ネタが無いので、ボトムズ読み物で・・・・
お試しで書いてる、SSとかです、こういう書き物好きなので、時系列を前後させながら、書き足してそのうち一本になる予定ですが、あんまし完成する気はしませんよ?
だから、ショートストーリー形式でw
面倒じゃない人は、本編のBGMとか、モブSEとか脳内再生しながら読んでくさい・・・
-------------------------------------------------
<スパイラルヘル>
「今日も出やがったぜ」
安酒の臭いと、蛮声が溢れる酒場の一角で、アリーナ帰りの男が興奮気味に話す。
「なにが?」
笑ってるような顔をした銀髪の男が、気まぐれな相槌を返す。
「あの、真っ黒なATさ、
おめぇも、見たこと有るだろう、
化けもんみたいに強い上、所属チームも、乗ってるやつも未発表、謎謎謎の謎尽くし!
最終試合の二つほど前に、エキストラ扱いで、ゲームアナウンスが流れて、馬券が売られるってんだから、気が抜けねぇ」
「はっ! 今度は、どいつが、スクラップになったんだ」
「アストライズんとこの、“バードケイジ”よ!
奴が勝ったら10倍、スパイラルヘルが買ったらスズメの涙ってとこだが、挑戦者が、バードケイジともなりゃ、会場は、もりあがるってなもんよ!」
「そんで、どっちの馬券を買ったんだ」
「そりゃぁおめぇ、あの黒い奴見たら、財布の中身をソックリぶちまけて、“スズメの涙”を、酒代にするのが、“賢いやりかた”ってやつさ・・・・・・お、VTRが、始まったぜ」
アリーナに近いこの酒場には、バトリング帰りの客に混じって、AT耐圧服を着た、選手とおぼしい客の姿も少なくない。
ささやかなサービスのつもりか、専門チャンネルで流れるバトリング中継を、デカイばかりで、ノイズの多いモニターで垂れ流している。
場外馬券やらダフ屋で、買った券を握りしめて、ここで試合観戦しながら一杯やる“賢い”客は存外に多い。
誰も彼もが、派手なリアルバトルの流れ弾で死ぬのが乙な物とは思わないのだ。
レギュラーゲームのプログラムが全て終わったこの時間は、ハイライトのVTRが流れている。
「・・・も、出ましたね!スパイラルヘルが!
おまけに、挑戦者が、ザ・クイアリーナのランク7、バードケイジと来れば、ファンならずとも試合に釘付け!」
派手なコスチュームで、興奮気味に捲くし立てる解説者から、画面が、アリーナに切り替わった。
男たちは、グラス片手に座りなおす。
試合開始を告げる、アナウンスに合わせて、パドックから、ATが競り上がってくる。
Aパドックから上がってきたのは、黒一色で塗られた中型のAT
モニター画面が薄暗いせいもあって、細かい作りはよく解らないものの、頭部で、うっすら光るオレンジのセンサーと、左腕に取り付けられた大型の鍵爪が十二分に目立つ。
アナウンスに合わせた派手な、パフォーマンスも無く、ただ凡庸に突っ立っているだけで、その言い知れぬ不気味さが、アリーナの歓声さえトーンダウンさせているようだ。
一方挑戦者側のBパドックから上がってきたのは、グレーと白のツートンカラーに塗られた、ヘビー級14型ベースのAT“バードケイジ”
リングネームの由来である、真っ赤に塗られた、複雑なロールバーに目が行くが、仔細に観察すれば、随所に専用装備が施されてるのが見て取れる。
冷却ダクトの数から見れば、中身も相当に弄っているのだろう。
ハッチを開け、耐圧服のヘルメットを脱いだパイロットが、手を振る。
オーナー グレン=オットー
痩身に、女好きのする甘いマスク
戦時より14式に乗る折り紙付きのヘビー級使いとの噂どおり、素晴らしいマシン捌きで、急速にランクを上げる人気選手である。
湧き上がる声援に応えて、派手なウインク一つでヘルメットを被り、ハッチを閉める。
「スパイラルヘルとの、マッチメークは、望んで出来る物ではない」
確固たる実力を持つ選手にだけ、正体不明のマッチメーカーから、アプローチが有る。
詳細を明かさぬ事を条件に、上位選手では在り得ないレートが組まれ、破格のファイトマネーが支払われる。
勝利時に支払われるエクストラのファイトマネーは、通常の10倍とも20倍とも噂され、アプローチを受けた殆どの選手が、その挑戦に応じるという・・・
アリーナーの地下から、リアルバトル用の障害物ブロックが、土煙をあげながら競り上がってくる。
ザ・クイのアリーナは、他の会場に比べて広く、実際に存在する訓練基地の施設をコピーした模擬地形で行われるリアルバトルは、特に人気が高い。
レッドショルダーマーチに続いて、試合開始を告げる空砲が鳴る!
歓声が溢れ、弾けるように、二機のATがスタートし、グライディングホイルの作動音が響く。
グレンのATは、戦闘距離を維持しながら、牽制を兼ねてミサイル3発を発射
当たらぬのが当然のように、黒いATは、機体を軽くステップさせて、やり過ごし、一気に距離を詰めてくる。
障害壁に命中したミサイルが上げる轟音と、爆煙が、アリーナに充満したタイミングで、バードケイジは、小さく旋回し、再び距離を取りながら、障害壁に身を隠す。
そのまま一気に機体を加速させ、高い速度を保ったまま、迷路のような地形を走り抜けて、黒いATの背後に回りこむ。
スパイラルヘルは、姿を消したバードケイジを無理に追わず、戦闘姿勢をとり、爆煙の残る広場に停止したままである。
黒いAT背後の障害物から横っ飛びに現れたバードケイジは、不意打ち気味に、銃身を短く切った22式マシンガンを発射する。
初弾が装甲板に弾かれた刹那、黒いATは、素晴らしいステップで180度向きを変え、小刻みに機体を揺すりながら、一気に距離を詰めてくる。
バードケイジは、肝を据えたのか、22式に加え、ボディ前面の11㎜機銃を、発射して、黒いATを迎撃する。
スパイラルヘルは、右手に握ったマシンガンで応戦する使事も無く、200m近い距離を一気に詰め、左手装甲板に取り付けられた鉤爪を振りかぶる。
グレンは、マシンガンを盾にしながら、右に機体を横滑りさせ、迅速に回避行動をとらせる。
通常の敵ならば充分間に合うタイミングだが、黒いATは、存外に速い。
更に迫る鉤爪は、腕に取り付けられた装甲板ごとスライドし、一気にそのリーチを伸ばしたのである。
おそらく1m近くは伸びているであろう
激しい火花と轟音を伴って、ボディ左側のロールバーと腕がもぎ取られ、宙に舞った。
しかし、バードケイジは、一歩も引かず、通常のH14には装備されていないターンピックを地面に打ち込み、右スライドから、急旋回に、持ち込む。
ヘビー級ATの重量と激しい遠心力に負けた、ターンピックが、マウントごとちぎれとぶが、お構い無しに、黒いATの背中に、思い切りバードケイジをぶつける。
体躯に劣る黒いATは、派手に宙に舞うが、空中でバランスを回復し、反転しながら前傾気味に戦闘態勢をとって着地、間髪入れず、チャージングでバランスを崩した、バードケイジに跳躍する。
こんどはかわせない
機体右脇に鉤爪が叩き込まれ、右腕が機能を停止しマシンガンが地面に落ちる。
よろけるように、距離を取るバードケイジの足にマシンガンが打ち込まれ、膝下を失った、機体は、力無くしりもちをついた。
ゲームセットだ
スパイラルヘルが、無慈悲に、22式マシンガンのグレネード管に、「鉄杭」を装填するのに合わせて、オットーは、非常脱出レバーを引き、ハッチを吹き飛ばして、コックピットから転がり出た。
無人のH14に、次々と鉄杭が打ち込まれ、引火したPR液が、小爆発を起こした。
わき腹を押さえてうずくまる、グレンに目もくれず、怒号と歓声が渦巻くアリーナから、黒いATが引き上げていくところで、再び画面は解説者に切り替わった、
「はぁーぁ バードケイジっつっても、所詮は二流なのかねぇー」
“スズメの涙”を頂いた男は派手にそっくり返り、横の男の顔を見る。
男は、荒い銀髪を掻きながらグラスに残った酒を飲み干し、相変わらず笑ったような顔で言う。
「バードケイジは、オーナーもマシンも充分一流だ、あの黒い奴が特別なのさ、
さも当たり前にやってる立ち振る舞いの全てが、一流のパイロットにもマシンにも真似できないレベルなんだよ、
あれみて、歯噛みしてる技術屋さんも、さぞかし多いだろうな」
ゆらりと、立ち上がった男の背丈は、意外に低かった。
「おぉ?もう帰るのかよ?」
「仕事がのこってるんでな、こう見えても俺は真面目な勤め人なんだよ」
上着を羽織って、カウンターに金貨を弾く。
「ロイズよぉ、おめぇと、あの“赤い奴”なら、スパイラルヘルをぶっ壊せるか???」
「・・・・さぁな」
少し口元が歪んだ。
どうやら、今度は、本当に笑ったらしい。
お試しで書いてる、SSとかです、こういう書き物好きなので、時系列を前後させながら、書き足してそのうち一本になる予定ですが、あんまし完成する気はしませんよ?
だから、ショートストーリー形式でw
面倒じゃない人は、本編のBGMとか、モブSEとか脳内再生しながら読んでくさい・・・
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<スパイラルヘル>
「今日も出やがったぜ」
安酒の臭いと、蛮声が溢れる酒場の一角で、アリーナ帰りの男が興奮気味に話す。
「なにが?」
笑ってるような顔をした銀髪の男が、気まぐれな相槌を返す。
「あの、真っ黒なATさ、
おめぇも、見たこと有るだろう、
化けもんみたいに強い上、所属チームも、乗ってるやつも未発表、謎謎謎の謎尽くし!
最終試合の二つほど前に、エキストラ扱いで、ゲームアナウンスが流れて、馬券が売られるってんだから、気が抜けねぇ」
「はっ! 今度は、どいつが、スクラップになったんだ」
「アストライズんとこの、“バードケイジ”よ!
奴が勝ったら10倍、スパイラルヘルが買ったらスズメの涙ってとこだが、挑戦者が、バードケイジともなりゃ、会場は、もりあがるってなもんよ!」
「そんで、どっちの馬券を買ったんだ」
「そりゃぁおめぇ、あの黒い奴見たら、財布の中身をソックリぶちまけて、“スズメの涙”を、酒代にするのが、“賢いやりかた”ってやつさ・・・・・・お、VTRが、始まったぜ」
アリーナに近いこの酒場には、バトリング帰りの客に混じって、AT耐圧服を着た、選手とおぼしい客の姿も少なくない。
ささやかなサービスのつもりか、専門チャンネルで流れるバトリング中継を、デカイばかりで、ノイズの多いモニターで垂れ流している。
場外馬券やらダフ屋で、買った券を握りしめて、ここで試合観戦しながら一杯やる“賢い”客は存外に多い。
誰も彼もが、派手なリアルバトルの流れ弾で死ぬのが乙な物とは思わないのだ。
レギュラーゲームのプログラムが全て終わったこの時間は、ハイライトのVTRが流れている。
「・・・も、出ましたね!スパイラルヘルが!
おまけに、挑戦者が、ザ・クイアリーナのランク7、バードケイジと来れば、ファンならずとも試合に釘付け!」
派手なコスチュームで、興奮気味に捲くし立てる解説者から、画面が、アリーナに切り替わった。
男たちは、グラス片手に座りなおす。
試合開始を告げる、アナウンスに合わせて、パドックから、ATが競り上がってくる。
Aパドックから上がってきたのは、黒一色で塗られた中型のAT
モニター画面が薄暗いせいもあって、細かい作りはよく解らないものの、頭部で、うっすら光るオレンジのセンサーと、左腕に取り付けられた大型の鍵爪が十二分に目立つ。
アナウンスに合わせた派手な、パフォーマンスも無く、ただ凡庸に突っ立っているだけで、その言い知れぬ不気味さが、アリーナの歓声さえトーンダウンさせているようだ。
一方挑戦者側のBパドックから上がってきたのは、グレーと白のツートンカラーに塗られた、ヘビー級14型ベースのAT“バードケイジ”
リングネームの由来である、真っ赤に塗られた、複雑なロールバーに目が行くが、仔細に観察すれば、随所に専用装備が施されてるのが見て取れる。
冷却ダクトの数から見れば、中身も相当に弄っているのだろう。
ハッチを開け、耐圧服のヘルメットを脱いだパイロットが、手を振る。
オーナー グレン=オットー
痩身に、女好きのする甘いマスク
戦時より14式に乗る折り紙付きのヘビー級使いとの噂どおり、素晴らしいマシン捌きで、急速にランクを上げる人気選手である。
湧き上がる声援に応えて、派手なウインク一つでヘルメットを被り、ハッチを閉める。
「スパイラルヘルとの、マッチメークは、望んで出来る物ではない」
確固たる実力を持つ選手にだけ、正体不明のマッチメーカーから、アプローチが有る。
詳細を明かさぬ事を条件に、上位選手では在り得ないレートが組まれ、破格のファイトマネーが支払われる。
勝利時に支払われるエクストラのファイトマネーは、通常の10倍とも20倍とも噂され、アプローチを受けた殆どの選手が、その挑戦に応じるという・・・
アリーナーの地下から、リアルバトル用の障害物ブロックが、土煙をあげながら競り上がってくる。
ザ・クイのアリーナは、他の会場に比べて広く、実際に存在する訓練基地の施設をコピーした模擬地形で行われるリアルバトルは、特に人気が高い。
レッドショルダーマーチに続いて、試合開始を告げる空砲が鳴る!
歓声が溢れ、弾けるように、二機のATがスタートし、グライディングホイルの作動音が響く。
グレンのATは、戦闘距離を維持しながら、牽制を兼ねてミサイル3発を発射
当たらぬのが当然のように、黒いATは、機体を軽くステップさせて、やり過ごし、一気に距離を詰めてくる。
障害壁に命中したミサイルが上げる轟音と、爆煙が、アリーナに充満したタイミングで、バードケイジは、小さく旋回し、再び距離を取りながら、障害壁に身を隠す。
そのまま一気に機体を加速させ、高い速度を保ったまま、迷路のような地形を走り抜けて、黒いATの背後に回りこむ。
スパイラルヘルは、姿を消したバードケイジを無理に追わず、戦闘姿勢をとり、爆煙の残る広場に停止したままである。
黒いAT背後の障害物から横っ飛びに現れたバードケイジは、不意打ち気味に、銃身を短く切った22式マシンガンを発射する。
初弾が装甲板に弾かれた刹那、黒いATは、素晴らしいステップで180度向きを変え、小刻みに機体を揺すりながら、一気に距離を詰めてくる。
バードケイジは、肝を据えたのか、22式に加え、ボディ前面の11㎜機銃を、発射して、黒いATを迎撃する。
スパイラルヘルは、右手に握ったマシンガンで応戦する使事も無く、200m近い距離を一気に詰め、左手装甲板に取り付けられた鉤爪を振りかぶる。
グレンは、マシンガンを盾にしながら、右に機体を横滑りさせ、迅速に回避行動をとらせる。
通常の敵ならば充分間に合うタイミングだが、黒いATは、存外に速い。
更に迫る鉤爪は、腕に取り付けられた装甲板ごとスライドし、一気にそのリーチを伸ばしたのである。
おそらく1m近くは伸びているであろう
激しい火花と轟音を伴って、ボディ左側のロールバーと腕がもぎ取られ、宙に舞った。
しかし、バードケイジは、一歩も引かず、通常のH14には装備されていないターンピックを地面に打ち込み、右スライドから、急旋回に、持ち込む。
ヘビー級ATの重量と激しい遠心力に負けた、ターンピックが、マウントごとちぎれとぶが、お構い無しに、黒いATの背中に、思い切りバードケイジをぶつける。
体躯に劣る黒いATは、派手に宙に舞うが、空中でバランスを回復し、反転しながら前傾気味に戦闘態勢をとって着地、間髪入れず、チャージングでバランスを崩した、バードケイジに跳躍する。
こんどはかわせない
機体右脇に鉤爪が叩き込まれ、右腕が機能を停止しマシンガンが地面に落ちる。
よろけるように、距離を取るバードケイジの足にマシンガンが打ち込まれ、膝下を失った、機体は、力無くしりもちをついた。
ゲームセットだ
スパイラルヘルが、無慈悲に、22式マシンガンのグレネード管に、「鉄杭」を装填するのに合わせて、オットーは、非常脱出レバーを引き、ハッチを吹き飛ばして、コックピットから転がり出た。
無人のH14に、次々と鉄杭が打ち込まれ、引火したPR液が、小爆発を起こした。
わき腹を押さえてうずくまる、グレンに目もくれず、怒号と歓声が渦巻くアリーナから、黒いATが引き上げていくところで、再び画面は解説者に切り替わった、
「はぁーぁ バードケイジっつっても、所詮は二流なのかねぇー」
“スズメの涙”を頂いた男は派手にそっくり返り、横の男の顔を見る。
男は、荒い銀髪を掻きながらグラスに残った酒を飲み干し、相変わらず笑ったような顔で言う。
「バードケイジは、オーナーもマシンも充分一流だ、あの黒い奴が特別なのさ、
さも当たり前にやってる立ち振る舞いの全てが、一流のパイロットにもマシンにも真似できないレベルなんだよ、
あれみて、歯噛みしてる技術屋さんも、さぞかし多いだろうな」
ゆらりと、立ち上がった男の背丈は、意外に低かった。
「おぉ?もう帰るのかよ?」
「仕事がのこってるんでな、こう見えても俺は真面目な勤め人なんだよ」
上着を羽織って、カウンターに金貨を弾く。
「ロイズよぉ、おめぇと、あの“赤い奴”なら、スパイラルヘルをぶっ壊せるか???」
「・・・・さぁな」
少し口元が歪んだ。
どうやら、今度は、本当に笑ったらしい。