『グリーンブック』を見てきたが、これじゃ打ち切り間近。席は埋まらずガラガラだった。映画は、近いが遠くなってしまった現代米国60年代版のクリスマスキャロル(ディケンズ)だった。黒人差別は歴史上の事実であるが、映画はむしろそっちよりも、メリー・クリスマスという到達点への個人の心の話。ディケンズの時代のユダヤ人にイタリア系が横滑りしてインチキ博打と金が家族を養う。PC全盛のいまとなっては米国人がメリー・クリスマスと言えないのであるから、これは懐かしいアメリカの時代劇だ。ラブレターに泣ける。 ドラえもん 翔んで埼玉 に次ぐ三位 他方《公開17週目を迎えた『ボヘミアン・ラプソディ』は主演のラミ・マレックが第91回アカデミー賞で主演男優賞に輝いた影響もあってか、先週の9位から7位にランキングを上げた。》
時代劇の前提が狂うとどこの国でも発狂する。さっそく救世主を白人に描いているとかPC修正(《それらの映画は人種や人種的偏見、人種の自己同一性などについての議論を避けようとする白人アメリカ人の現実逃避主義や保護を提供することができると仮定する》など歪んだ考えに基づく修正)を要求する連中に餌を与えている。そういう時代なのだ。それが許せなくても伝統的クラブが黒人を拒絶するのが当たり前の時代。トニー・リップ の言い放つあんたよりアリーサ・フランクリンを知っているなら俺の方がより黒人だというセリフが痛快に白黒の建て前をジョークにして主人公のアイデンティティを失わせる。修正を要求するPCはこれが許せないらしい。しかし映画はそれが見どころ。そういう観点しかなければピノキオの鼻が伸びるのも許せないだろう。実際70年代の文部省の期待される◯◯像 批判でピノキオの表現がやり玉に上がり、小学館に対して回収運動が仕掛けられた。左翼の運動にはこういう言いがかりが多い。
1976年11月4日、名古屋在住の四方八洲男[ちびくろサンボとピノキオ 差別と表現・教育の自由 杉尾敏明,棚橋美代子/著 青木書店 100頁参照]が「オールカラー版 世界の童話」(小学館)を自分の子供に読み聞かせていたところ、作中の「びっこのキツネ」「めくらのネコ」という箇所に気づき、その点を指摘しながら「五体満足で利口な主人公を『期待される子供像』として描いている反面、他の障害を持つキャラクターを社会の落伍者として描いており、差別を拡大助長させる童話であり看過できない」と出版社に抗議した。小学館側はこの抗議を検討し、自社から出版していた5種のピノキオ本のうち4種を「差別的表現があった」と認め回収した。「最新版の『国際版少年少女世界文学全集』については、めくら、びっこ、などの表現は無いので回収しない」旨を告発者の四方に謹告した。しかし四方は「障害者差別出版物を許さない、まず『ピノキオ』を洗う会」を立ち上げて小学館に対し 国際版の回収 回収方法に対する具体策の提示 自己批判の文章の提出 自社全出版物の点検と報告 を要求した。しかし小学館側は国際版の回収には応じられないとして、告発者と対立した。次に告発者はマスメディアに向けてアピールを行い、社会問題へと発展する。さらに図書館を相手取り「差別図書を読ませるな」と啓蒙行動を起こし、当時、日本で出版されていた11社38種のピノキオ本の回収を要求した。12月、図書館問題研究会が検討を行い「図書館の自由」を基に 回収措置は言論に対する封殺行為であり許せない。 本作は、弱点を克服し成長する子供の可能性を描いた作品であり、「めくら」「びっこ」という言葉で障害者差別に結びつけるのは拡大解釈で作品の意味を汲んでない。 回収を行えば障害者差別が無くなる道理も無く、「言葉だけで何かを変えよう」という幻想に繋がりかねない。 個々の企業に対する脅しが差別の撤廃にはならないし、体制も変わらない。 とする「反論声明」を提出した。強引な告発に対して批判があったが、小学館側の回収についても「安易」だとの批判があった。この騒動に対し「ピノキオ退治は世界の笑いもの」と揶揄する声もあった。[^ 「実例・差別表現」堀田貢得著 大村書店 2003年7月](黒人差別をなくす会も参照: (こくじんさべつをなくすかい)とは、1988年(昭和63年)に発足した、日本の私設団体である。大阪府堺市を拠点に活動しており、子供向け絵本 『ちびくろサンボ』を絶版に追い込んだことなどで知られる。)。
『グリーンブック』(Green Book)は、ジャマイカ系アメリカ人のクラシック及びジャズピアニストであるドン"ドクター"シャーリーと、シャーリーの運転手兼ボディガードを務めたイタリア系アメリカ人の警備員トニー・ヴァレロンガによって1962年に実際に行われた、アメリカ最南部を回るコンサートツアーにインスパイアされた2018年のアメリカの伝記コメディ映画。監督はピーター・ファレリー。主演はヴィゴ・モーテンセン。共演はマハーシャラ・アリ、リンダ・カーデリーニら。第91回アカデミー賞では作品賞など三部門で受賞した。
本作は、シャーリーとヴァレロンガに対するインタビューや、劇中にも登場したヴァレロンガの妻宛ての手紙に基づき、監督のファレルや、ヴァレロンガの息子であるニック・ヴァレロンガによって製作された。
題名は、ヴィクター・H・グリーンによって書かれたアフリカ系アメリカ人旅行者のための20世紀半ばのガイドブック「黒人ドライバーのためのグリーン・ブック」にちなんで付けられている。
本作は、2018年9月11日にトロント国際映画祭で世界初公開され、ピープルズチョイス賞を受賞した。2か月後の2018年11月16日、ユニバーサル・ピクチャーズからアメリカ合衆国で劇場公開され、世界中での興行収入は2億4200万ドル以上である。2018年のナショナル・ボード・オブ・レビュー賞で最優秀賞を受賞、また、アメリカ映画協会によって2018年の映画トップ10の1つに選ばれた。 他にも数々の賞を受賞したこの映画は、アカデミー賞の最優秀作品賞、脚本賞および助演俳優賞(アリ)を受賞し、主演男優賞(モーテンセン)および編集賞にもノミネートされた。全米製作者組合賞 劇場映画賞およびゴールデングローブ賞 映画部門 作品賞も受賞し、アリはゴールデングローブ賞の助演男優賞、全米映画俳優組合賞助演男優賞およびBAFTA賞を受賞した。
本作は批評家から大方肯定的なレビューを受け、2人の俳優のパフォーマンスは賞賛されているが、映画内での歴史的な描写の不正確さと、いわゆる典型的な「白人の救世主」の描写について批判を集めている側面もある。
- トニー・“リップ”・バレロンガ - ヴィゴ・モーテンセン
- ドクター・ドナルド・シャーリー - マハーシャラ・アリ
- ドロレス・バレロンガ - リンダ・カーデリーニ
- オレグ - ディメター・マリノフ
- ジョージ - マイク・ハットン
- アミット - イクバル・セバ
- ジョニー・ヴェネス - セバスティアン・マニスカルコ
- ボビー・ライデル - ファン・ルイス
- プロデューサー - P・J・バーン
2017年5月、ヴィゴ・モーテンセンが出演するための交渉が始まった。監督はピーター・ファレリー、脚本はトニー・リップの息子、ファレリー、ニック・バレロンガ、ブライアン・ヘインズ・クリーが務めている[6]。
同年11月30日、モーテンセンの出演が正式に決定し、マハーシャラ・アリ、リンダ・カーデリーニ、イクバル・セバがキャストに加わった。同週に正式に製作が開始した[7][8][9]。2018年1月、セバスティアン・マニスカルコがキャストに加わった[10]。
スコア作曲家のクリス・ボウワーズは、アリに基本的なピアノ技能を指導した。また、演奏する手のクローズアップが要求されるシーンでは、アリの代役としてピアノを演奏した。
映画のサウンドトラックのために、ファレリーは作曲家であるクリス・バウワーズのオリジナル楽曲と、シャーリー自身の楽曲を組み入れた。
本作は、2018年9月11日のトロント国際映画祭で世界初上映された[11]。本作は、アメリカで2018年11月21日に公開される[12]。
2018年11月16日、本作は全米25館で限定公開され、公開初週末に32万429ドル(1館当たり1万2817ドル)を稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場22位となった[13]。
本作は批評家からおおむね称賛を受けている。Rotten Tomatoesでは映画批評家が79%の支持評価を下し、また平均評価は10点中7.28点となった[14]。MetacriticのMetascoreは52人の批評家により、100点中69点となった[15]。第91回アカデミー賞の作品賞では同じく有力候補として注目を集めていた『ROMA/ローマ』と並んでノミネートされ、結果、本作が受賞した[16]。
一方で、絶賛ばかりではない。本作のアカデミー賞作品賞の受賞に対して、同じく作品賞にノミネートされていた『ブラック・クランズマン』のスパイク・リー監督は不快感を表すコメントを残し、同様に作品賞候補になった『ブラックパンサー』の主演チャドウィック・ボーズマンも、不満をあらわにした[17]。メディアでも批判を主張する人は少なくなく、米紙ロサンゼルス・タイムズのジャスティン・チャン記者は、本作の作品賞を「『クラッシュ』以来最悪のオスカー作品賞」と酷評[17]。SNSでも苦言が相次いだ[17]。
これらの批判の背景には、主人公であるトニー・リップの役柄が「黒人を差別から救う救済者」として誇張された伝統的すぎるキャラクターだったこと、また、シャーリーの遺族から「この映画が伝説のピアニストと家族の関係について観客に誤解を与えるような解釈をしている」との抗議も受けていたことがあるのでないかと指摘されている[18]。