公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

切り取りダイジェストは再掲。新記事はたまに再開。裏表紙書きは過去記事の余白リサイクル。

生命の時間

2020-01-08 16:09:00 | モナドの呪縛
生命の時間に関する論文
 
発表雑誌:
雑誌名:Physical Review Research Rapid Communications(1 月 7 日オンライン掲載)
論文タイトル:Transition in relaxation paths in allosteric molecules: Enzymatic kineticallyconstrained model
著者:Tetsuhiro S. Hatakeyama*, Kunihiko Kaneko
Abstract URL:https://journals.aps.org/prresearch/abstract/10.1103/PhysRevResearch.2.012005
DOI: https://doi.org/10.1103/PhysRevResearch.2.012005


これを読むと、生命➖個体➖人間一般と階層的時間構造を持つわれわれが時間というものをあたかも均一の次元であるかのように考えていることが誤りであるとわかる。この論文は遷移現象に内蔵する物質的変化 動的拘束模型は生命に実在し時間として写し取られる反応を制御し得るという事例であり、われわれが自由な時間を持つのではなく、時間にわれわれ側が割り付けられている自然の事例である。われわれは一つの物質世界しか知らないので遷移も一つと思っている。だから時間と因果律は直感的に一体と思う。しかし複数の時間を許容する次元の高い世界であれば、タイムマシンの仕掛けのように時間をあたかも遡るかのように結果から原因を生じさせ得ることも自然現象として許容される。
発表内容:
生体内の生化学反応の速度は一般的に 1 秒以下の時間スケールで進みます。一方の、我々生物が生きて行動する時間スケールは、それよりも遥かに長いものです。例えば体内時計であれば、その時間スケールは大体十万秒ほどになります。つまり、生化学反応を支配する時間スケールと、我々が生きている時間スケールの間には、とても大きな隔たりがあります。多くの生化学反応が集まって構成されているに過ぎない我々生物が、どのようにしてその時間スケールのギャップを埋めているかは、非常に基礎的で重要な問題ですが、ほとんど何もわかっていませんでした。
 
畠山と金子は、この溝を埋めているメカニズムの一つを理論的に明らかにしました。畠山らは、Monod-Wyman-Chnageux モデルという 50 年以上前から知られている生体内タンパク質のアロステリック制御(注 1)のモデルを、実際に生体内のさまざまな反応でおこなわれているように、酵素反応を含む形へと拡張しました(図 1)。そして、計算機シミュレーションを用いて拡張したモデルを解析することによって、酵素反応のそれぞれの反応がどんなに速くても、全体としての速度が数十万倍以上も遅くなりうることを示しました。この時間スケールを遅くするメカニズムは、反応が進めば進むほど、酵素と結合しやすい状態の分子が増えていく一方で、それらの分子が酵素を独占するような状態になってしまうために、残りの分子が酵素とほとんど結合できずに全体として反応が遅くなるというものでした。Monod-Wyman-Changeux モデルは、非常に古くから知られよく研究されているにも関わらず、このようなメカニズムは今まで知られていませんでした。
 
さらに、このゆっくりと進む生化学反応において、各分子の数がどのように変化していくかを調べたところ、非常に興味深いことがわかりました(図 2 参照)。各分子の数は、最終的に一定の割合に落ち着くまでに多数のプラトー(図 2 において時間的にほとんど変化しない部分)を示しながら、時間に対して対数的に変化しました。この時系列は、統計物理学においてよく知られている、ガラス中の分子の運動に非常に近いものでした。そこで、この生化学反応のモデルをさらに深く調べたところ、その中にガラスを支配していると考えられている仕組みの一つである動的拘束模型と非常によく似た構造が潜んでいることがわかりました。動的拘束模型とは、エネルギー的に安定な状態はシンプルであるものの、そこに至るまでの状態の遷移できる状態に制限があるために、結果として安定な状態に至るまでの速度が遅くなるようなモデルのことです。生化学反応においては、酵素が結合しないと反応速度がほぼゼロになるという制限がかかるために、動的拘束模型のような仕組みが実現されます。

https://journals.aps.org/prresearch/abstract/10.1103/PhysRevResearch.2.012005

Conf

アロステリック(allosteric)という言葉は、細菌の制御酵素がその制御リガンドによって発揮されるフィードバック阻害のメカニズムを修飾するために作られた(19, 28, 111)。アロステリックという言葉は、制御リガンドによって制御酵素に及ぼされるフィードバック阻害のメカニズムを修飾するために作られた(19, 28, 111)。立体障害による相互排除による阻害という古典的なメカニズムとは対照的に
アロステリックなフィードバック阻害機構は、立体障害による相互排除による古典的な阻害機構とは対照的にフィードバック阻害のアロステリック機構は、基質と調節リガンドが重ならない(19)、立体化学的に異なる部位間で起こると調節リガンドとの間で起こる。このような間接的相互作用は、タンパク質の分子構造の個別的で可逆的な変化によって媒介される。アロステリック相互作用と名付けられた(110, 111)。オリジナルのと呼ばれるようになった(110, 111)。その概念的および生物学的意義は
(28).
コンフォメーション変化を説明するために提案された基本的なメカニズム(110)は、当初Koshland(97)によって提唱された酵素作用の特異性に関するinduced-fit理論に依存していた。適合は基質によって酵素分子の形状変化が誘導された後にのみ起こる」(97; 斜体引用)。(97;引用者註)。類推すると、制御リガンドの結合は、タンパク質が適切なコンフォメーションをとるよう誘導することになる。適切なコンフォメーションをとるようになる(110)。

この新しい概念は、、リガンドによって誘導されるのではなく、リガンドの構造や占有率に依存しないいくつかの離散的な状態、リガンドによって異なって安定化される)の間で、あらかじめ形成された
平衡として、コンフォメーション転移が確立されると提唱した。

このコンフォメーション選択機構は、1965年に考案されたMonod-Wyman-Changeux(MWC)モデルの主要な仮説のひとつとなった。その目的は、「アロステリック効果の一般的な解釈を、タンパク質構造の特定の特徴、特に対称的なオリゴマーへの組織化の観点から行う」ことであった(112; 斜体部分は筆者による)。
この総説では、1965年当時、これらの特徴がどのようなものであったのか、そして2012年現在、それらがどのような状況にあるのかを、、それ以来利用できるようになった新しい構造、動力学、分子動力学シミュレーションデータに基づいて比較する。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ゴーンは帰国 by青木理 テ... | トップ | 撃墜情報 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。