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沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

市町村のごみ処理費が高くなるケースを考える

2015-11-03 09:06:52 | ごみ処理費

今日は休日で時間があるので、市町村のごみ処理費が高くなるケースを考えてみることにしました。なお、この記事はこのブログの管理者の経験に基づくものであって学術的な根拠はありません。ただし、当らずとも遠からずのはずです。

(1)人口の少ない自治体が人口の多い自治体と同じごみ処理を行っているケース

離島における溶融炉の整備がことごとく失敗しているように、人口の少ない自治体が区域の自然的社会的条件を考慮せずに人口の多い自治体と同じようなシステムを選定するとごみ処理費が異常に高くなります。

(2)行政がごみ処理に関する情報を積極的に公開しないケース

説明は不要と思われますが、自治体の公式サイトにごみ処理に関する情報を積極的に公開しているところは、ごみ処理に対する職員や住民の意識が高くなるので、ごみ処理費を低く抑える効果があると考えます。

(3)行政に対する議会の監視が甘いケース

これも説明は不要と思われますが、日本の自治体の多くは「前例踏襲主義」に基づいて事務処理を行っているので、ごみ処理に限らず行政に対する議会の監視が甘いと、住民の財政負担が増加することになります。

(4)住民がごみ処理に無関心なケース

上記の(2)と(3)に密接に関係していますが、住民が自らごみ処理に参加する活動等を行っている自治体は、総じてごみ処理費が低くなる傾向があります。

(5)自治体の担当職員が時代の流れに鈍感なケース

ごみ処理のキーマンとも言える自治体の担当職員が自分で考えようとしない場合等が該当します。そして、管理職が部下である担当職員に事務処理を丸投げしているようなケースは最悪のパターンになります。

他にもごみ処理費が高くなるケースはたくさんありますが、代表的なケースは上記の5つのケースになります。したがって、(1)から(5)に該当する数が多い自治体は間違いなくごみ処理費が高い自治体になると考えます。

【関連法規】

◆循環型社会基本法第10条

地方公共団体は、基本原則にのっとり、循環資源について適正に循環的な利用及び処分が行われることを確保するために必要な措置を実施するほか、循環型社会の形成に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

◆廃棄物処理法第4条第1項

市町村は、その区域内における一般廃棄物の減量に関し住民の自主的な活動の促進を図り、及び一般廃棄物の適正な処理に必要な措置を講ずるよう努めるとともに、一般廃棄物の処理に関する事業の実施に当っては、職員の資質の向上、施設の整備及び作業方法の改善を図る等その能率的な運営に努めなければならない。

◆地方自治法第2条第14項

地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。


人口と溶融炉とごみ処理費の関係を考える

2015-10-10 05:12:46 | ごみ処理費

一般的に人口が少ない市町村ほど住民1人当りのごみ処理費は高くなると言われています。しかし、下の画像にあるように沖縄県(本島)においては必ずしもそうはなっていません。

下の画像は人口が10万人以下の市町村(一部事務組合)と溶融炉を整備している市町村における住民1人当りのごみ処理費を比較したものです。

  

これによって何が分かるのか?

まず、左の画像で分かるのは人口10万人以下の市町村において溶融炉を整備しているところ(中城村北中城村清掃事務組合)が突出してごみ処理費が高いということです。また、右の画像で分かるのは、やはり人口10万人以下の市町村(中城村北中城村清掃事務組合)が突出してごみ処理費が高いということです。

中城村北中城村清掃事務組合のごみ処理施設は約12年前に整備されています。しかし、溶融炉を整備したのは前村長の時代です。そして、今は溶融炉の整備を承認した当時の議員はほとんど残っていません。

その意味では、12年経って別な自治体になっているということが言えます。

同組合は既にごみ処理施設の長寿命化を行う時期を迎えていますが、長寿命化計画を策定するのは現村長であり、計画を承認するのは現議会です。

このブログの管理者は、同組合においては現村長と現議会が十分に協議をしてごみ処理施設の長寿命化を考える必要があると思っています。そして、溶融炉については廃止する方向で代替案を検討すべきだと思っています。なぜなら、溶融炉を長寿命化すると、今後10年以上はごみ処理費が突出して高いという状況から抜け出せなくなるからです。

※同組合においてごみ処理施設の長寿命化計画の策定を職員に丸投げすると、職員はコンサルタントに丸投げすることになります。そして、職員がコンサルタントに丸投げすると、一般的には事業費が高くなります。特に同組合の溶融炉は国内で稼動している事例や長寿命化が行われた事例がない特殊な溶融炉なので、丸投げは最悪の選択肢になると考えます。


溶融炉の有無とごみ処理費の比較(中城村北中城村清掃事務組合)

2015-09-02 13:20:51 | ごみ処理費

沖縄県内において溶融炉を休止している市町村の内、離島のデータは稼動していた実績がほとんどないので、平成15年度に供用を開始して平成26年度から休止している中城村北中城村清掃事務組合のデータに基づいて比較してみました。

溶融炉の有無だけが原因ではないと思いますが、これを見ると、同組合が溶融炉を休止した理由が良く分かります。

ただし、同組合は溶融炉を休止(実質的には廃止)したことによって、平成26年度から国の補助制度を利用することができない状態になっています。

仮に、同組合が国の補助制度を利用する場合は溶融炉を再稼動することになるので、ごみ処理費は平成25年度のレベルに戻ってしまいます。

また、再稼動後にすぐに長寿命化を行うことになるので、国の補助制度を利用したとしてもごみ処理費はさらに増加することになります。

同組合は、それよりも自主財源によってごみ処理を行った方がごみ処理費を削減できるという判断のもとでごみ処理計画を改正したものと思われます。

※同組合が焼却炉の長寿命化を行わない場合は老朽化が早まることになりますが、自主財源によって更新することになるので、ごみ処理費は溶融炉を再稼動した場合(国の補助制度を利用して長寿命化も行った場合)よりも遥かに増加することになります。