雇用保険料引き上げ検討、厚労省 財源逼迫、雇調金支給4兆円超え
共同通信7/28(水) 10:13
厚生労働省が雇用保険料引き上げの検討に入ることが28日、分かった。コロナ禍で雇用調整助成金の給付決定額が4兆円を超え、財源が逼迫しているため。具体的な保険料率は今後、厚労相の諮問機関である労働政策審議会で議論し、早ければ来年の通常国会に雇用保険法改正案を提出する。 雇用保険は仕事を失っても生活に困らないようにするための事業と、雇用安定や能力開発の事業に大きく分けられる。保険料は労使が支払っており、一部事業には国費も投入されている。審議会では、労使の保険料率引き上げのほか、国費投入の在り方についても議論する。 雇調金は休業手当の一部を補填する制度。
受給要件
助成金は、景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、その雇用する対象労働者の雇用の維持を図るために、労使間の協定に基づき雇用調整を実施する事業主が支給対象となる。
具体的には、事業主が以下の要件のいずれも満たすことが必要である(雇用保険法施行規則第102条の2~102条の3)。
- 雇用保険の適用事業主であること。
- 支給のための審査に協力すること
- 支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等を整備・保管していること(都道府県労働局に提出した支給申請書、添付資料の写しなどは、支給決定されたときから5年間保存しなければならない)
- 支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等の提出を、管轄労働局等から求められた場合に応じること
- 管轄労働局等の実地調査を受け入れること
- 売上高又は生産量などの事業活動を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少していること。
- 雇用保険被保険者数及び受け入れている派遣労働者数による雇用量を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上、中小企業以外の場合は5%を超えてかつ6人以上増加していないこと。
- 過去に雇用調整助成金の支給を受けたことがある事業主が新たに対象期間を設定する場合、直前の対象期間の満了の日の翌日から起算して1年を超えていること(クーリング期間)。
- 教育訓練の場合、受講者本人が作成した受講を証明する書類(受講レポート等)を提出すること。
なお、事業主が以下の要件のいずれかに該当する場合には受給できない。
- 雇用関係助成金について不正受給による不支給決定又は支給決定の取り消しを受けたことがあり、当該不支給決定日又は支給決定取消日から3年(平成31年4月1日以後の申請については5年)を経過していない。
- 平成31年4月1日以降に申請した雇用関係助成金について不正受給に関与した役員等がいる
- 支給申請日の属する年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない事業主(支給申請日の翌日から起算して2か月以内に納付を行った事業主を除く)
- 支給申請日の前日から起算して1年前の日から支給申請日の前日までの間に、労働関係法令の違反があった事業主
- 性風俗関連営業またはこれら営業の一部を受託する営業を行う事業主[2]
- 事業主又は事業主の役員等が、暴力団と関わりのある場合
- 事業主又は事業主の役員等が、破壊活動防止法第4条に規定する暴力主義的破壊活動を行った又は行う恐れのある団体に属している場合
- 支給申請日または支給決定日の時点で倒産している事業主(再生手続き開始の申立てまたは更生手続き開始の申立てを行っており、事業活動を継続する見込みがある場合を除く)
- 不正受給が発覚した際に都道府県労働局等が実施する事業主名等の公表について、あらかじめ同意していない事業主
雇用調整の対象となる労働者は、支給の対象となる事業主に雇用され、雇用調整の対象となりうる雇用保険被保険者であって、以下のいずれにも該当しない労働者である。
- 判定基礎期間の初日の前日、または出向を開始する日の前日まで、同一事業主に引き続き雇用保険被保険者として雇用された期間が6か月未満である者
- 解雇を予告された者、退職願を提出した者または事業主による退職勧奨に応じた者(当該解雇その他離職の日の翌日において安定した職業に就くことが明らかな者を除く)
- 日雇労働被保険者
- 特定就職困難者雇用開発助成金等の支給対象となる者