意外に狭い。低いほどいいというものでは無い4-5の間くらいが最適。
酸化ストレスに腎臓が弱いということ。
まだまだ血管内皮細胞の分化の理解が追いついていない。
世界195カ国における過去25年間の肥満と健康への影響が7月6日、米国の医学雑誌『The New England Journal of Medicine』に発表された(※1)。これは子ども(20歳未満)と大人の肥満(高いBMI値)と有病率を調べるため、1980年から2015年までの世界の6850万人を対象にした大規模疫学調査となる。
肥満関連死亡原因の2/3以上が心血管疾患
調査によれば、2015年の時点の推定で、世界の子どもの1億770万人が、世界の大人の6億370万人が肥満と考えられる、という結果になった。肥満が原因の健康被害は1980年以降70カ国で倍増し、多くの国で子どもの肥満が増えていることがわかった。測定にはBMI(Body Mass Index、体重kg/身長cmの二乗)を使っている。
肥満が大きな原因と考えられる疾患には、虚血性心疾患や脳卒中、高血圧などの循環器系の病気、糖尿病、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、腎臓病、がん(乳がんなど)、出産障害などがある。2015年には、肥満関連死亡数は世界で400万人だったが、そのうちの39%(年齢調整後37%)は、BMIが30未満の人だった。つまり、BMI値がそれほど高くなくても、肥満関連疾患で死亡するリスクがある、ということだ。
また、1990年以降、肥満関連疾患は増加傾向にあり、肥満関連死亡の2/3強が心血管疾患によるものだ。その一方、心血管疾患の死亡率は低下傾向にあるため、全体における心血管疾患の死亡の割合は減少しているらしい。肥満と疾患との関係では、比較対照群コントロール群にこれまで喫煙歴のない人が選ばれている。
この調査では、BMIが20~25の値で死亡リスクが最も低い、とされた。BMIが25を超えると、リスクは比例的に増えていく。肥満による有病率でみると、男性で50歳から54歳、女性で60歳から64歳の間でピークとなる。
WHOの定義によれば、肥満の判定基準はBMIが30以上となる。だが、日本ではBMIが25以上を肥満とする(日本肥満学会による)。なぜなら、日本人はBMIが25を超えると、耐糖能障害、脂質異常症、高血圧といった合併症の発症リスクが高まるからだ。
日本人はむしろ「痩せ過ぎ」に注意
国別でみると、エジプトの肥満が目立つ。大人のBMIが35.3、子どもで12.7だ。逆に肥満度が低いのはベトナムの大人1.6、バングラデシュの子ども1.2で、これはむしろ栄養不足の側面が示唆される。肥満と死亡率の関連でみると、ロシアが最も高く、コンゴ民主共和国が最も低かった。
日本は、OECD諸国の中で男女ともにBMIは最も低い。次に韓国が低く、逆に最も高いのは男女ともに米国だ。世界でみても特に日本の女性のBMIは低く、ネパールや北朝鮮と肩を並べる。また男性のBMIもスーダンと同程度と、日本人は特徴的な痩せ形国民ということがわかる(※2)。
日本のBMIは男性平均23.6、女性平均22.5だ。都道府県別にみると、男性は平均24.4の長崎県が最も高く、次いで平均24.3の青森県や岩手県、秋田県、沖縄県。また、女性は平均23.9で沖縄県が最も高く、次いで23.6の長崎県となる(※3)。
世界には依然として飢餓線上にある国も多い。肥満のみならず、栄養失調も問題とすべきだ。日本人の場合、今回の調査による「20~25」というBMI値の範囲内には収まっているが、BMIは低すぎても死亡リスクが高くなる(19以下)。一般的に先進国はBMIが低いが、特に太ることを気にする女性は要注意だ。BMIが21以下なら危険数値に近づいていると言える。
体脂肪との関係でいわゆる「隠れ肥満」の問題もあるから、BMIだけをみるのは早計だろう。前述したように、BMI値がそれほど高くなくても肥満関連疾患にかかるリスクはある。BMI値は重要な参考にすると同時に、規則正しい生活と適度な運動、バランスの取れた食事を心がけておくことこそ肝要だ。
※1:The GBD 2015 Obesity Collaborators, "Health Effects of Overweight and Obesity in 195 Countries over 25 Years." The New England Journal of Medicine, 377, 13-27, 2017
※2:WHO「Global Health Observatory Date Repositry」2015
※3:2012(平成24)年「国民健康・栄養調査」都道府県別BMIの平均値(20-69歳・男性、4.-69歳・女性、都道府県別、年齢調整)
酸化ストレスに腎臓が弱いということ。
まだまだ血管内皮細胞の分化の理解が追いついていない。
世界195カ国における過去25年間の肥満と健康への影響が7月6日、米国の医学雑誌『The New England Journal of Medicine』に発表された(※1)。これは子ども(20歳未満)と大人の肥満(高いBMI値)と有病率を調べるため、1980年から2015年までの世界の6850万人を対象にした大規模疫学調査となる。
肥満関連死亡原因の2/3以上が心血管疾患
調査によれば、2015年の時点の推定で、世界の子どもの1億770万人が、世界の大人の6億370万人が肥満と考えられる、という結果になった。肥満が原因の健康被害は1980年以降70カ国で倍増し、多くの国で子どもの肥満が増えていることがわかった。測定にはBMI(Body Mass Index、体重kg/身長cmの二乗)を使っている。
肥満が大きな原因と考えられる疾患には、虚血性心疾患や脳卒中、高血圧などの循環器系の病気、糖尿病、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、腎臓病、がん(乳がんなど)、出産障害などがある。2015年には、肥満関連死亡数は世界で400万人だったが、そのうちの39%(年齢調整後37%)は、BMIが30未満の人だった。つまり、BMI値がそれほど高くなくても、肥満関連疾患で死亡するリスクがある、ということだ。
また、1990年以降、肥満関連疾患は増加傾向にあり、肥満関連死亡の2/3強が心血管疾患によるものだ。その一方、心血管疾患の死亡率は低下傾向にあるため、全体における心血管疾患の死亡の割合は減少しているらしい。肥満と疾患との関係では、比較対照群コントロール群にこれまで喫煙歴のない人が選ばれている。
この調査では、BMIが20~25の値で死亡リスクが最も低い、とされた。BMIが25を超えると、リスクは比例的に増えていく。肥満による有病率でみると、男性で50歳から54歳、女性で60歳から64歳の間でピークとなる。
WHOの定義によれば、肥満の判定基準はBMIが30以上となる。だが、日本ではBMIが25以上を肥満とする(日本肥満学会による)。なぜなら、日本人はBMIが25を超えると、耐糖能障害、脂質異常症、高血圧といった合併症の発症リスクが高まるからだ。
日本人はむしろ「痩せ過ぎ」に注意
国別でみると、エジプトの肥満が目立つ。大人のBMIが35.3、子どもで12.7だ。逆に肥満度が低いのはベトナムの大人1.6、バングラデシュの子ども1.2で、これはむしろ栄養不足の側面が示唆される。肥満と死亡率の関連でみると、ロシアが最も高く、コンゴ民主共和国が最も低かった。
日本は、OECD諸国の中で男女ともにBMIは最も低い。次に韓国が低く、逆に最も高いのは男女ともに米国だ。世界でみても特に日本の女性のBMIは低く、ネパールや北朝鮮と肩を並べる。また男性のBMIもスーダンと同程度と、日本人は特徴的な痩せ形国民ということがわかる(※2)。
日本のBMIは男性平均23.6、女性平均22.5だ。都道府県別にみると、男性は平均24.4の長崎県が最も高く、次いで平均24.3の青森県や岩手県、秋田県、沖縄県。また、女性は平均23.9で沖縄県が最も高く、次いで23.6の長崎県となる(※3)。
世界には依然として飢餓線上にある国も多い。肥満のみならず、栄養失調も問題とすべきだ。日本人の場合、今回の調査による「20~25」というBMI値の範囲内には収まっているが、BMIは低すぎても死亡リスクが高くなる(19以下)。一般的に先進国はBMIが低いが、特に太ることを気にする女性は要注意だ。BMIが21以下なら危険数値に近づいていると言える。
体脂肪との関係でいわゆる「隠れ肥満」の問題もあるから、BMIだけをみるのは早計だろう。前述したように、BMI値がそれほど高くなくても肥満関連疾患にかかるリスクはある。BMI値は重要な参考にすると同時に、規則正しい生活と適度な運動、バランスの取れた食事を心がけておくことこそ肝要だ。
※1:The GBD 2015 Obesity Collaborators, "Health Effects of Overweight and Obesity in 195 Countries over 25 Years." The New England Journal of Medicine, 377, 13-27, 2017
※2:WHO「Global Health Observatory Date Repositry」2015
※3:2012(平成24)年「国民健康・栄養調査」都道府県別BMIの平均値(20-69歳・男性、4.-69歳・女性、都道府県別、年齢調整)