恩田陸さんの「チョコレートコスモス」を読みました。チョコレートコスモスって花をご存知でしょうか。コスモスなんですが、茶色っぽいやや小ぶりのコスモスで、ちょっと地味な感じの花。この本のタイトルがなぜ「チョコレートコスモス」なったのかが最後にわかります。このあたりの展開、恩田陸さんってうまいなぁと実感。演劇の世界の物語です。芸能一家に生まれ、物心ついたときには女優デビューをしていた東響子は20歳そこそこだが芸歴は長く、才能豊かな舞台女優として活躍していた。小松崎という前衛的な脚本家兼演出家のもとで、「真夏の夜の夢」の設定を現代に置き換えて小松崎が書き換えた「ララバイ」という芝居の稽古場で居心地の悪さを感じながら、稽古に参加していた。共演者は、実力のある若手男優2人と安積あおいというアイドル出身の女優。芝居が上手くいかず、中断されたときに小松崎から課された「エチュード」の場面でのヒリヒリした現場。怖いなぁ。
一方、脚本家の神谷は、新しい脚本の書き出しが上手くいかず、じりじりしていたとき、事務所の窓から偶然見かけた少女に注目した。少女は駅前に集う人たちをすごい集中力で観察し、そのうち誰かを定めると、存在を消すように近づき、真似をすることを繰り返していた。姿かたちはまるで違うのに、その類まれな技に神谷は舌を巻いた。少女の名は佐々木飛鳥。彼女はW大の1年で、後日、W大の演劇研究会から独立し、男10人で新たに作った劇団に加わることになる。劇団の名前は「ゼロ」。ゼロの旗揚げ公演の「目的地」という演目で演じた佐々木飛鳥の演技は、玄人たちの注目を浴びることになり、芹澤泰次郎という映画界の巨匠が手掛ける舞台へのオーディションに呼ばれることになったのだが・・・演劇のプロの厳しくも真剣な世界の話で、緊張感が途切れることなく興味深く読みました。お薦めです。手元に2冊予約した本がきました。
追伸=昨夜11時過ぎの地震は福島県沖が震源で震度6強。横揺れが長く続いたので、東日本大震災と阪神淡路大震災の悪夢がよぎりました。10年前の3.11の大地震の余震だとか。朝になって被害状況がわかってきました。被災された方々にはお見舞い申し上げます。
一方、脚本家の神谷は、新しい脚本の書き出しが上手くいかず、じりじりしていたとき、事務所の窓から偶然見かけた少女に注目した。少女は駅前に集う人たちをすごい集中力で観察し、そのうち誰かを定めると、存在を消すように近づき、真似をすることを繰り返していた。姿かたちはまるで違うのに、その類まれな技に神谷は舌を巻いた。少女の名は佐々木飛鳥。彼女はW大の1年で、後日、W大の演劇研究会から独立し、男10人で新たに作った劇団に加わることになる。劇団の名前は「ゼロ」。ゼロの旗揚げ公演の「目的地」という演目で演じた佐々木飛鳥の演技は、玄人たちの注目を浴びることになり、芹澤泰次郎という映画界の巨匠が手掛ける舞台へのオーディションに呼ばれることになったのだが・・・演劇のプロの厳しくも真剣な世界の話で、緊張感が途切れることなく興味深く読みました。お薦めです。手元に2冊予約した本がきました。
追伸=昨夜11時過ぎの地震は福島県沖が震源で震度6強。横揺れが長く続いたので、東日本大震災と阪神淡路大震災の悪夢がよぎりました。10年前の3.11の大地震の余震だとか。朝になって被害状況がわかってきました。被災された方々にはお見舞い申し上げます。