嬉しくても、悲しくても、
悔しくても、
人生は涙を流した者の順に勝ちなのです。
涙が流れるまでには
あまりに未解決の、未消化な事柄が蓋をして
恩を返す義務をまた今年も繰り越しました。
わかっています。滑稽でしょう。
今更涙を流しても、遠い昔の出来事に答えているようで。
目には見えなくても、その問いは風の中にあるのです。
答えを聞くべき人はすでに地下に眠り
僕の言葉にはもう光がありません。
未だ涙になりません。
信じていてほしいい人にまで流され
繰り越してきた沈殿の闇は深い。
説明するには人生があまりにもあっけなく
自分が許せないので
流れる涙にならないのです。
誰もが簡単に涙の在庫処分ができたら
どれほどいい人生であろうかと思う。
酒が涙の封印を解くという
思い出せない封印の理由を探し
訳も知らず忘却のまま泣くことができるのでしょう。
それよりは、それよりは、
心にこごるごまかしの
相似形の哀しみや、相似形の喜びを。
歌の力で、ぎりぎりやっと
滑稽でない涙が
わたくしのない涙が
人の頬に流れたのです。