WOWOWで映画「アリスのままで」を見ました。コロンビア大学の言語学教授として、輝かしいキャリアを築いていたアリス・ハウランドは50歳。日常生活の中で、少しずつ異変を感じていた。講演中に適切な単語が思い出せず詰まる。人との約束を忘れる。いつも作っていた料理の作り方がわからなくなり、スマホでレシピを検索したり。大学での講義もうまくいかなくなり、退職を余儀なくされる。ある日、アリスは大学構内をジョギング中に道に迷う。周りの景色がぼやけてゆがむ。アリスの表情が恐怖と苦悩に歪むのを見て、私も恐怖を感じた。医者の検査を受け、若年性アルツハイマーと診断される。ある晩、夫にその事実を打ち明けた。彼女のアルツハイマーは遺伝子が関係する家族性のものだと診断された。遺伝子検査を受けると、将来、アルツハイマーになるかがわかるのだが、遺伝子を持っていれば100%発症するという。娘2人と息子にもその事実を告げる。長女のアナは、アルツハイマーの遺伝子陽性、長男のトムは陰性だった。次女のリディアは、検査を拒否する。アリスはスマホに質問とその答えを入力し、少しでも記憶をとどめようと努力する。自分の誕生日、子供たちの名前など。ある日、アリスはパソコンの中に自分に宛てたビデオメッセージを入れる。質問に答えられなくなったら、誰もいない時に、2階の引き出しの中にしまってある錠剤を水で、全て飲むようにというメッセージだった。アリスの症状は急速に進んでいき、パソコンの操作もおぼつかなくなるが、偶然のようにパソコンの中にそのメッセージを見つけたアリスは、その指示に従おうとするのだった。64歳以下で発症するアルツハイマーを若年性アルツハイマーというのだそうです。もし、そんな症状があらわれたら本当に悲惨です。でも、映画の最期に長年アリスにとっては心配の種だった次女のリディアの介護を受けたアリスが、彼女との会話で笑顔を見せた。それに少しの救いがありました。家族の絆の物語でもあります。渾身の演技でアリスを演じたジュリアン・ムーアはアカデミー主演女優賞をもらっています。またこの映画の監督のリチャード・グラツァーはALSという難病を抱え、ワッシュ・ウェストモアランドのサポートを受けて、この映画を完成させたそうです。悲しい映画ですが、お薦めです。
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