技術が未来を切り拓くという昭和の信念(自分のイマジネーションを信じる力)に従って、今から10000日前、私の挑戦がリアルに始まった。
もう中年の32歳だった。10000日という歳月はあっという間であった。
今日本のどれほどの中年がそういう<技術が未来を切り拓く>信念を持っているだろうか?
日本は地理的に、アメリカとイギリスのほぼ中間にあり、東南アジアからもほど近い。つまり日本は、ニーズ発掘地域である東南アジアとともに課題解決のために知識のハブ・集約点になり、新たな仕組みを作り出し、実装までの一連を行う「知識製造」を担うポテンシャルがある。加えて、欧米圏からのシーズを東南アジアに導入していく上で、補助的な立ち位置にもいるのだ。この地理的条件に、日本に好機をもたらす理由がある。そもそも東南アジアのニーズは、現地に行かなければ発掘することができない。なぜなら、彼らは母国語でクローズドなやり取りをしているために、インターネット上には情報が上がってこないのだ。
丸 幸弘,尾原和啓. ディープテック 世界の未来を切り拓く「眠れる技術」 (Japanese Edition) (p.43). Kindle 版. より