自民党の石破茂元幹事長は3日夜、BS-TBS番組に出演し、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、与野党の一部から憲法改正による「緊急事態条項」創設を訴える意見が出ていることについて、「これに悪乗りして、憲法(改正)に持っていくつもりはない」と述べた。
自民党の下村博文選対委員長は1日、宇都宮市内で講演し、新型コロナウイルスによる肺炎拡大を踏まえ、緊急事態条項新設に関する改憲論議の進展に期待感を示した。
国家緊急権(こっかきんきゅうけん)とは、戦争や災害など国家の平和と独立を脅かす緊急事態に際して、政府が平常の統治秩序では対応できないと判断した際に、憲法秩序を一時停止し、一部の機関に大幅な権限を与えたり、人権保護規定を停止するなどの非常措置をとることによって秩序の回復を図る権限のことをいい[1][2]、当該権限の根拠となる法令の規定を緊急事態条項(きんきゅうじたいじょうこう)という[3]。
日本国憲法
日本国憲法においては国家緊急権に関する規定は存在しないとする見方が多数的である[14][2]。憲法制定段階においては、日本側が衆議院解散時に、内閣が緊急財政措置を行えるとする規定を提案した。しかし連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)は英米法の観点からこれに反対し、内閣の緊急権によってこれに対応するべきであるとした。その後の協議によって、衆議院解散時には参議院において緊急会を招集するという日本側の意見が採用された[20]。
このため日本国憲法が国家緊急権を認めていないとする否定説、緊急権を容認しているという容認説の二つの解釈があり[14]、また否定説は緊急権規定がないのは憲法の欠陥であるとみる欠缺説、緊急権規定の不在を積極的に評価する否認説の二つに更に大別され[14]、結論は出ていない。
このうち欠缺説をとる論者は緊急権の法制化を主張し、否認説と容認説の論者はこれに反対するという構造がある[21]。
^ 富永健 1996, pp. 71-72.
^ a b 安全保障及び国際協力等に関する調査小委員会 2003, pp. 3.
^ “コトバンク-緊急事態条項”. 2018年10月31日閲覧。
^ a b c 矢部明宏・山田邦夫・山岡規雄 2003, pp. 10.
^ 富永健 1996, pp. 74-75.
^ a b c d 富永健 1996, pp. 75.
^ a b 安全保障及び国際協力等に関する調査小委員会 2003, pp. 4.
^ 矢部明宏・山田邦夫・山岡規雄 2003, pp. 12.
^ a b c 矢部明宏・山田邦夫・山岡規雄 2003, p. 13.
^ 荻野富士夫 1996, pp. 584-596.
^ 加藤一彦 2015, pp. 95-121.
^ a b 安全保障及び国際協力等に関する調査小委員会 2003, pp. 6.
^ 富永健 1996, pp. 79-80.
^ 富永健 1996, pp. 75-76.
^ a b 富永健 1996, pp. 76.