積読の楽しみ
太陽の塔を岡本太郎は造形の俳句と言い切った。真っ直ぐ結論に到達する近代合理主義の大屋根リフト設計と削ぎ落とした造形という名の建造物は、真逆の対決だった。
もののあわれ とは女性的心情ではなく、心情の双極で物事を捉える精神作用である。すなわち受動的で現世的な和の精神と積極的で純粋な道と名誉名分を好む猛々しい尚武の精神(『喧嘩両成敗の誕生』清水克行 講談社2006年に詳しい)敵討ちの風俗との硬軟一体を以って文化として継承する様をいう。岡本太郎の芸術概念もその根本はもののあわれでできている。抽象と具象、美と醜、無機と有機、吸引と反発。進歩を否定する刀でその裏返しにすぎない伝統は切って捨てる。日本人にしかないものを岡本太郎は自覚していた。