私がかつて関わったプロジェクトが発展して、エイズワクチンの国際的臨床試験が始まろうとしている。元は1995年にはじまる半官半民のベンチャー事業であったものが完全に民営化されて大きな挑戦をしている。本当に嬉しい。
もう一つ嬉しいことがある。あまりメディアに注目されていなかったので知らずに過ごしてしまったことだが、製薬会社時代のプロジェクトから発見された遺伝子NLRR1が、発見時には転移していると言われる神経芽腫(小児がんが有名)の中でも悪性で予後が悪いタイプの鍵を握っているということが発見され、12年の研究を経て、高取先生等によって治療抗体の可能性が拓かれた。千葉県がんセンターとの共同研究は、国際小児がん学会の若手小児がん研究の最高国際賞であるシュワイスグース賞を受賞した。日本人初、アジア人初とは大変な栄誉です。
もちろん私の役割はどちらも小さなものだったが、こういう成果にはビジネスばかりでは得られない満足度がある。企業研究の中で私が立ち上げたプロジェクトでは必ず若手から博士が誕生している。成果を引っさげて教授になったものもいる。今年も大学院を卒業する弊社のプロジェクト縁者がいる。本当に喜ばしいことである。
何かのお役にたつのなら、誰の成果でもよろしいではないですか。それにしても12年と19年、長い月日がかかりました。
参考
完全長cDNA技術やFANTOMデータベースも多くの分野で使われていますね。
林崎 本当にうれしいことやね。ぼくらの研究は、必ずしも華々しいものではなくて、「縁の下の力持ち」みたいなところがある。完全長cDNAプロジェクトから約10年がたって、そろそろ実りの時をむかえたのではないかな。京都大学の山中伸弥先生のiPSみたいなすごい研究が、日本から出てきたのもうれしい。「公的資金を使ったデータを外国にも公開していいのか」なんて議論もあったけれど、結局、そのデータを使ってiPS細胞をつくっちゃったのは、日本人だったんだ。山中先生に理研でセミナーをしてもらった時に、「理研の完全長cDNAがなかったらこんなに早く開発できなかった」って言われて、本当にうれしかった。iPSも含めて、自分たちのデータが使われて、臨床に向けて一歩一歩近づいて行くのを見るのが最高にうれしい。
完全長cDNAもFANTOMデータベースも、直接的に病気の方治療ができるようなものではないけれど、病気と闘う世界中の研究者にとって、強固な「足場」になっているんだっていうことをぜひ伝えたい。
もう一つ嬉しいことがある。あまりメディアに注目されていなかったので知らずに過ごしてしまったことだが、製薬会社時代のプロジェクトから発見された遺伝子NLRR1が、発見時には転移していると言われる神経芽腫(小児がんが有名)の中でも悪性で予後が悪いタイプの鍵を握っているということが発見され、12年の研究を経て、高取先生等によって治療抗体の可能性が拓かれた。千葉県がんセンターとの共同研究は、国際小児がん学会の若手小児がん研究の最高国際賞であるシュワイスグース賞を受賞した。日本人初、アジア人初とは大変な栄誉です。
もちろん私の役割はどちらも小さなものだったが、こういう成果にはビジネスばかりでは得られない満足度がある。企業研究の中で私が立ち上げたプロジェクトでは必ず若手から博士が誕生している。成果を引っさげて教授になったものもいる。今年も大学院を卒業する弊社のプロジェクト縁者がいる。本当に喜ばしいことである。
何かのお役にたつのなら、誰の成果でもよろしいではないですか。それにしても12年と19年、長い月日がかかりました。
参考
完全長cDNA技術やFANTOMデータベースも多くの分野で使われていますね。
林崎 本当にうれしいことやね。ぼくらの研究は、必ずしも華々しいものではなくて、「縁の下の力持ち」みたいなところがある。完全長cDNAプロジェクトから約10年がたって、そろそろ実りの時をむかえたのではないかな。京都大学の山中伸弥先生のiPSみたいなすごい研究が、日本から出てきたのもうれしい。「公的資金を使ったデータを外国にも公開していいのか」なんて議論もあったけれど、結局、そのデータを使ってiPS細胞をつくっちゃったのは、日本人だったんだ。山中先生に理研でセミナーをしてもらった時に、「理研の完全長cDNAがなかったらこんなに早く開発できなかった」って言われて、本当にうれしかった。iPSも含めて、自分たちのデータが使われて、臨床に向けて一歩一歩近づいて行くのを見るのが最高にうれしい。
完全長cDNAもFANTOMデータベースも、直接的に病気の方治療ができるようなものではないけれど、病気と闘う世界中の研究者にとって、強固な「足場」になっているんだっていうことをぜひ伝えたい。