森絵都さんの「風に舞い上がるビニールシート」を読みました。この本は表題作の他、器を探して、犬の散歩、守護神、鐘の音、ジェネレーションXというタイトルの短編も含まれている短編集です。表題作は以前NHK の土曜ドラマで放送された劇の原作になっており、私はドラマを見ていたので、大体のあらすじは知っていました。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に勤務する1組の男女の愛と葛藤の物語で、ビニールシートは紛争内戦により難民となった人々の儚い命を表しています。器を探しては、天才的なケーキ職人の上司に命じられて彼女のプディングにあう器を探す女性の話、犬の散歩は、殺処分になる運命の犬の命を救うため、里親探しをするボランティアをしている主婦の話、守護神は、レポートの代筆をしてくれる学内では伝説的に有名な女子学生に依頼する社会人男子学生の話、鐘の音は、親方と考え方が相容れない仏像に特異的こだわりを持つ仏像修復士の話。ジェネレーションXは、中年出版社社員と若い玩具メーカー社員が客のクレーム対応に向かう車内でジェネレーションギャップを超える話。それぞれに面白いですが、張り詰めた糸のような緊張感があるのは鐘の音と風に舞い上がるビニールシートだと思います。特に表題作はUNHCR職員としてフィールドに出て命を賭して難民救済に当たっている人もいるであろう現実に考えさせられます。第135回直木賞受賞作です。
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