「必要条件を満たさない決定は、成果をあげられない不適切な決定である。実際、そのような決定は間違った必要条件を満たす決定よりもたちが悪い。もちろん、正しい必要条件を満たさない決定も、間違った必要条件を満たす決定も間違いである。だが間違った必要条件を満たす決定ならば、救済することはできる。一応の成果はあがるからである。満たすべき条件を満たさない決定は、新しい問題を生むだけである。」(『プロフェッショナルの条件』上田惇生編訳)
「だが間違った必要条件を満たす決定ならば、救済することはできる。」というドラッカーの言い方がおもしろい。
世の中には間違った質問に”正しい答え”をつけるやっかいなコンサルタントが跋扈している。
例えば、地球が太陽の周りを回っているという正しい答えを、地球が太陽の惑星だから一日に昼と夜ががあるのかという間違った疑問の答えとして付けてみたとしよう。正しい答えではあっても、疑問のレベルがあっていないので自転と公転の区別ができていない質問者の謎は解決しないし、誤って伝承してしまう。
十分でない必要条件を満たした決定が、コンサルタントの”正しい答え”で補強されているとき、その修正にはさらにやっかいな問題を生み出す。
先の例で言えば、誤りのある疑問では、昼が終わるためには太陽の陰になる反対側に自分たちが公転軌道を移動しなければならないので、どのくらい待つ必要があるかと天文コンサルに聞いたとして、半年後であると聞かされたとしよう。相談者は向こう半年は夜が来ないと理解するのだから、夜の備えはもっと先で良いことになり、その建築計画は承認される。しかし実際には夜は15時間以内にやってくる。
それでも、24時間周期を条件と修正理解するならば、正しく夜に備えるように経営を救済できるようになる。これがドラッカーの言う、失敗の結果解釈ではなく、必要条件まで詰めて考える事ができるのならばコンサルテーションはプロの仕事として成立するという意味だ。
顕微鏡を覗きながら地球の歩き方を教える
昼と夜を好景気と不景気と置き換えれば、循環には短期的に繰り返す循環と長期的に起こる循環とがあるという説明になるわけだ。ドイツ政府のようにどんな国に対してもインフレを退治の緊縮財政でプライマリーバランスをとることがいつも正しいと頭から考えるのではなくのではなく、正しい局面と正しくない局面があることぐらい國に助言する人は考えてもらいたいものだ。
ただしコンサルタントは外部の者とは限らない、小企業や組織では経営者自身の判断の場合もある。一般的な結論を常にオートクルーズで振り回すのではなく。レッドオーシャンが経営環境を取り巻く局面で立ち止まりブルー・オーシャンを探してゆく思い切りが必要となる。これを見せるのが真のコンサルテーションである。
実際の販売では必要条件は何かという設問で、仕様書に対応する見積書を出してくださいと顧客に言われた段階で、これを満たせば良いと直反応しただけでは隠れた必要条件を満たしたことになっていない。
こういうケースがしばしばある。仕様書も見積書も正しい双方の対応だが、実績あるいは顧客の活動するマーケットでの、局所の優位性(価格、性能、独占交渉力、ブランド)は仕様書と見積書には書かれていない。
少なくとも相手の背負っているミッションをその場ですべて満たさなければ前には進めない。
さて、安倍首相のミッションとは何だろう。望むのは憲法改正よりも日本國のキャパシティを上げること。経済規模ばかりでなく、ノーベル賞級の科学研究から強力な産業技術力を生み出すこと。表面的な日本の文化プロモではなく、異文化吸収を続けてきた日本の文化を支える精神的寛容、奥行きのある信心と人倫の再生、勤労、市井の共感知性、公正な取引のできる経済環境、安定社会の模範を世界に示すことだろう。そのためには仮面の戦争を拒否する決意が固まっていなければならない。
要約すると 《日本再発明》。21世紀にふさわしい版籍に日本國を糺し、将来世代の糧となる産業、基盤となる社会資本の建設に着手すること。それに比べて憲法改正は大きな仕事ではない。次の首相のミッションでよい。
「だが間違った必要条件を満たす決定ならば、救済することはできる。」というドラッカーの言い方がおもしろい。
世の中には間違った質問に”正しい答え”をつけるやっかいなコンサルタントが跋扈している。
例えば、地球が太陽の周りを回っているという正しい答えを、地球が太陽の惑星だから一日に昼と夜ががあるのかという間違った疑問の答えとして付けてみたとしよう。正しい答えではあっても、疑問のレベルがあっていないので自転と公転の区別ができていない質問者の謎は解決しないし、誤って伝承してしまう。
十分でない必要条件を満たした決定が、コンサルタントの”正しい答え”で補強されているとき、その修正にはさらにやっかいな問題を生み出す。
先の例で言えば、誤りのある疑問では、昼が終わるためには太陽の陰になる反対側に自分たちが公転軌道を移動しなければならないので、どのくらい待つ必要があるかと天文コンサルに聞いたとして、半年後であると聞かされたとしよう。相談者は向こう半年は夜が来ないと理解するのだから、夜の備えはもっと先で良いことになり、その建築計画は承認される。しかし実際には夜は15時間以内にやってくる。
それでも、24時間周期を条件と修正理解するならば、正しく夜に備えるように経営を救済できるようになる。これがドラッカーの言う、失敗の結果解釈ではなく、必要条件まで詰めて考える事ができるのならばコンサルテーションはプロの仕事として成立するという意味だ。
顕微鏡を覗きながら地球の歩き方を教える
昼と夜を好景気と不景気と置き換えれば、循環には短期的に繰り返す循環と長期的に起こる循環とがあるという説明になるわけだ。ドイツ政府のようにどんな国に対してもインフレを退治の緊縮財政でプライマリーバランスをとることがいつも正しいと頭から考えるのではなくのではなく、正しい局面と正しくない局面があることぐらい國に助言する人は考えてもらいたいものだ。
ただしコンサルタントは外部の者とは限らない、小企業や組織では経営者自身の判断の場合もある。一般的な結論を常にオートクルーズで振り回すのではなく。レッドオーシャンが経営環境を取り巻く局面で立ち止まりブルー・オーシャンを探してゆく思い切りが必要となる。これを見せるのが真のコンサルテーションである。
実際の販売では必要条件は何かという設問で、仕様書に対応する見積書を出してくださいと顧客に言われた段階で、これを満たせば良いと直反応しただけでは隠れた必要条件を満たしたことになっていない。
こういうケースがしばしばある。仕様書も見積書も正しい双方の対応だが、実績あるいは顧客の活動するマーケットでの、局所の優位性(価格、性能、独占交渉力、ブランド)は仕様書と見積書には書かれていない。
少なくとも相手の背負っているミッションをその場ですべて満たさなければ前には進めない。
さて、安倍首相のミッションとは何だろう。望むのは憲法改正よりも日本國のキャパシティを上げること。経済規模ばかりでなく、ノーベル賞級の科学研究から強力な産業技術力を生み出すこと。表面的な日本の文化プロモではなく、異文化吸収を続けてきた日本の文化を支える精神的寛容、奥行きのある信心と人倫の再生、勤労、市井の共感知性、公正な取引のできる経済環境、安定社会の模範を世界に示すことだろう。そのためには仮面の戦争を拒否する決意が固まっていなければならない。
要約すると 《日本再発明》。21世紀にふさわしい版籍に日本國を糺し、将来世代の糧となる産業、基盤となる社会資本の建設に着手すること。それに比べて憲法改正は大きな仕事ではない。次の首相のミッションでよい。