公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

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「見えざる政府 児玉誉士夫とその黒の人脈 」 竹森久朝

2016-08-31 14:27:53 | 日本人
竹森久朝(たけもり ひさあきら:1930年~?)ご存命なら86歳になっているはず。この本「見えざる政府 児玉誉士夫とその黒の人脈 」も1976年の初版だが、この人の児玉批判はその5年前の「ブラックマネー」(日本証券新聞社)に始まる。戦後の誰もフィクサ児玉を知らない(知っていても書けない)頃から文章にしている。だから児玉機関の紹介に関する引用はほとんどがこの本になっている。児玉誉士夫をあまり大物に仕立てるメディアスクラムもあって、実像以上に引用されることがその後多くなった。



これによると放浪癖と性分の短さもあり、昭和16年12月から18年半ばまでは資源用達などを上海でしていたようだが、18年半ばくらいには王政権の紙幣で蓄財を始めるようになる。紙くずとみなされた紙幣を集めて為替レートを裏口に蓄財していたようだ。もはや国士も何もない状態に突入したのは18年後半あたりだろう。小者だった児玉は、レーニンの遺贈金は3月事件を始めとするクーデター資金となり清水行之助から徳川義親に返還された50万円は社会党創立の資金になった。(岡田, 益吉 『軍閥と重臣‐新聞記者のみた昭和秘史』 読売新聞社、1975年。)そして社会党の躍進で革命前夜ほどに騒然とした戦後、CIAの意を受けて勝共連合をつくった。児玉を大きくしたのはCIAとも言える。

『この満洲国における実力者として、星野直樹(大蔵省国有財産課長から 1932 年満洲国に転出、 37 年満洲国国務院総務長官)、東條英機(1936 年陸軍中将、37 年関東軍参謀長、38 年陸軍次官、 40~41 年陸軍大臣、41 年~44 年首相)、鮎川義介(1937 年日産コンツェルンを満洲に移駐、37 ~42 年満洲重工業開発株式会社総裁)、松岡洋右(1921 年南満洲鉄道株式会社理事、27 年副総 裁、35 年総裁)および岸信介(商工省工務局長から 36 年満洲国国務院実業部総務司長、1937 年 7 月産業部次長、39 年 3 月総務庁次長、39 年 10 月に帰国し商工次官、商工大臣)の 5 人の 存在が注目される。彼らは、「満洲産業開発五カ年計画」が動き始めた 1937 年前後から「二キ 三スケ」と呼ばれ、そのなかの「三スケ」は姻戚関係にあった。この 5 人のなかで、満洲国の 経済産業政策を中心的に担ったのが岸信介(1896-1987)であり、彼自身、満洲国を「私の描いた作品」とまで言い切っている。』佐藤正志; 張志祥 (10 2009). “岸信介と「満洲経営」-最近の研究動向・言説と課題-”. 摂南大学経営情報学部論集 17 (1): 89-102.この五人に比べれば、児玉は小物あるいは汚れ役だったのだろう。



勝共連合の頭目、木内信胤は一般意味論ゼネラル セマンティクスを知っていたということはCIAのエージェントの情報操作学の教育をどっかでレクチャーされたのだろう。この学問が始まるのも1919年だ。

『一般意味論には様々な要素があるが、以下にあげる3つは特に重要である。

「時間結合」Time-binding:情報や知識を世代を超えて加速度的に伝達する人類の能力。コージブスキーはこの能力が人類特有のものであり、動物と人間を隔てている能力であるとした。動物も知識を伝えないわけではないが、人間のように加速度的な伝達はできない。動物は以前の世代と同じように行動するが、人間はかつて狩猟採集によって食料を得ていたのが、栽培や養殖を行っている。
「目標レベルにおける沈黙」Silence on the objective levels:単語はそれが表す事象そのものではないことから、コージブスキーは言語を用いないで内外の環境を経験することを重要視した。この訓練をしている間、実践者は外見上も内的にも物静かとなる。
仮定的属性による意味づけよりも関連する事実による拡張を重視する。
一般意味論の大部分は、現実のやりとりを妨げる精神的な性癖をやめるための訓練技術と覚え書きから構成される。3つの重要な覚え書きとして、「非A」Null-A、「非I」Null-I、「非E」Null-Eがある。

非Aとは「非アリストテレス」non-Aristotelianismである。一般意味論では現実が決して(アリストテレス的)二値論理で表現しきれないことを強調する。
非Iとは「非同一性」non-Identityである。一般意味論ではいかなる事象も同一ではないとし(測定限界を超えたところで異なっている可能性があるため)、「現在実行している分析の目的から見て十分類似している」と考えるのが好ましいとされる。
非Eとは「非ユークリッド」non-Euclideanismである。一般意味論では我々の宇宙がユークリッド幾何学では正確に説明できないことを強調する。

これらの覚え書きの根底にある目的は、現実の現地と我々の概念的地図をうまく対応させ、あらゆる地図に制限があることを思い出させることである。そういう意味では、非Aは単に哲学的なものを否定しているのではなく、非アリストテレス的論理の実践を意味している。コージブスキーはこれらがリンクしていると考えた。我々が影響しあう事象の複雑な性質は、本質や定義からの推論では手に負えないことが多い。そのことが不確実さを生むが、一般意味論では非アリストテレス的論理が有効とされる。』


一般意味論を簡単にまとめるならば、前段は言語原理による現実の認識という人間の癖を疑うという構造的問題意識から構成される新たな論理学だった。しかし彼は結局これをこの言語原理という論理の普遍性を取り込んだ洗脳と長期的謀議の特殊適用して学問をコンサル業化する。立命館大学の某センター教授などは立派なエージェントの事例だ。学問をエージェント化する、事象をエージェントのコメントを通じて反政府運動に転換する。お隣の崔順実(チェ・スンシル)ゲートを大統領弾劾裁判につなげた言語のアイコン化(敵の目印を一言で示す、例えば旭日旗など)=価値観の手形化がなければ火は燎原に広がらない。この手形を裏書き署名するのがエージェント学者群の役割となる。疑惑の内容など関係ない。フランスの大統領選挙も同じく政治不信(カユザック事件)を醸成して既存政党を駆逐することに成功した。

これは前提を一致させれば、結論が単一となるためのデマ論理構築学である。

つまり、時間を超える知識獲得を同族の間だけで加速する事を高度に技術化(その一部が言語の改良)すると、常に他の群れより優位に立つ集団が人類社会の外に形成される。

情報と知識を独占する機関に富を集めるこのアイディアは、1919年に生まれた。現代はこの技術化の延長上にある。人工知能はその最も進んだ形態だろう。

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