年度末ということで、浦添市と中北組合(中城村・北中城村)との広域処理に関する記事をたくさん書いてきました。
今日はその「まとめ」です。
まずは、下の画像をご覧下さい。
原寸大の資料(画像を拡大)
上の画像にあるように、浦添市と中北組合がこのままごみ処理計画の見直しを行わずに地域計画(広域組合を設立する前に廃棄物処理法の基本方針に従って1市2村が共同で作成して環境省に提出する計画)を作成すると、国から条件を付されることになります。
その理由は、浦添市のごみ処理計画は廃棄物処理法の基本方針に適合していますが中北組合のごみ処理計画が基本方針に適合していないからです。
具体的には、平成15年度に供用を開始した中北組合の焼却炉と溶融炉の長寿命化が行われていないことです。国は築年数が25年未満のごみ処理施設については「比較的稼動期間が短い施設」としているので、設備の処分制限期間(環境省は7年、防衛省は10年)を経過している場合であっても長寿命化を行い10年以上稼動させることを求めています。
そうしなければ新しいごみ処理施設(建物を含む)の整備を行うことはできないというのが国の考え方です。
したがって、浦添市と中北組合が広域処理を行う場合は、まず、中北組合の焼却炉と溶融炉の長寿命化を行わなければならないことになります。
しかし、このブログの読者の皆様はよくご存知だと思いますが、休止している中北組合の溶融炉を再稼動して長寿命化を行うという選択肢は広域処理から除外することになります。
では、どうすればよいか?
それが下の画像(修正案)です。
原寸大の資料(画像をクリック)
市町村(広域組合を含む)が築25年未満のごみ処理施設を所有している場合は、地域計画において長寿命化を行わなければならないことは既に書きました。それができない場合は、市町村がごみ処理施設を所有していない状態、つまり地域計画を策定する前に廃止するしか選択肢はないことになります。
上の画像の修正案(A)がその選択肢です。
ただし、この選択肢は補助金の返還が必要になります。また、新しいごみ処理施設を整備するまでは可燃ごみの処理(焼却と焼却灰の処分)を「外部委託」しなければならないことになります。
浦添市の焼却炉の処理能力に余裕があれば浦添市に「外部委託」することも可能ですが、残念ながら余裕はありません。その証拠に、現在150トン/日の処理能力を広域処理によって200トン/日に増加する予定でいます。150トン/日で余裕があるとすれば浦添市と中北組合は広域処理によって過大な施設を整備することなります。
では、補助金の返還と可燃ごみの処理の「外部委託」を回避するにはどうすればよいか?
その選択肢が修正案(B)です。
市町村が国の補助金を利用して整備したごみ処理施設が、地域の社会的・経済的な理由等によって「身の丈に合わない」と判断した場合は、「身の丈に合う」代替措置を講じることによって廃止することができます。その場合は廃止をしても補助金の返還は免除されます。
中北組合は焼却炉と溶融炉のうち、溶融炉は「身の丈に合わない」と判断して平成26年度から休止しています。しかし、代替措置を講じて廃止はしていません。したがって、広域処理を行うためにそのまま廃止すると国から補助金の返還を求められることになります。
中北組合にとって広域処理は「身の丈に合う」計画になるかも知れませんが、溶融炉を廃止するための代替措置にはなりません。なぜなら、代替措置は自主財源により講じなければならないからです。そうなると、一旦、補助金を返還した上で、新たに国の補助金を利用して広域施設を整備した方が財政的には有利になります。
しかし、それが中城村と北中城村の「身の丈に合う」計画になるかどうかはかなり疑問が残ります。
ということで、中北組合としては広域処理に対する地域計画を作成する前に自主財源により代替措置を講じて溶融炉を廃止する修正案(B)が「最善手」になると、このブログの管理者は考えています。
なお、この場合、中北組合の焼却炉は廃棄物処理法の基本方針に従って長寿命化を行うことなります。そうなると、10年間は稼動しなければなりません。しかし、中北組合の焼却炉は広域施設の処理能力(200トン/日)の20%程度の処理能力(40トン/日)しかないので、広域施設の保守点検や設備にトラブル等が発生して一定期間停止しなければならない状況になった場合、そして、想定外の災害廃棄物が発生した場合等の「予備炉」として活用することができると考えています。
いずれにしても、修正案(B)は修正案(A)における可燃ごみの処理の「外部委託」を回避することができます。
したがって、浦添市にとっても修正案(B)が「最善手」になると、このブログの管理者は考えています。
※修正案(A)については、理論上の案なので、国が廃棄物処理法の基本方針に適合していると判断するかどうかはわかりません。また、修正案(B)において中北組合の焼却炉を「予備炉」として活用できるかどうかもわかりません。しかし、総合的に判断した場合は修正案(B)の方がリスクが低く評価が高くなると判断しています。