コロナ2020年以降のことのようだ。跡地にはビルが建つらしい。笹乃雪が再開するかどうかはわからない。
味の方は私の好みではなかったが、食文化遺産のような江戸の甘い味付けは当時の味醂のように甘い酒だったと言われる日本酒にはあっていたのだろうなどと思いながら席に座っていた思い出がある。
1691年(元禄4年)に、初代玉屋忠兵衛が上野の輪王寺の宮といわれる第111代後西天皇の第6皇子、公弁法親王のお供をして京より江戸に移り、根岸新田(現在地)で絹ごし豆富を作り料理屋を開いたのが始まり。江戸で初めてできた絹ごし豆富を親王に献上したところ、京を懐かしみ「笹の上に積もりし雪の如き美しさよ」と称されたので、屋号を「笹乃雪」と名づけた。
笹乃雪では、豆腐のことを「豆富」と書いて「とうふ」と記している。その由来は、80年ほど前の9代目当主奥村多吉が、料理店に「腐る」という字はふさわしくない、という理由で「豆富」と記すようになった。