沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

市町村が行っている可燃ごみの「焼却事業」を「発電事業」に転換する方法

2015-11-30 23:55:56 | ごみ処理計画

長い文章を読むことが苦手(あるいは嫌い)な人のために、現在、沖縄県内の市町村が行っている可燃ごみの「焼却事業」を「発電事業」に転換する方法を短く整理します。

(1)沖縄県において沖縄県民が循環型社会と低炭素社会との統合を図るために可燃ごみの焼却炉(ガス化溶融炉を含む)を発電効率の高いストーカ炉に変更する。

(2)焼却灰は温室効果ガスの排出量を削減するために太陽光発電や風力発電等の発電事業を行うための土木資材(基礎地盤補強材等) として利用する。

(3)将来的には地方自治法の規定(第2条第14項)に従って「最少の経費で最大の効果を挙げる」ために発電事業の広域化を図る。

以上です。

※市町村が自ら行う発電事業のために焼却灰を自ら利用する場合は、法制度上、焼却灰は市町村が利用を行うことができる循環資源になります。そして、循環資源の排出者(市町村)が循環資源を自ら利用する行為は循環型社会基本法の規定(第2条第1項)により廃棄物の処分には該当しない行為になるため、廃棄物処理法は適用されないことになります。ちなみに、このこと(廃棄物処理法が適用されないこと)は国(環境省)も認めています。ただし、他の事業と同じように水質汚濁防止法や土壌汚染対策法等の規定は適用されます。したがって、廃棄物処理法が適用されないからといって、自由に利用できる訳ではありません。

◆循環型社会基本法第2条第1項

この法律において「循環型社会」とは、製品等が廃棄物等となることが抑制され、並びに製品等が循環資源となった場合においてはこれについて適正に循環的な利用が行われることが促進され、及び循環的な利用が行われない循環資源については適正な処分(廃棄物としての処分をいう)が確保され、もって天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会をいう。


市町村のごみ処理に対する国や県の「指導」と「責任」を考える

2015-11-29 23:33:15 | ごみ処理計画

市町村のごみ処理は地方自治法の規定に基づく「自治事務」に整理されています。このため、国や県は市町村のごみ処理に対して「指導」を行うことはできません。できるのは「技術的援助=助言」までです。したがって、国や県には、日本のごみ処理に対する「責任」はないことになります。

しかし、市町村の方は国や県の「技術的援助=助言」を「指導」と勘違いしているところがあります。「国がいいと言っている」とか「県がいいと言っている」などというコメントを市町村の職員から耳にすることがありますが、このブログの管理者は、そのようコメントは一切信用しません。なぜなら、国や県が「いいと言った」としても、ごみ処理の責任は市町村にあるからです。万が一、国や県が間違っていたとしても、国や県には責任がありません。責任はあくまでも市町村にあります。

したがって、仮に、市町村のごみ処理事業において市町村の判断のミスで住民に損害を与えるようなことになった場合は、市町村の首長やごみ処理の担当者が損害賠償の対象になります。

ちなみに、判例によると市町村の議会にも10%くらいの責任があるようなので、議員の皆様も「国がいいと言っている」とか「県がいいと言っている」とかという行政側からの報告を真に受けないようにしていただきたいと思います。そして、そのような報告は必ず国や県が発出している文書を確認してから真に受けるようにしていただきたいと思います。国や県も市町村から文書による技術的援助を求められると証拠が残ることになるので適当なことは言えなくなります。

いずれにしても、市町村のごみ処理は、市町村が自主的に法令等を解釈して地域の社会的・経済的な特性を考慮しながら住民の福祉の向上と環境負荷の低減を図ることを目的とした事務処理であることを再確認していただけたら幸いです。

なお、市町村のごみ処理においは当然のこととして廃棄物処理法の規定が適用されますが、その前に地方自治法の規定が適用されるので、市町村には同法の規定に基づいて「最少の経費で最大の効果を挙げる」責務があることも再確認していただければ幸いです。

万が一、「国がいいと言った」とか「県がいいと言った」ということで住民に損害を与えるようなことがあったとしても、市町村は国や県の子供ではないので、言い訳にはなりません。国や県はそのこと(市町村が国や県と対等の立場にある大人であること)を承知の上で市町村に対して「技術的援助=助言」を行っています。

※このブログの管理者は沖縄県が推進している公共関与型の最終処分場の計画(平成26年度着工、平成28年度完成予定)は「白紙撤回」になると予想しています。その理由は別な機会に書きますが、この計画は産業廃棄物だけでなく市町村のごみ(一般廃棄物)も一部受け入れる予定でいます。したがって、県の計画をアテにしている市町村は、今から代替措置を検討しておくことをオススメします。


中城村北中城村清掃事務組合と中部北環境施設組合の違いを考える(本編)

2015-11-29 10:14:57 | ごみ処理計画

いきなり、昨日の「予告編」に対する答えを書きます。下の画像をもう一度ご覧下さい。

原寸大の資料(画像をクリック)

中城村北中城村清掃事務組合には最終処分場がありません。これは、ごみ処理施設の設備(焼却炉等)を整備するときにとても不利な状況になります。なぜなら、「溶融炉」以外に選択肢がなくなるからです。

そうなると、メーカー側は強気の「商売」ができることになります。

一方、中部北環境施設組合の場合は最終処分場があります。したがって、メーカー側は強気の「商売」ができなくなります。なぜなら、最終処分場を整備している自治体は、処分場の整備に関する経験があるので、いざとなれば、ごみの焼却をやめることができるからです。実際に処分場の整備ができるかどうかは分かりませんが、メーカー側にはプレッシャーになります。

ごみ処理施設のプラントの値段は定価があるようでない世界ですから、メーカー側に「強気」の商売をされると「あり得ない値段」になったりします。それが、中城村北中城村清掃事務組合の事業費が高くなっている最大の理由です。

しかも、同組合は事例のないプラントを選定しているので他のプラントと値段を比較することができない状況になっていたはずです。この辺りのことはブログには書けないことが多いので、「過去の事」としてこれ以上は書きませんが、自治体に選択肢が少ないとこんなことになるということは覚えておいて損はないと思います。

次は、ごみ処理費の違いに対する答えですが、これは先ず機種選定の違いが大きく影響しています。一般的に「焼却炉+溶融炉」に比べると「ガス化溶融炉」の方が2割以上経費が安くなります。しかし、中城村北中城村清掃事務組合が選定した「流動床炉+燃料式溶融炉」は「焼却炉+焼却炉」の組み合わせの中では一番運転経費が高いものなので、少し油断をするとこれだけの違いが出てくることになります。

専門知識を有する者が常に現場に張り付いて管理を行っていないと、どうしても油断が生じます。人口の少ない自治体はそのような対応がなかなかできないので、職員たちが油断をしていないと思っていても、気が付かないうちに油断をしていたということになります。

もちろん、プラントの規模や処理量の違いによってごみ処理費に差は出てきますが、中城村北中城村清掃事務組合が事例の多い「ストーカ炉+電気式溶融炉」を選定していればこんなことにはならなかったはずです。

※中城村北中城村清掃事務組合は広域処理を検討しているようですが、広域処理しか選択肢がないという状況に自らを追い込むと、これまでと同じようなことになる可能性があるので、できる限り選択肢を増やしておくことをオススメします。ちなみに、同組合が他に選択肢がない状態で広域処理を進めると、万が一、「白紙撤回」になった場合は、国の基本方針に従って焼却炉の長寿命化を行っていないことになるために自主財源により更新を行うことになります。 したがって、広域処理にはそのようなリスクがあるということを事前に住民に説明して理解を得ておく必要があると考えます。それをせずに広域処理に失敗した場合は、単なる「過失」ではなく「重大な過失」になるので住民から損害賠償を求められる可能性があります。なお、同組合の焼却炉は既に長寿命化の時期を迎えているので、広域処理の時期が遅れると老朽化対策に無駄な経費をつぎ込むことになります。このブログの管理者はそのことも事前に住民に説明して理解を得ておく必要があると考えます。


中城村北中城村清掃事務組合と中部北環境施設組合の違いを考える(予告編)

2015-11-28 23:07:23 | ごみ処理計画

中城村北中城村清掃事務組合と中部北環境施設組合は、ほぼ同時期に新しいごみ処理施設を整備しています。そして、事業費はほぼ同額です。

しかし、人口やごみの処理量は中城村北中城村清掃組合の方が圧倒的に少なくて中部北環境施設組合の4分の1程度です。そして、中城村北中城村清掃事務組合のごみ処理費は中部北環境施設組合のごみ処理費よりも約1.5倍も高いという状況になっています。

 原寸大の資料(画像を拡大)

同じ沖縄県の自治体なのに、どうしてこんなに違うのか?

その答えは、明日書きます。

読者の皆さんも、自分なりに考えてみて下さい。

ごみ処理施設の整備状況に関する沖縄県のデータ

市町村のごみ処理費に関する環境省のデータ

 


ブログを書いている理由

2015-11-27 06:40:28 | 日記

ブログを開設してから約100日になるので、改めて、ブログを書いてる理由を整理してみました。この記事は内地からの移住者による「うちな~んちゅ」の皆様へのメッセージでもあります。

(1)沖縄県は内地の縮小版と考えている。

(2)国は内地を前提にしてごみ処理に関する計画を策定している。※沖縄県は例外扱い。

(3)沖縄県は内地に比べると工業が発達していない。

(4)沖縄県の廃棄物処理計画は工業県を前提とした計画になっている。

(5)沖縄県内の市町村の多くは県の廃棄物処理計画を市町村のごみ処理計画の上位計画として位置付けている。

(6)その結果、県民の約70%(約100万人)が溶融炉に依存したごみ処理を行っている。

(7)国は溶融炉の時代は終わっていると考えている。

(8)国は循環型社会と低炭素社会との統合を目指している。

(9)沖縄県による県内の市町村に対する「国の計画」の達成を図るための技術的援助は期待できない。

(10)国は市町村に対して直接的な技術的援助は行っていない。

(11)沖縄県内の市町村が国の補助金を利用してごみ処理施設を整備する場合は県の考え方が優先されることになる。

(12)沖縄県内の市町村は県の考え方ではなく、「国の計画」に即して各市町村の身の丈に合ったごみ処理計画を自主的に策定する必要がある。

(13)ごみ処理は市町村の「自治事務」である。

(14)平成28年度からは地方版総合戦略がスタートする。

(15)国は県の廃棄物処理計画よりも「国の計画」に即して各市町村が地元の社会的経済的な特性を考慮して自主的に策定するごみ処理計画を重視している。

とりあえず、箇条書きにしてみましたが、このブログは「国の計画」と「県の計画」との違いに着目することによって、県内の市町村が住民と一体となって各市町村の身の丈に合った持続可能なごみ処理計画を自主的に策定できるようになることを目的として書いている。・・・ということになります。

なお、このブログの管理者は、県内の各市町村の職員の皆様ではなく、住民の皆様と住民の代表である市町村の首長と議員の皆様を読者としてイメージしています。なぜなら、公務員という職業は自主性を発揮できない職業だからです。