放映してから2週間も経ってしまった「ドブコ」の感想。いや、帰省してて見れなかったんですよ。
婦人警官の三冬(堀北真希)が、悪役俳優の父(遠藤憲一)が倒れたり、親友の勝(溝端淳平)の絶交宣言などをきっかけに人生を考えちゃったりする話。
仕事で斬られてばかりいる父が、唯一自分から斬ったことがあるという。三冬は「それはあたしでしょ」と言う。この時点では、「斬る=悪役を刀で斬り殺す」という使われ方しかされておらず、「斬る=好きな事を終わらせる」という図式がちゃんと語られてないので、なんか性急な感じがした。また、そんなことが男の約束で誰にも言ってはいけないことなのか、という気もした。
だが、脚本で気になったのはここだけ。僕が嫌いな説明的セリフがほとんどなく、非現実的なマシンガントーク合戦もない、自然な会話が続くまっとうな脚本だった。僕が見たことがある木皿泉のドラマは「すいか」と「野ブタ。をプロデュース」だけなのだが、それらと比べると普通だけど随所に凝ったシナリオだと思った。
たとえば、三冬が逃げる父を取り押さえて拍手されるシーン。「違うんです。散って散って」というところが可笑しい。父が本当に倒れたシーン。悪役俳優の娘らしく「大丈夫です。この人死にませんから」と言うところも可笑しい。本当はシリアスなシーンだが。果たし状が、ちゃんと毛筆(筆ペンかも)で書かれてるのも芸が細かい。病院の待合室で待つシーンが、雨の中で倒れたままの父親がテレビに映って終わるのもうまい。
それでいて、串カツドーナツが1000カロリー超えてるとか、文字通り真剣勝負の最中に「よく俺たちあれ食べてたよな」と肩の力が抜けたことをマサルが言うシーンなんかは、どうでもいいディティールに突っ込んでいく「すいか」っぽかった。
パイロット、CAときて次は婦人警官。堀北真希の制服に萌える。だけではなく、やっぱり彼女は演技がうまいのかもしれないと思った。お父さんが入浴の手伝いを断り、母(薬師丸ひろ子)が来たシーン。父と母の会話を後ろで見てるだけなんだけど、ムっとしてるような、考えてるような、手持無沙汰なような、微妙な心情をきちんと演技してた。素人考えでは、ああいう自分のセリフがないシーンは演技が難しいと思うんだよね。
三冬と勝が勤務する警察署が「調布中央警察署」で、河原も多摩川っぽくてリアル(僕はかつて隣の府中市に住んでいた)なのに、勝は県大会で3位だったという。調布だったら都大会では? 小学校からの幼馴染なら、ずっと調布に住んでたんだろう。まあ気になったってほどではないけど、ちょっとミスかも。
そして最後の、バージンロードを娘と歩く遠藤憲一。その前のシーンで「次はきちんと斬られる」と宣言していたので、相手は堀北真希か、ウエディングドレスも見せますか、と思いきや、ドラマの撮影だったという仕掛け。精緻な構成の脚本だなあ。その「次はきちんと斬られる」も、三冬の結婚のことだなんて誰も一言も言ってないんだよね。でも、視聴者に普通の読解力があればちゃんとわかる。不必要に親切にしないから不自然な説明的セリフがない。木皿泉のファンが多い理由がよくわかった。
父さんが「生きてるってことは変わるってことだ」「人は死ぬようにできてる」などと言い、三冬も「どうして楽しいことは終わっちゃうんだろう」「幸せになりたいんだよね」とか言う。テーマ的には大して新しくもなく、ほとんどの視聴者がそんなことわかってるって感じだと思うけど、三冬や父さんがストーリーを通してしみじみ語るのがいいんだよね。「なるほどわかった!」ではなく「そうそう、そうだよね…」という共感タイプのドラマでした。
あまり上手じゃないのか、めったに歌わない堀北真希だが、今回は遠藤憲一と一緒に「星影のワルツ」を歌っていた。若干遠慮がちに。

逮捕されたい。

こういうとき、どういう顔をするんだろう、ということを、ちゃんと考えながら演技してるように見えた。

上に同じ。

本当の親子のような自然な会話だった。
婦人警官の三冬(堀北真希)が、悪役俳優の父(遠藤憲一)が倒れたり、親友の勝(溝端淳平)の絶交宣言などをきっかけに人生を考えちゃったりする話。
仕事で斬られてばかりいる父が、唯一自分から斬ったことがあるという。三冬は「それはあたしでしょ」と言う。この時点では、「斬る=悪役を刀で斬り殺す」という使われ方しかされておらず、「斬る=好きな事を終わらせる」という図式がちゃんと語られてないので、なんか性急な感じがした。また、そんなことが男の約束で誰にも言ってはいけないことなのか、という気もした。
だが、脚本で気になったのはここだけ。僕が嫌いな説明的セリフがほとんどなく、非現実的なマシンガントーク合戦もない、自然な会話が続くまっとうな脚本だった。僕が見たことがある木皿泉のドラマは「すいか」と「野ブタ。をプロデュース」だけなのだが、それらと比べると普通だけど随所に凝ったシナリオだと思った。
たとえば、三冬が逃げる父を取り押さえて拍手されるシーン。「違うんです。散って散って」というところが可笑しい。父が本当に倒れたシーン。悪役俳優の娘らしく「大丈夫です。この人死にませんから」と言うところも可笑しい。本当はシリアスなシーンだが。果たし状が、ちゃんと毛筆(筆ペンかも)で書かれてるのも芸が細かい。病院の待合室で待つシーンが、雨の中で倒れたままの父親がテレビに映って終わるのもうまい。
それでいて、串カツドーナツが1000カロリー超えてるとか、文字通り真剣勝負の最中に「よく俺たちあれ食べてたよな」と肩の力が抜けたことをマサルが言うシーンなんかは、どうでもいいディティールに突っ込んでいく「すいか」っぽかった。
パイロット、CAときて次は婦人警官。堀北真希の制服に萌える。だけではなく、やっぱり彼女は演技がうまいのかもしれないと思った。お父さんが入浴の手伝いを断り、母(薬師丸ひろ子)が来たシーン。父と母の会話を後ろで見てるだけなんだけど、ムっとしてるような、考えてるような、手持無沙汰なような、微妙な心情をきちんと演技してた。素人考えでは、ああいう自分のセリフがないシーンは演技が難しいと思うんだよね。
三冬と勝が勤務する警察署が「調布中央警察署」で、河原も多摩川っぽくてリアル(僕はかつて隣の府中市に住んでいた)なのに、勝は県大会で3位だったという。調布だったら都大会では? 小学校からの幼馴染なら、ずっと調布に住んでたんだろう。まあ気になったってほどではないけど、ちょっとミスかも。
そして最後の、バージンロードを娘と歩く遠藤憲一。その前のシーンで「次はきちんと斬られる」と宣言していたので、相手は堀北真希か、ウエディングドレスも見せますか、と思いきや、ドラマの撮影だったという仕掛け。精緻な構成の脚本だなあ。その「次はきちんと斬られる」も、三冬の結婚のことだなんて誰も一言も言ってないんだよね。でも、視聴者に普通の読解力があればちゃんとわかる。不必要に親切にしないから不自然な説明的セリフがない。木皿泉のファンが多い理由がよくわかった。
父さんが「生きてるってことは変わるってことだ」「人は死ぬようにできてる」などと言い、三冬も「どうして楽しいことは終わっちゃうんだろう」「幸せになりたいんだよね」とか言う。テーマ的には大して新しくもなく、ほとんどの視聴者がそんなことわかってるって感じだと思うけど、三冬や父さんがストーリーを通してしみじみ語るのがいいんだよね。「なるほどわかった!」ではなく「そうそう、そうだよね…」という共感タイプのドラマでした。
あまり上手じゃないのか、めったに歌わない堀北真希だが、今回は遠藤憲一と一緒に「星影のワルツ」を歌っていた。若干遠慮がちに。

逮捕されたい。

こういうとき、どういう顔をするんだろう、ということを、ちゃんと考えながら演技してるように見えた。

上に同じ。

本当の親子のような自然な会話だった。