ザ・一九六八
2006/12
府川 充男
昭和26(1951年)年2月横浜市生れ。過激派の活動家から新宿で飲屋をやりつつ雑誌編輯者となって早稲田大学教育学部中退(抹籍)。本人曰く学生運動で身につけた集中力で次々と印刷技術を身につけてゆく。築地電子活版代表。印刷史研究会『印刷史研究』編輯委員。印刷史、分析書誌学、和文書体史、組版、漢字字体史関係の論攷多数
今読んでる。
もうこんな話は、歴史というより文献的思想空間の考古学。1968年かれこれ50年前の話だ。1968年に50年前の出来事を語るなどロシア革命を除いては無かっただろう。そのくらい世界は革命を目標にして若者は議論に勝つことに熱狂していた。府川氏は7つ上8学年上の世代だが、第二次ブント分裂から全共闘が街頭で武装した時代では最も若い早熟な活動家だった。
高校生の元民青、浪人生の活動家、マル戦社学同、叛旗派第二次ブント、ブント分裂諸派らへの個性化は、今風に言えば、正統派プログラムを「作成」=輸入した左翼に対する新世代ハッカーという位置づけかな。正史のない学生運動全盛時代。祭りの後のように行き場の無くなった優秀な学生が酒場で食いつなぐそういう事例は多かった。漢字のこだわりが気に入った。
麻生和子が伝える吉田茂の言葉によると『若いときに共産主義にならないのはバカだけど、年取ってからなお続いて共産主義であるのはもっとバカだよ』(父 吉田茂)
中央が1999年ころの著者 府川充男
まるで学生寮の一室みたいな景色。
府川・スガ(糸へんに圭:こんな漢字は普通にはみかけない)秀実・高橋 順一(たかはし じゅんいち、1950年9月8日- )の対談の中では高橋の言説が思想空間をよく描けていると思う。この人の「吉本隆明と共同幻想」は読んでおくべき本だろう。しかし彼らは1968年という事象(1967年~1974年)の中心を引っ張った世代の中では若い方だ。吉本隆明や廣松渉という言論に土俗とインターナショナリズムの振幅を持ちながら、むしろ党派やイデオロギーよりも府川の言うように野次馬やノンセクトといったロックコンサートの悪ノリグルーピーのような捻れたナショナリズムの巨大なエネルギーを街頭に巻き込んでいった。ヤクザの出入りとあまり変わりのない、やるせない暴力から連合赤軍へと積み上がってゆく泥の層を通して遺跡を発掘できるのは、この人物たちが最適かもしれない。私がまだ10歳のときの1968年は、遠くはるかな先にあるコップの中の嵐。そこにいた人々にとっては人生を狂わせ、命を落とし、抜け出せなくなったカルトのようなサブカルのような世界の呪文が解けない人々に見えた。しかし近づいて彼らをみると特に1974年以降の青年たちはやるせない暴力の担い手として深く傷ついていることに気づく。自ら創造する人生という意味で府川氏の業績を尊敬する。
高橋 順一
1950年宮城県生まれ。早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専攻思想史。2010年4月から1年間ライブツィヒ大学東アジア研究所客員教授。 主要著作は『市民社会の弁証法』(弘文堂)、『ヴァルター・ベンヤミン』(講談社現代新書)、『響きと思考のあいだ-リヒャルト・ヴァーグナーと19世紀近代』(青弓社)、『戦争と暴力の系譜学』(実践社)、『ヴァルター・ベンヤミン解読』(社会評論社)、『吉本隆明と親鸞』(社会評論社)『吉本隆明と共同幻想』(社会評論社)。アドルノ『ヴァーグナー試論』(作品社)ほか翻訳多数。
スガ(糸へんに圭)秀実
近畿大教授(2009年時点)/早大元教員(文芸批評)
新潟県小千谷市出身。新潟県立長岡高等学校卒業、1967年に上京、代々木ゼミナール(世田谷寮)を経て、学習院大学文学部哲学科中退。「日本読書新聞」編集長、「杼」編集員、コーネル大学客員研究員(1990年9月から1年間)及びコロンビア大学客員研究員、日本ジャーナリスト専門学校専任講師(1998年3月迄)を経て、2002年より近畿大学国際人文科学研究所特任教授、2015年定年。
その堂々たる仲間、を列挙しておこう。賛同人には親戚もいるのでカットするがこれは、最終更新日:2014年4月24日の入学式ビラ配布に大学による不当(私人)逮捕への抗議文呼びかけ人
大石雅彦 (早稲田大学文学学術院教員)
高橋順一 (早稲田大学教育・総合科学学術院教授)
原 章二 (早稲田大学政治経済学術院教授)
鵜飼 哲 (早稲田大学教員・一橋大学教授)
鴻 英良 (早稲田大学教員・演劇批評家)
井出匠 (早稲田大学文学研究科博士課程)
中山健介 (早稲田大学政治学研究科博士課程)
堀 真悟 (早稲田大学文化構想学部2年)
松浦慶太 (早稲田大学国際教養学部4年)
峰尾俊彦 (早稲田大学第一文学部2年)
井土紀州 (映画監督・脚本家)
市田良彦 (神戸大学教授)
池田雄一 (文芸批評家・元早稲田大学教員)
角田光代 (作家)
木村建哉 (成城大学専任講師)
スガ秀実 (近畿大学教授・元早稲田大学教員)
武井昭夫 (評論家)武井 昭夫(たけい てるお、1927年1月29日 - 2010年9月2日[1])は、日本の文芸評論家、全学連初代委員長。遺言か?いい加減にしろ。
平井玄 (音楽批評家・元早稲田大学教員)(ひらい げん、1952年5月5日 - )東京都立新宿高校時代に坂本龍一らと全共闘運動に関わる。早稲田大学文学部抹籍。1980年代には、府川充男、竹田賢一、後藤美孝とともに雑誌『同時代音楽』の編集にたずさわる。「愛と憎しみの新宿 半径一キロの日本近代史」 今度読んでみよう
府川充男 (印刷史研究会『印刷史研究』編輯委員)
米谷匡史 (東京外国語大学教員)
2006/12
府川 充男
昭和26(1951年)年2月横浜市生れ。過激派の活動家から新宿で飲屋をやりつつ雑誌編輯者となって早稲田大学教育学部中退(抹籍)。本人曰く学生運動で身につけた集中力で次々と印刷技術を身につけてゆく。築地電子活版代表。印刷史研究会『印刷史研究』編輯委員。印刷史、分析書誌学、和文書体史、組版、漢字字体史関係の論攷多数
今読んでる。
もうこんな話は、歴史というより文献的思想空間の考古学。1968年かれこれ50年前の話だ。1968年に50年前の出来事を語るなどロシア革命を除いては無かっただろう。そのくらい世界は革命を目標にして若者は議論に勝つことに熱狂していた。府川氏は7つ上8学年上の世代だが、第二次ブント分裂から全共闘が街頭で武装した時代では最も若い早熟な活動家だった。
高校生の元民青、浪人生の活動家、マル戦社学同、叛旗派第二次ブント、ブント分裂諸派らへの個性化は、今風に言えば、正統派プログラムを「作成」=輸入した左翼に対する新世代ハッカーという位置づけかな。正史のない学生運動全盛時代。祭りの後のように行き場の無くなった優秀な学生が酒場で食いつなぐそういう事例は多かった。漢字のこだわりが気に入った。
麻生和子が伝える吉田茂の言葉によると『若いときに共産主義にならないのはバカだけど、年取ってからなお続いて共産主義であるのはもっとバカだよ』(父 吉田茂)
中央が1999年ころの著者 府川充男
まるで学生寮の一室みたいな景色。
府川・スガ(糸へんに圭:こんな漢字は普通にはみかけない)秀実・高橋 順一(たかはし じゅんいち、1950年9月8日- )の対談の中では高橋の言説が思想空間をよく描けていると思う。この人の「吉本隆明と共同幻想」は読んでおくべき本だろう。しかし彼らは1968年という事象(1967年~1974年)の中心を引っ張った世代の中では若い方だ。吉本隆明や廣松渉という言論に土俗とインターナショナリズムの振幅を持ちながら、むしろ党派やイデオロギーよりも府川の言うように野次馬やノンセクトといったロックコンサートの悪ノリグルーピーのような捻れたナショナリズムの巨大なエネルギーを街頭に巻き込んでいった。ヤクザの出入りとあまり変わりのない、やるせない暴力から連合赤軍へと積み上がってゆく泥の層を通して遺跡を発掘できるのは、この人物たちが最適かもしれない。私がまだ10歳のときの1968年は、遠くはるかな先にあるコップの中の嵐。そこにいた人々にとっては人生を狂わせ、命を落とし、抜け出せなくなったカルトのようなサブカルのような世界の呪文が解けない人々に見えた。しかし近づいて彼らをみると特に1974年以降の青年たちはやるせない暴力の担い手として深く傷ついていることに気づく。自ら創造する人生という意味で府川氏の業績を尊敬する。
高橋 順一
1950年宮城県生まれ。早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専攻思想史。2010年4月から1年間ライブツィヒ大学東アジア研究所客員教授。 主要著作は『市民社会の弁証法』(弘文堂)、『ヴァルター・ベンヤミン』(講談社現代新書)、『響きと思考のあいだ-リヒャルト・ヴァーグナーと19世紀近代』(青弓社)、『戦争と暴力の系譜学』(実践社)、『ヴァルター・ベンヤミン解読』(社会評論社)、『吉本隆明と親鸞』(社会評論社)『吉本隆明と共同幻想』(社会評論社)。アドルノ『ヴァーグナー試論』(作品社)ほか翻訳多数。
スガ(糸へんに圭)秀実
近畿大教授(2009年時点)/早大元教員(文芸批評)
新潟県小千谷市出身。新潟県立長岡高等学校卒業、1967年に上京、代々木ゼミナール(世田谷寮)を経て、学習院大学文学部哲学科中退。「日本読書新聞」編集長、「杼」編集員、コーネル大学客員研究員(1990年9月から1年間)及びコロンビア大学客員研究員、日本ジャーナリスト専門学校専任講師(1998年3月迄)を経て、2002年より近畿大学国際人文科学研究所特任教授、2015年定年。
その堂々たる仲間、を列挙しておこう。賛同人には親戚もいるのでカットするがこれは、最終更新日:2014年4月24日の入学式ビラ配布に大学による不当(私人)逮捕への抗議文呼びかけ人
大石雅彦 (早稲田大学文学学術院教員)
高橋順一 (早稲田大学教育・総合科学学術院教授)
原 章二 (早稲田大学政治経済学術院教授)
鵜飼 哲 (早稲田大学教員・一橋大学教授)
鴻 英良 (早稲田大学教員・演劇批評家)
井出匠 (早稲田大学文学研究科博士課程)
中山健介 (早稲田大学政治学研究科博士課程)
堀 真悟 (早稲田大学文化構想学部2年)
松浦慶太 (早稲田大学国際教養学部4年)
峰尾俊彦 (早稲田大学第一文学部2年)
井土紀州 (映画監督・脚本家)
市田良彦 (神戸大学教授)
池田雄一 (文芸批評家・元早稲田大学教員)
角田光代 (作家)
木村建哉 (成城大学専任講師)
スガ秀実 (近畿大学教授・元早稲田大学教員)
武井昭夫 (評論家)武井 昭夫(たけい てるお、1927年1月29日 - 2010年9月2日[1])は、日本の文芸評論家、全学連初代委員長。遺言か?いい加減にしろ。
平井玄 (音楽批評家・元早稲田大学教員)(ひらい げん、1952年5月5日 - )東京都立新宿高校時代に坂本龍一らと全共闘運動に関わる。早稲田大学文学部抹籍。1980年代には、府川充男、竹田賢一、後藤美孝とともに雑誌『同時代音楽』の編集にたずさわる。「愛と憎しみの新宿 半径一キロの日本近代史」 今度読んでみよう
府川充男 (印刷史研究会『印刷史研究』編輯委員)
米谷匡史 (東京外国語大学教員)