公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

切り取りダイジェストは再掲。新記事はたまに再開。裏表紙書きは過去記事の余白リサイクル。

影のない街 桜木紫乃

2018-09-10 20:57:38 | 今読んでる本
『もともとは六本あったんです 、と男が言った 。黒いパンツの腰から 、指先が滑り込んでくる 。男の手は布と布の隙間を確かめるように 、腹のほうへと移動した 。右手が両脚の付け根へと下がり 、その勢いでボタンが飛んだ 。華奢なファスナーがわけなく。。』


『一歩外に出ると 、九月の高い空が広がっていた 。雑居ビルのかたちに切り取られた 、目に痛いほどの青だ 。つま先のその先に 、自分の足もとから伸びるひょろ長い影を見た 。影を踏んで 、一歩ずつ歩き出す 。歩いても歩いても 、越せない 。』


オール讀物 2013年 影のない街 桜木紫乃 「オール讀物10月号」(文藝春秋社)に掲載された、
桜木紫乃氏の直木賞受賞後の第一作
羽生輝画 雪止んで より



釧路の青空は色紙を切り取ったように平板だった。それが眼に浮かぶエロ小説だが、丁寧に書かれている。名前のよく変わる同級がいた。男転がしで太った女がより大きな金に飲み込まれる。地方都市の必然性 結局 男と女と金。昔、大老格にまでのし上がった柳沢吉保が言ったという「泰平の世の中で、出世をするのは、金と女を使うに限る」。






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