公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

切り取りダイジェストは再掲。新記事はたまに再開。裏表紙書きは過去記事の余白リサイクル。

ビタミンDサプリメントを摂取すると癌の死亡率は12%減少する 国際共同研究による10万人のデータ解析で明らかに

2023-05-14 04:55:00 | 健康など

やはりVDはいいのですね。

東京慈恵会医科大学分子疫学研究部浦島充佳教授らは、ドイツの癌研究センター、アメリカのハーバード大学やラホヤアレルギー免疫研究所、カリフォルニア大学サンフランシスコ校、フィンランド、オーストラリア、ニュージーランドなどとの国際共同研究により二重盲検ランダム化プラセボ比較試験に参加した 10 万人のデータをメタ解析し、ビタミン D サプリメントの連日内服により癌種に関係なく癌死亡率が 12%減少していたことを明らかにしました。本メタ解析には浦島教授らの実施したアマテラス試験も含まれます。

< ポイント >
ビタミン D サプリメントの連日内服により癌種に関係なく癌死亡率が 12%減少した
70 歳以上の場合は癌死亡率が 17%減少し、高齢者で特に有効だった
癌の発症前から連日で内服していた場合は 13%、発症後でも 11%の癌死を予防した
連日の内服は有効だったが、月 1 回の大量内服では無効だった

本研究は funding of the systematic review by the charity foundation German Cancer Aidから資金援助を受けたものであり、成果は 3 月 31 日に Ageing Res Rev 誌に掲載されました。

<アマテラス試験>
ビタミンDは日光にあたることにより皮下でつくられ、日本で実施される試験であることから、天照大神にあやかりアマテラス試験と名付けました。2010 年から 8 年間データを蓄積し食道から直腸に至る消化管癌患者 417 人に対してビタミンDサプリメント(2,000IU/day)とプラセボ群に 3:2 の割合で振り分け、再発あるいは死亡の数を比較するものです。ビタミンD群は術後 2 週間前後より試験用サプリメントの内服を開始しました。その結果、ビタミンD群の 5 年無再発生存率は 77%、プラセボ群では 69%と、ビタミンD群は再発・死亡がプラセボ群と比較して 8%少なくなりましたが、統計学的に有意といえる程ではありませんでした(P=0.18)。この結果は 2019 年にアメリカ医師会雑誌(JAMA)に発表されました 1。

アマテラス試験の結果から見て取れた傾向をもとに、2 つの仮説を立てました。

仮説1.ビタミンDサプリメントは術後早期ではなく、遅発性の癌の再発・死亡を抑制する
サプリ内服開始後 1 年半までは両群での再発、死亡率にほとんど差がなく(図1)、差が開くのはそれ以降です。サプリ内服開始 1 年未満の期間を含めずに解析すると、ビタミンD群の 5 年生存率は 85.8% であり、プラセボ群では 76.4%となりました(図2)。ハザード比 = 0.57; 95%CI, 0.33-0.98; P=0.04 とビタミンDが有意に再発・死亡リスクを抑制していました。

仮説2.病理免疫組織でp53が強陽性、すなわちp53に変異があるものに対して有効である
アマテラス試験の病理組織検体を事後解析し、癌抑制蛋白の1つである p53 が 10%より多く染まっていた癌をもつ患者だけに対象を絞った場合、5 年生存率はビタミンD群で 79% であり、一方プラセボ群のそれは 57%でした。ハザード比 = 0.52; 95%CI, 0.31-0.88; P=0.02 とビタミンDが有意に再発・死亡リスクを抑制していました(図3)。この結果は 2020 年に誌上発表しています 2。さらに p53 陽性癌で「サプリ内服開始 1 年未満の再発・死亡を含めない」という条件でこれを事後解析すると、ビタミンD群の 5 年生存率は 88% であり、一方プラセボ群のそれは 62%でした(図4)。ハザード比 = 0.33; 95%CI, 0.16-0.65; P=0.001 とビタミンDが再発・死亡リスクをおよそ 3 分の1 にまで抑制していました。

<アマテラス2試験>
アマテラス試験の事後解析で立てた2つの仮説を証明するべく、2022 年 1 月より慈恵医大附属病院と国際医療福祉病院の多施設共同研究という形でアマテラス2試験(JK121-009 , jRCTs031210460)を開始しました。癌患者、特に p53 陽性癌患者において術後 2 か月以内から試験終了までビタミンDサプリメント(2000 IU/day)を連日長期投与する群と、プラセボを投与する群にランダムに振り分け、遅発性(投与開始から 365 日以降)の再発、あるいは全ての原因による死亡ハザード・リスクを比較し、ビタミンDサプリメント投与の有効性を検討します。また、有害事象(高カルシウム血症等)の発現率を群間で比較し、ビタミンDサプリメント投与の安全性についても検討します。




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今ごろ読んでる 『アメリカ... | トップ | 政治的な動機で「気候の非常... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。