(連結) 総資産 1.9%増 14兆2229億、親会社の所有者に帰属する持分 6.1%増 6兆7419億、利益剰余金 9.36%減 1兆3968億、社債及び借入金(1年内) 9.04%増 3702億9200万、社債及び借入金(1年超) 6.21%増 4兆2938億、有利子負債 6.43%増 4兆6641億
武田薬品、シャイアー巨額買収の効果が着実に発現…メガファーマ化が急加速
2022.12.20 06:00 文=真壁昭夫/多摩大学特別招聘教授
武田薬品工業シャイアーエンティビオ
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武田薬品工業のHPより
最近、武田薬品工業は米国のニンバス・セラピューティクスから免疫疾患の新薬候補を取得すると発表した。アイルランドの製薬大手シャイアーに続く買収実施である。それよって、武田は治療需要の高まる免疫疾患分野を中心にパイプライン=新薬の候補を増やす。これまでに増して、武田は米ファイザーやスイスのロシュなどのメガファーマと互角に競争する力をつけようとしている。それは、日本の医療、製薬関連産業の成長にかなり大きなインパクトを与えるだろう。
武田の血漿分画製剤は現在、売上高の1割程度を占める。重点分野と位置付け、血液成分を収集するセンターは買収後に順次拡充している。治験薬の生産を担う米ジョージア州の工場は生産能力増強も検討している。
ただ3強といいながら「シャイアーは他の2社の後じんを拝していた」(国内アナリスト)。エバリュエートによる19年の血漿分画製剤の売上高予測ランキングでもベストテンに2品目しか入っていない。
コロナ向け血漿分画製剤の今後の収益面への寄与も不明だ。現在は採算よりも危機対応を優先している面もある。ただし成功すれば世界が注目するのは間違いない。買収の成果を市場や株主に目に見える形でアピールする絶好の機会となる。武田が治験にかける期待は熱い。
(高城裕太)
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TAK‐925が業界で注目され始めているのは製品特性だけではなく、武田薬品の自社創薬として“超久々”に、ブロックバスター(年売上高1000億円以上)に製品群が育つかもしれないからだ。自社で一から創薬し大型化できれば新薬メーカーのプライドを満たすし、一般的に利幅も大きい。
TAK‐925は武田薬品として初めて厚生労働省から先駆け審査指定制度の対象品目に指定され、米国食品医薬品局(FDA)からブレークスルーセラピー並びにオーファン・ドラッグ指定も受けている。要するに、日米両国から画期的な新薬として期待されているのだ。
製薬業界で国内最大手の武田薬品工業は、総額460億ポンド(日本円にしておよそ6兆8000億円)で、アイルランドの製薬大手 シャイアーを買収することで合意したと発表しました。日本企業による海外企業の買収としては最大規模の案件になります。』
武田薬品工業は5日、計画しているアイルランド製薬大手、シャイアー買収の賛否を問う臨時株主総会を大阪市内で開く。シャイアーも同日(ロンドン時間)に臨時株主総会を開催予定で、株主の賛成を得られれば、早ければ来年1月8日に買収が完了し、売上高3兆円を超える世界トップ10に入る製薬企業が誕生する。一方、一部の創業家一族やOBらは反対の構えを見せており、総会直前まで経営陣を牽制(けんせい)する。
三井住友銀行や三菱UFJ銀行などが融資を実行すると伝えたらしく(日経新聞)米銀を含め、融資額は3兆円規模らしく、武田は金融簒奪のオモチャにされてしまった。結局金利を払うのは国民皆保険のもとで無駄な保険料を強制的徴収されている普通の人びと。
日経バイオによると
『今回の買収については早期の段階からシャイアーに関心を持っていたといい「買収の検討を発表した直後から交渉を始めた」と説明。』したのはクリストフ・ウェバー社長。本当はそうではない。ウェバーにもわからない外側の世界の準備があった。Christophe Weber フランス生まれ。製薬の世界大手グラクソ・スミスクラインに約20年勤めた後、2014年に武田薬品工業に移った。15年4月から現職。こんな地味な経歴がお膳立てできるはずがない。金融のキの字も出てこない。
買収総額はこれまでに武田が株主に支払ってきた配当の48年分だ。とても元本完済できるレベルではない。金利負担だけで毎年7000億円を超える(それ以上に稼ぎ出せばいいとも言えない 。1兆1,000億円に上る有利子負債が、一説によると、買収に伴う資金調達によって4倍に膨れあがるのだそうだが本当にそうなのか?)そこまで馬鹿なのか?それだけではない。ほとんど利益が出なくなる。これは規模の罠にやられたのである。メガファーマーを日本に作りたい。厚生労働省幹部の政策は日本に製薬会社は一社あれば良いという姿勢は昔からだった。官民の間違った業界誘導が合成的に国際金融を動かした。利払いは国民が負担するんだから、7000億円の利払い国民全体で負担するんだから官も国民をバカにしている。ちなみにエバコアはクリントンに関連する人脈の創業者が副財務長官を辞めてすぐに作った会社だ。日本法人はMIZUHOが資金を入れ、みずほ銀行人脈が創業している。
会計上では買収償却が利益を圧迫する。見かけ利益がでないと株価対策で資産も開発途上品目も売り飛ばし、結果的に配当が出ない会社は売上が増えても見捨てられる。配当を出すためにタケノコ経営で資産を失って、最後は地に落ちた株価でハゲタカの餌。倒産して上場廃止となれば、さぞグローバル金融界と製薬業界は満足するだろう。地獄への道は善意で舗装されているから、今は全員希望と善意に満ちたハイな精神状況なのだろうが、一年を待たずにダメになる。最後は株主が買収案を否決するしかない。
比較法で言えば、たとえばアラガンは『シャイアー買収を巡って武田と争ったアイルランド製薬大手アラガンは、買収検討を表明後に株価が急落。わずか数時間後に提案を取り下げた。』という経緯がある。ノーマーク裸の市場評価はそういうことだ。武田薬品工業は株価下げ渋りだから違うという人々はグルかハイなんだろう。
シャイアーがなぜここで自社を売りたいのかよく考えてみよう。シャイアー自身2016年にバクスターの血液事業などを買収して売上規模を2.4倍にした経緯からして成長に限界が見えている。それだけでも収益性を犠牲にして成長の厚化粧をほどこしている。シャイアーは品目から一見見かけ売上がこれまでもこれからも上がる企業だが、落とし穴は遺伝病から至適収益を上げるという非人道性がビジネスのベースにあること。これは倫理的に先のない企業社会関係の過去の文化であり、遺伝病の治療は本来私的に収益を上げるべきものではない。
遺伝病薬はアヘンビジネスと同じ医療上の弱者の弱み(自分でコントロールできない弱み)に付け入る高額を旨とするビジネスだ。一般病とは異なる。米国での遺伝病薬からの収益は公益上禁止または課税され、遺伝病診断に投資回収される運命にある。最も承知しているのがシャイアー。そう予想できるからシャイアーは見切った。それが売り出される理由で、武田はシャイアーからの収益が上がれば上がるほど、課税されるか国際的非難のマトになるだろう。
7.6m×16m×7mが一万円札を積み上げた時の7兆円
日経新聞によると
シャイアー側に付いたのはゴールドマン・サックス、シティグループ、モルガン・スタンレーの米大手3社。
武田側にいるのは野村ホールディングスと米JPモルガン・チェースと米エバコア(クリストフの信頼するよく知らないフランス人のいるという米銀行)
bloombergによると
『そこで武田薬はエバコアとJPモルガン・チェース、野村ホールディングスからシャイアーについて精通するバンカーを集めた。リークを最小限に抑えるため、経営幹部らは復活祭までにシャイアーの取締役会に接近する目標を持ち、小さなチームを組織。この極秘交渉の関係者らは、日本のウイスキーのブランド名をコードネームに使った。武田薬は日本でナンバーワンのシングルモルトで、35カ国以上で入手可能な「山崎」、シャイアーは「響」と呼ばれた。』プロジェクトX的裏話はさておき、エバコアが重要だったということは確認できる。
こういう筋書きだから、金融にとって、この先つなぎ融資もあるし、新株発行もある。手数料ビジネスのデザートが山のようにつづく。辻褄の合わないこともやるだろう。やがてそれも暴露され、今の役員は十分美味しいおもいを味わって早々に出て行くだろう。ちなみにブティック投資銀行エバコアとはこういう利得性質に支配された会社『2017年ーブルームバーグが12月20日までに集計したデータによれば、ニューヨークに拠点を置くエバコアの経営幹部6人は、合わせて5470万ドル(約62億円)相当の自社株を売却した。ラルフ・シュロースタイン最高経営責任者(CEO)の売却額は4430万ドル。フーリハン・ローキーでもアーウィン・ゴールド会長の761万ドル相当を含めて、同数の幹部が今年に入り自社株合わせて2260万ドル相当を売った。』
武田薬品工業は
『買収後、3年間で14億ドル(約1500億円)のコスト削減を実施し、そのうち43%(約650億円)を研究開発費からねん出するとの方針も示されている』そうで、武田に残り続ける従業員、特に研究者や長期保有株主のためにいいことはひとつもない。武田薬品工業にはWHを買った東芝と同じ運命が待っている。
Evercore(NYSE:EVR)は31日、同社の投資銀行部門に福田祐夫(ふくだますお)氏がシニア・マネジング・ディレクターとして入社したと発表した。福田氏はEvercoreの東京オフィスを福田氏が立ち上げ、Evercore日本事業の社長として、Evercoreが2006年に企業の合併・買収(M&A)事業で提携した「みずほ」と協力し、日本企業に対するM&Aや金融市場についての助言に務める。一般にブティック型投資銀行は少数精鋭で運営されるため労働条件は厳しく、プレッシャーも大きいが、「上層部から見習いのアナリストまで全ての層の従業員の質が高い」「知的な挑戦が可能」とEvercore の従業員は評価している。Centerview Partnersでも「業界で最も理想的な投資案件と報酬」「顧客の資産を預かる責任の大きな仕事」を少人数のスタッフで実現していることが高学歴者の就職先の魅力と写っている。
福田氏は、Evercore入社以前は、みずほ証券で投資銀行グループの共同グループ長を務めた。それより前はSMBC日興証券で世界のM&A事業のトップ。さかのぼっては三井住友フィナンシャルグループの投資銀行本部長として同グループの投資銀行事業を監督し、シティグループからの投資銀行事業の買収を契機に2009年10月に事業を始めた投資銀行チームの統合にかかわった。2006年から2009年までは日興シティグループ証券で投資銀行部門のトップを務めた。福田氏はテクノロジー業界の法人・投資銀行業務で25年以上の経験を持ち、ベテランバンカーとして日本内外の優良顧客のために多くの有名なM&Aと金融市場取引で助言した。