公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

切り取りダイジェストは再掲。新記事はたまに再開。裏表紙書きは過去記事の余白リサイクル。

中根中『日本から救世主がきた 黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人 』 出井康博

2017-10-31 07:09:00 | 日本人
近著では『ルポ ニッポン絶望工場』などでも知られる著者の古い作。現代アメリカ社会でも黒人解放運動と日本人の連携はタブーとなっている。無かった歴史とされる1943年6月死者34人の出た三日間のデトロイト暴動
 
The 1943 Detroit race riot took place in DetroitMichigan, href="https://en.m.wikipedia.org/wiki/World_War_II" style="'font-size:" title="World War II">World War II, as Detroit's automotive industry was converted to the war class="mw-redirect" href="https://en.m.wikipedia.org/wiki/African-American" style="'font-size:" title="African-American">African-American and White Southerners, from the Southeastern United States between 1941 and 1943. The new migrants competed for space and jobs, as well as against European immigrants and their descendants.
 
の陰で煽動工作をしていた日本軍の活動。東京裁判でも争点になっていない。黒人部隊を爆撃しない日本軍の不思議を感じて日本の戦争の大義が有色人種と呼ばれた非白人の団結にあったことを確信した匿名黒人の証言も拾っている。マルコムX(後々の世代になるが日本人女性活動家*ユリもまた間接的にその流れになるかもしれない)がやがて所属するNOIも彼らDOOの活動なしにはなかった。この種の作品は結論ありきという取材も多いので複数の証拠を重ねてみる必要があるが、資金力のある中根中という人物が何度も戦争中に不法入国していたことは疑いようがない。よりイスラムとの関係を加筆して2008年にタイトルを『黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人 (講談社+α文庫)』変えて再版されている。

出井康博
新潮社, Jun 15, 2001 - 236 pages

DOO加入誓約は5項目
『静まり返った聴衆を前に 、しぼり出すような声を張り上げると 、中根は流暢な英語で熱弁を振るい始めた 。
「白人どもが世界を支配しようとしている 。しかし 、世界を見渡せば 、人類の四分の三は有色人種である 。つまり 、我々有色人種が世界を治めるのが 、神の意志なのだ 。日本は白人の大国 、ロシアとの戦争に勝利した 。中国も白人の支配から解放した 。次はお前たちを解放するために 、この国へとやってくるであろう 。それを伝えるために 、私はここへと遣わされている 。ニグロたちよ !恐れることは何もない 。白人との戦争になれば 、日本が資金や武器を提供してくれる 。しかも我々の後ろには 、世界の有色人種が味方についている 。白人による支配を打ち破るために 、共に手を取り立ち上がろうではないか ! 」会場に拍手と歓声が響き渡った 。熱狂する聴衆の間を縫って組織のメンバ ーが会場を歩き 、 「五つの教え 」と書かれたチラシを次々に手渡していく 。

一 、神の意志に則って行動せよ ─ ─神以外に何も恐れるものはない 。
二 、自分自身に正直であれ ─ ─さもなければ他人にも正直にはなれない 。
三 、他人に依存せず自分自身で努力せよ ─ ─神は努力する者のみを救う 。
四 、地域社会と国家の一員となれ ─ ─論ずるより行動せよ 。集団として行動するときには自らの犠牲が伴う 。得たものを与えれば勝利につながる 。
 五 、この世界を美化することが我々の使命である ─ ─そのためにまず己の心を清めよ 。


『日米開戦前夜、黒人たちを扇動して反米破壊活動に打ち込んだ二人の男、中根中と疋田保一。黒人労働者の街デトロイトで、ブラック・カルチャーのメッカ・ハーレムで、全くべつのルートから地下活動とアジテーションを繰り返した彼らは、いったいどんな人物だったのか?収監され、あるいは国外退去となった彼らの仕掛けた導火線は、真珠湾ショックのさめやらぬアメリカを、ふたたび恐怖のどん底に突き落とした!驚異の取材力で描く現代史発掘ノンフィクション。』

疋田のお陰で、日本はインテリ層の黒人を代表していたデュボイスに好意的印象を与えた。

『一市民に過ぎない者へのもてなしとしては 、正直言って驚かされた 。長崎に着いた途端に報道陣に囲まれ 、それから二週間後 、横浜から日本を離れるまで 、私への歓迎は止むことなく続いた 。日本政府は私に列車代すら払わせず 、外務省は晩餐会まで開いてくれた 。東京帝国大学を始め各大学で講演を許された一方 、芸者やスキヤキ ・パ ーティにも招かれた 。驚かされたのは 、私に対する日本人の扱いが 、白人を前にしても変わらなかったことだ 。東京を離れる日 、帝国ホテルのフロントでチェックアウトの手続きをしていると 、アメリカ人の白人女性が 、いかにも傲慢な態度で割り込んできた 。アメリカならば当然 、黒人の私に対するサ ービスは後回しになるところだ 。しかし 、東京では違った 。フロント従業員は順番通りに私のチェックアウトを優先し 、それが終わると丁寧におじぎをした後で 、白人女性への応対を始めたのであった 。 (一九三七年三月十三日付 )』

黒人関係騒動ハ本年ニ入リ頻発シ黒人ヲ巡ル人種問題ノ悪化ヲ示シ居ル (中略 ) … … (デトロイト暴動では )日本人ノ設立ニ係ルト言ハルル 「エチオピア 」太平洋聯盟アリテ多少ノ集団的煽動ヲ行ヒタリト伝ヘラルルモ真偽ノ程疑ハシク寧ロ白人側ヨリ挑戦的タイドヲ取リタリト見ルヘシ



*ユリ・マリー・コウチヤマ氏が2014年6月1日、カリフォルニア州にて亡くなったと、TIME紙など全米各メディアが報じた。93歳、老衰だったという。マルコムXの暗殺時に頭を支えている写真が残されている。



「国際法の基本原則によれば、もし一国が、武力紛争の一方の当事国に対して、武器、軍需品の積み出しを禁止し、他の当事国に対して、その積み出しを許容するとすれば、その国は必然的に、この紛争に軍事干渉をすることになるものであり、宣戦の有無にかかわらず、戦争の当事国となるのである」 (東京裁判 裁判官 ラダ・ビノード・パール)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 木枯らし1号の可能性も | トップ | 第4次安倍内閣 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。