オートバイで旅して観たモノの記録

 Ôtobai de tabi site mita mono no kiroku.

ある夏の日の朝 ・・・ 弥勒磨崖仏

2021年08月04日 | 和束町~茶源郷~


 毎日,朝からうだるような暑さが続いている.夜明け前の涼しい時間帯にちょこっと走ろうと思っていても,朝はついつい出遅れてしまう.すっかり日が昇った後,オートバイを和束町に向けて走らせた.



 今の時期,和束町は茶畑だけでなく,すくすくと育ってきた田んぼの稲が眩しいほどに輝き,一面に緑色の世界が広がっている.そして,長井橋から南の方向へ穏やかに流れる和束川と並行して,きれいな舗装路が続いている.



 この舗装路を進んでいくと,弥勒磨崖仏(みろくまがいぶつ)の入口となり,道はすぐに終わってしまう.弥勒磨崖仏は,いつも運転中に府道から眺めていて,御影石の巨岩に彫られた高さ3メートルほどの仏像だ.仏像を真下から見たことがないので,暑さから逃れるようにして竹やぶの中を進んでいく.



 数十秒ほど歩けば,穏やかな表情の弥勒磨崖仏のもとに出る.仏さまは真下に流れる和束川をじっと見つめらながら佇んでいらっしゃる.この仏像には正安2年(西暦1300年)と銘が彫られていて,鎌倉時代後期の作品と言われている.700年前のものとしては,とても保存状態がいいことに驚かされるのだった.



 弥勒磨崖仏は和束町の白栖長井にあることから,地元の方からは「長井の弥勒さん」と言われ親しまれているそうだ.オートバイの元へ戻ると,夏の暑い日差しが容赦なく,じりじりと照り付けていた.

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