本だったか。
それすら覚えていませんが。
こうみえて。
(世間的には、何の苦労もなく見えるらしいし。実際は無いのかもしれないけれど)
この50年の間に。
私にも、その「時」は何度かやって来ました。
「生きてみなければ分からない」と、自分に言い聞かせる「瞬間」。
どうにかこうにか。
やり過ごし、
生きてみようと思い直すことができていたのに。
あの時期だけ。
あの夜だけ。
私には、どうしても自分に言い聞かせることができなかった。
自分の手にあった、銀色の鈍い光を。
私はどうするつもりだったのか。
ねぇ、すばる。
あの瞬間。
私の脳裏に、耳に、君の声が響いてこなかったら。
君の歌声を、
もっと聞きたいという欲求が起きなかったら。
今。
私はここにいなかったのかもしれない。
だからね。
君が。
誰かにあてて、生きてみようと呼びかけてる今夜。
もしかしたら、それは。
君が君自身にあてているのではないかと不安になって。
無駄に余計な心配をしていたりするのです。
もうすぐ始まるツアーを前にして。
ライブがすべての君を思えば。
そんなことはあろうはずもない、と分かっていても。
何を思い、
何を考え、
何を突き詰めて。
君は、あの言葉たちを選んだんだろう。
君に。
「生きてみる価値がありそうだ」と思わせてくれたものの中に。
私たちの存在があったら、嬉しいなぁ。
私たちを笑顔にしてくれるのは、
あなたたちの存在だから。
あなたの歌声を。
生きてる声を。
生の思いを。
まるごと受け入れられる場所がある。
そこへ、行ける。
それはとても、幸せなことね?
ねぇ、すばる。
君に会いたい。
今すぐにでも会いたい。
そこにいる君を、まわりの空気ごと、この手に抱けたら。
どれほど、
どれほど。
豊かに微笑えるだろう。
ねぇ、すばる。
君が、好きだよ。