スウェーデンができるだけ早くNATOに加盟することを望むアメリカの意向は、バイデン政権がCAATSAの制裁を免除し、F-16の取引を承認してアメリカ議会に送るのに十分な理由となったようだ。しかし、スウェーデンの加盟は保証されていない。
米国とNATOはエルドアンに対し、スウェーデンの加盟を批准するための臨時議会を招集するよう求めているが、エルドアンはトルコ議会が召集される10月まで控えている。エルドアンは、F-16の取引がアメリカ議会で承認されるという保証を求めている。しかし、トルコとNATOの同盟国であるギリシャとの関係がぎくしゃくしていることへの議員の懸念や、スウェーデンのNATO加盟と同様にギリシャとの非干渉が重要であるとの見方を考えると、これは確実なことではない。
まとめよう:バイデンとストルテンベルグは、スウェーデンのNATO加盟申請をトルコ議会で批准させるというエルドアンの決定を、NATOの「揺るぎない」結束の象徴として強調した。
言い残されたのは、エルドアン大統領がNATOを脅して米国にNATO同盟国に対する事前の制裁を放棄させる賄賂を口にさせ、同時にトルコと同じNATO加盟国であるギリシャとの間に存在する公然の敵対関係を考慮して、この取引の安全保障上の意味を検討するよう米国に迫ったということである。
ウェブスターの定義によれば、"unity "とは "調和している状態 "と "一つになる性質や状態 "である。この用語の適切な用法について言えば、トルコとNATOの対立関係がその資格を持つとは思えない。
さらに、フランスが日本にNATO連絡事務所を開設する提案を拒否したこと、ハンガリーがロシアとウクライナの紛争への対応をめぐってNATOやEUと公然と意見の対立を続けていること、そしてNATOがロシアの軍事的勝利の可能性が高まるのを目の前にして、不満と意見の対立の亀裂が深まるばかりであることがわかる。
すべてにさよならを
ヴィリニュス首脳会議までの数週間が、待望され注目されていたウクライナの反攻が最大限の可能性を発揮するのを見届けたいというNATO側の願望によって規定されていたとすれば、NATO会議に先立つ数日間は、ウクライナとその西側同盟国の双方にとって、戦争がうまくいっていないという現実を突きつけられたことになる。
ウクライナの反攻は
この覚書でトルコがどこまで自国の立場を約束をしたか知る術もないが、エルドアンはこの合意狼煙を利用して、ロシアから何か有利なカードを引き出すつもりだろう。直前で反対に転じるかもしれない。ロシア以上に信じられない国がエルドアンのトルコだ。
北欧2国、NATO加盟実現の見通し トルコが一転支持で合意
[マドリード/ヘルシンキ 28日 ロイター] - 北欧フィンランドとスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟を巡り、これまで難色を示していたトルコが28日、一転支持することで合意した。これにより、北欧2カ国のNATO加盟が実現する見通しとなった。
マドリードで開幕したNATO首脳会議に先立ち、フィンランドのニーニスト大統領、スウェーデンのアンデション首相、トルコのエルドアン大統領、NATOのストルテンベルグ事務総長は約4時間にわたり会談した。
ニーニスト大統領は、3カ国が「互いの安全保障への脅威に対する全面的な支援を行い」、「トルコがフィンランドとスウェーデンのNATO加盟を支持する」ことを確認する共同覚書に署名したと明らかにした。
さらに「加盟に向けた具体的なステップは今後2日間でNATOの同盟国によって合意される見通しだが、決定は差し迫っている」と述べた。
ストルテンベルグNATO事務総長も記者団に対し、「フィンランドとスウェーデンのNATO加盟に向けた道を開く合意に達した」と発表。トルコ、フィンランド、スウェーデンは「武器の輸出やテロとの戦いなど、トルコの懸念に対処する覚書に署名した」と述べた。
その上で「扉は開かれた。フィンランドとスウェーデンのNATO加盟は実現する」と言明した。
米政府高官によると、バイデン大統領は北欧2カ国のNATO加盟に向けた合意に支持を表明。また、フィンランドとスウェーデンの要請に基づき、バイデン大統領が28日にエルドアン大統領と会談していたことを明らかにした。