【プレスリリース】新型超伝導回路を用いた超低電力集積回路の実証に成功
~高性能コンピュータの大幅な低消費電力化を可能に~
横浜国立大学先端科学高等研究院の竹内尚輝特任准教授、吉川信行教授らは、新型超伝導回路を用いて集積回路を試作し、その超低消費電力動作の実証に成功しました。新型超伝導回路では、量子磁束パラメトロンと呼ばれる回路を断熱的に動作させることで、その消費電力を極限まで下げることを可能としました。今回、断熱的量子磁束パラメトロン(AQFP)を用いて 8 ビット加算器を試作し、その消費エネルギーを 5 GHz の動作周波数で測定したところ、1 演算あたり 1.5 aJ (アトジュール、a は 10-18)で動作することを示しました。この消費電力は従来の半導体集積回路に比べて 6 桁程度小さく、超伝導回路を冷却するために必要な電力を見込んでもコンピュータの消費電力を従来の約千分の 1 以下に下げることが可能となります。
苦労して支那に捧げる技術かな
本研究成果は、米国 Applied Physics Letters 誌に 1 月 28 日に掲載されました。また、本研究は、JST さきがけ(JPMJPR1528)、JSPS 科研費(26220904)の助成を受けたものです。
量子磁束パラメトロン:1986 年に東大の後藤英一教授により提案された超伝導回路です。2 つのジョセフソン素子を含む超伝導ループで構成されます。1980年代から 1990 年代にかけて、これらの技術を用いたコンピュータの研究プロジェクトが行われていましたが、半導体デバイスの進歩に押され、研究は続けられなくなりました。
回路の断熱的動作:半導体 CMOS 回路などの通常の演算回路は、回路のオン/オフの際に瞬間的に大きな電流が流れ、大きな電圧が発生します。この時に回路では大きな電力が消費されます。これに対して断熱的回路では、回路をゆっくりと動作させることで、回路に発生する電流や電圧を小さくします。これにより、回路で消費される電力を飛躍的に小さくすることができます。
断熱的量子磁束パラメトロン(AQFP: adiabatic quantum flux parametron):量子磁束パラメトロンを断熱的に動作させることができるように最適化した回路です。回路の動作周波数に比例して消費エネルギーを下げることが可能です。横浜国立大学の研究グループにより先駆的に研究が進められ、次世代の集積回路として期待されています。
ジョセフソン素子:2 つの超伝導体電極を厚さ1~2nm の薄い絶縁体で挟んだ構造をとります。超伝導電流をオンオフするスイッチの機能を持ちます。
~高性能コンピュータの大幅な低消費電力化を可能に~
横浜国立大学先端科学高等研究院の竹内尚輝特任准教授、吉川信行教授らは、新型超伝導回路を用いて集積回路を試作し、その超低消費電力動作の実証に成功しました。新型超伝導回路では、量子磁束パラメトロンと呼ばれる回路を断熱的に動作させることで、その消費電力を極限まで下げることを可能としました。今回、断熱的量子磁束パラメトロン(AQFP)を用いて 8 ビット加算器を試作し、その消費エネルギーを 5 GHz の動作周波数で測定したところ、1 演算あたり 1.5 aJ (アトジュール、a は 10-18)で動作することを示しました。この消費電力は従来の半導体集積回路に比べて 6 桁程度小さく、超伝導回路を冷却するために必要な電力を見込んでもコンピュータの消費電力を従来の約千分の 1 以下に下げることが可能となります。
苦労して支那に捧げる技術かな
本研究成果は、米国 Applied Physics Letters 誌に 1 月 28 日に掲載されました。また、本研究は、JST さきがけ(JPMJPR1528)、JSPS 科研費(26220904)の助成を受けたものです。
量子磁束パラメトロン:1986 年に東大の後藤英一教授により提案された超伝導回路です。2 つのジョセフソン素子を含む超伝導ループで構成されます。1980年代から 1990 年代にかけて、これらの技術を用いたコンピュータの研究プロジェクトが行われていましたが、半導体デバイスの進歩に押され、研究は続けられなくなりました。
回路の断熱的動作:半導体 CMOS 回路などの通常の演算回路は、回路のオン/オフの際に瞬間的に大きな電流が流れ、大きな電圧が発生します。この時に回路では大きな電力が消費されます。これに対して断熱的回路では、回路をゆっくりと動作させることで、回路に発生する電流や電圧を小さくします。これにより、回路で消費される電力を飛躍的に小さくすることができます。
断熱的量子磁束パラメトロン(AQFP: adiabatic quantum flux parametron):量子磁束パラメトロンを断熱的に動作させることができるように最適化した回路です。回路の動作周波数に比例して消費エネルギーを下げることが可能です。横浜国立大学の研究グループにより先駆的に研究が進められ、次世代の集積回路として期待されています。
ジョセフソン素子:2 つの超伝導体電極を厚さ1~2nm の薄い絶縁体で挟んだ構造をとります。超伝導電流をオンオフするスイッチの機能を持ちます。